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11月4日 LBCT 1 Practice Implications for CAD and VTE

TACT
Trial to Assess Chelation Therapy
冠動脈疾患患者において,disodium EDTA*キーレーション療法の心血管イベントリスク低下の可能性が示される。ただし,その解釈には注意が必要。
* ethylene diamine tetra-acetic acid; エチレンジアミン四酢酸
 
背景・目的
血中の重金属を除去するキーレーション療法は鉛中毒や輸血後鉄過剰症の治療に用いられるが,アテローム性動脈硬化症に対しても十分な根拠がないにもかかわらず1950年代から使用されてきた。しかも,米国疾病予防管理センター(CDC)によれば米国での実施数は増えているという。この治療法が冠動脈疾患に有効かどうかをランダム化比較試験で検証する。

[一次エンドポイント]全死亡,心筋梗塞(MI),脳卒中,血行再建術,不安定狭心症による入院の複合エンドポイント。


 
コメント
海外で 50年以上も半ば迷信的に行われてきたキーレート治療が本当に有効かどうか,プラセボ対照のRCTで検証しようとしたNIH主導の臨床試験であるが,予想を覆して有効性に有意差が出てしまったというのが本音である。有効性のメカニズムが提唱されているわけでもなく,EDTAが効いているのか,ビタミンが効いているのか,局所麻酔やヘパリンの間欠投与が効いているのかも不明である。まずはこの成績の再現性を検証することが必要であるというのが多くの考え方であろう。(コメント: 堀 正二)。

 
デザイン
ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial,多施設(米国,カナダの134施設)。

 
対象
1,708例。MI後≧6週間の患者。

 
期間
追跡期間4年。
実施期間は2002-2011年。

 
治療
キーレーション群**,プラセボ群にランダム化後,ビタミンおよびミネラル群,プラセボ群にランダム化。
** EDTA,ビタミンC,ビタミンB群,電解質,局所麻酔薬,heparinを含む溶液を40回注入。

 
結果
[一次エンドポイント]
キーレーション群で有意に低下(26% vs 30%;ハザード比0.82;95%信頼区間0.69-0.99,P=0.035)。とくに糖尿病患者での低下が顕著(39%低下,P=0.002)。

[サブ解析]
QOLの改善は認められず(LBCT 2で発表)。


 
presenter: Gervasio A Lamas, MD ( Mount Sinai Medical Center, US )


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