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米国心臓協会学術集会(AHA 2015)2015年11月7~11日,米国・オーランド
アブレーション周術期におけるNOAC継続投与およびワルファリン継続投与の比較
2015.12.8
Dan L Musat氏
Dan L Musat氏

アブレーション周術期において,NOAC継続投与とワルファリン継続投与の合併症頻度は同程度-11月9日,米国心臓協会学術集会(AHA 2015)にて,Dan L. Musat氏(Valley Health System,米国)が発表した。

●背景・目的

心房細動患者に対するカテーテルアブレーション(以下,アブレーションと略す)では,手技に伴う内皮細胞の損傷や,また術後では洞調律回復後のスタンニング期に血栓塞栓症リスクが高まることから,周術期の抗凝固療法が重要となる。近年,アブレーション施行時においてワルファリンの継続投与は,ヘパリンブリッジをともなうワルファリン非継続投与よりも優れることが明らかになってきた。さらに非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の普及により,その簡便性から,アブレーション周術期に用いられるようになってきた。しかし, NOACがワルファリン継続投与に比べて周術期リスクを増大させるかについては,先行研究にはNOACの服用期間が異なる患者も含まれていることもあり,明らかとはいえない。

そこで本研究では,心房細動アブレーションにおけるNOAC継続投与とワルファリン継続投与を比較するメタ解析を行い,この二つの治療戦略のリスクとベネフィットを評価した。

●方法

2010年10月~2015年5月,Pubmed Central,Ovid-Medline,米国心臓病学会(ACC)/欧州心臓病学会(ESC)/米国心臓協会(AHA)/米国不整脈学会(HRS)の学術集会抄録を用いて,rivaroxaban,dabigatran,apixaban,warfarin,atrial fibrillation,atrial fibrillation ablation,ablation,catheter ablation,pulmonary vein isolation,pvi,afib ablation,AF ablationをキーワードとして検索。採用基準は①アブレーション施行の心房細動患者を登録,②周術期の出血性および塞栓性合併症を報告,③周術期のNOACまたはワルファリン継続投与を実施とした。 Mantel-Haenszel固定効果モデルおよびランダム効果モデルにより,各抗凝固療法による周術期(手技の30日後まで)合併症を比較した。

●解析対象

9件(論文5件1~5)+アブストラクト4件),2,932例(NOAC群1,404例[ダビガトラン群212例,リバーロキサバン群827例,アピキサバン群365例],ワルファリン群1,523例)を対象とした。対象患者は,平均年齢(NOAC群64歳,ワルファリン群64歳),男性(それぞれ71%,70%),脳卒中/一過性脳虚血発作既往(7%,6%)など背景に有意差を認めなかった。多くの研究においてCHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコアとも2点未満であり,軽度の左房拡大が認められた。

抗凝固療法は,ほとんどの研究でアブレーションの少なくとも3~4週前から開始されていた。周術期の抗凝固薬は中断なく,ワルファリンの目標国際標準比(INR)はほとんどの研究で2~3に設定されていた。

アブレーションの手技について,持続性心房細動に対しては主にラインアブレーションが肺静脈隔離に追加して実施されていた。手技中は,経中隔穿刺の前もしくは後にヘパリンボーラス投与が行われた(目標活性化全血凝固時間>300秒)。ヘパリン中和のためのプロタミン投与を報告した研究は半数以下で,心腔内心エコーを用いた研究は少数であった。

●結果

大出血(NOAC群11件,ワルファリン群16件,OR 0.80,95%CI 0.37-1.71,I2=0%,p=0.56),小出血(それぞれ77件,98件,OR 0.79,95%CI 0.57-1.08,I2=0%,p=0.14),出血性合併症(88件,114件,OR 0.78,95%CI 0.58-1.06,I2=0%,p=0.11),塞栓症(2件,3件,OR 0.99,95%CI 0.24-4.06,I2=0%,p=0.98),全合併症(90件,117件,OR 0.78,95%CI 0.58-1.05,I2=0%,p=0.10)のいずれも,NOAC群とワルファリン群で有意な差は認められなかった。

●結論

心房細動アブレーション施行患者において,NOAC継続投与はワルファリン継続投与に比べ,全合併症,塞栓症,出血に差異を認めなかったことから, NOACはワルファリンの代替薬となり得ることが示唆された。

文献

  • Di Biase L, et al. Feasibility and safety of uninterrupted periprocedural apixaban administration in patients undergoing radiofrequency catheter ablation for atrial fibrillation: Results from a multicenter study. Heart Rhythm 2015; 12: 1162-8.
  • Dillier R, et al. Safety of continuous periprocedural rivaroxaban for patients undergoing left atrial catheter ablation procedures. Circ Arrhythm Electrophysiol 2014; 7: 576-82.
  • Lakkireddy D, et al. Feasibility and safety of uninterrupted rivaroxaban for periprocedural anticoagulation in patients undergoing radiofrequency ablation for atrial fibrillation: results from a multicenter prospective registry. J Am Coll Cardiol 2014; 63: 982-8.
  • Maddox W, et al. Dabigatran versus warfarin therapy for uninterrupted oral anticoagulation during atrial fibrillation ablation. J Cardiovasc Electrophysiol 2013; 24: 861-5.
  • Cappato R, et al. VENTURE-AF Investigators. Uninterrupted rivaroxaban vs. uninterrupted vitamin K antagonists for catheter ablation in non-valvular atrial fibrillation. Eur Heart J 2015; 36: 1805-11.

Musat DL, et al. Uninterrupted Novel Oral Anticoagulants vs Uninterrupted Warfarin Peri-Ablation of Atrial Fibrillation: A Meta-Analysis of Embolic and Bleeding Complications.


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