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8月26日 Hot Line I Late Breaking Trials on Prevention to Heart Failure

PARAMOUNT 
Prospective comparison of ARNI with ARB on Management Of heart failUre with preserved ejectioN fracTion
左室駆出率(EF)が保持された心不全患者において,アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)LCZ696*はARBのvalsartanにくらべ12週間後のN末端プロBNP(NT-proBNP)を改善(第II相試験)。
* ネプリライシンとAT1受容体を共に阻害する新規化合物(angiotensin recptor neprilysin inhibitor: ARNI)である。ネプリライシン阻害による利尿ペプチドの分解阻害は,RA系阻害効果とあいまって新規の心不全治療法として期待される。
 
背景・目的
EFが保持された拡張性心不全患者は心不全患者のほぼ半数近くおり,合併症発症,死亡リスクが高いにもかかわらず,転帰を改善する治療法はまだない。
LCZ696* は新しいクラスの薬剤で現在,8,000例のEFの低下した収縮性心不全患者で有効性が検討されている。 EFが保持された心不全患者において,LCZ696の有効性と安全性を評価する。

[一次エンドポイント]12週間後のN末端プロBNP(NT-proBNP)の低下。


 
コメント
LCZ696はバルサルタン(ARB)とneprilysin(neutral endopeptidase)阻害薬プロドラッグ(AHU 377)の混合化合物であり,ARB作用と同時にANPやBNP分解抑制作用を有する。したがって,本剤投与により内因性利尿ペプチドの作用増強が生じるので心不全の改善効果が期待される。実際,このPARAMOUNT試験では,拡張性心不全(HFPEF)を対象として,neprilysin阻害の影響をうけないNT-ProBNP値を測定した結果,36週まで継続的な低下と左房サイズの抑制が認められたことから本剤の有用性が示唆された。本剤はバルサルタンより降圧効果が大きいが,これを補正してもNT-ProBNP値の低下が認められたことから,内因性利尿ペプチドの増強が有用であることを示している。同様のコンセプトで開発されたomapatrilatは,ACE阻害作用をもつが,血管浮腫の副作用のため開発が中止された経緯がある。本剤は副作用についてはバルサルタン群と差がなかったので,この点は安心であるが,長期の予後改善効果については今後の大規模臨床試験に期待したい。現在,収縮性心不全患者8000例を対象としたPARADIGM-HF試験が進行中である(コメント:堀 正二)。

 
デザイン
ランダム化,二重盲検,多施設(13ヵ国)。

 
対象
301例。>40歳,NYHA心機能分類II-IV度の心不全患者,EF≧45%,NT-pro BNP>400pg/mL。

 
期間
追跡期間は36週。

 
治療
プラセボによるrun-in後,ランダム化。ACE阻害薬,ARB投与例は投与を中止した。
LCZ696群(149例):50mg×2回/日を1週間投与し,100mg×2回/日に増量して1週間投与後,200mg×2回/日,valsartan群(152例):40mg×2回/日を1週間投与し,80mg×2回/日に増量して1週間投与後,160mg×2回/日。

 
結果
[NT-pro BNP]
12週間後(261例):LCZ696群はvalsartan群より有意に低下(P=0.005)。
36週間後(241例):両群間の有意差はなくなった(P=0.20)。

[その他]
左房容積:LCZ696群で12週後低下したが両群間に有意差はなく,36週後同群で有意に減少(P=0.003)。
NYHA心機能分類:LCZ696群で36週後に改善(P=0.05)。
左室容積,EF,左室重量に有意な変化はみられなかった。


 
presenter: S D Solomon, MD ( Harvard Medical School, US )


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