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3月9日 Opening Showcase and Late-Breaking Clinical Trials

CVD高リスク ナイアシン/laropiprant*配合剤 vs プラセボ CVイベント↓:配合剤≒プラセボ
HPS2-THRIVE 
Heart Protection Study 2-Treatment of HDL to Reduce the Incidence of Vascular Events
スタチンでLDL-Cが良好にコントロールされているCVD高リスク(CAD既往78%)患者において,徐放性ナイアシン/ laropiprant* 配合剤の上乗せによるHDL-C上昇は小さく,有意な主要血管イベント抑制効果は認められず,有害事象が増加。
* laropiprantはflushing pathway inhibitorという新しいメカニズムを持った新規化合物で,高脂血症のニコチン酸治療に伴うflushingを軽減する目的で開発された。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,多施設(6ヵ国245施設)。
一次エンドポイント 主要血管イベント(冠動脈死,非致死的心筋梗塞[MI],致死的・非致死的脳卒中,血行再建術のいずれかの初発)。
対 象  25,673例。50-80歳のCVD既往を有する高リスク患者。
■背景:平均年齢64.9歳,男性83%,欧州14,741例;中国10,932例。
脂質値:総コレステロール(TC)128mg/dL,LDL-C 63mg/dL,HDL-C 44mg/dL,トリグリセライド(TG)125mg/dL,既往:CAD 78%,脳血管疾患32%,末梢血管疾患13%,糖尿病32%。
期 間 追跡期間は3.9年(中央値)。
治 療  TC 135mg/dLを目標にしたsimvastatin 40mg/日(±ezetimibe)によるLDL-C低下療法を標準化し,徐放性ナイアシン2g/ laropiprant 40mg/日を1ヵ月間投与しコンプライアンスを確認後,下記にランダム化。
徐放性ナイアシン/ laropiprant追加(以下ナイアシン)群(12,838例):ナイアシン2g/ laropiprant 40mg/日+スタチン,プラセボ群(12,835例)。
結 果 ナイアシンのコンプライアンスは78%。
4年後のナイアシン群の脂質値の変化:HDL-Cは6mg/dL上昇,LDL-Cは7mg/dL,TGは31mg/dL低下した。 LDL-Cの低下はsimvastatin/ ezetimibe(12mg/dL)のほうがsimvastatin 40mg/日(8mg/dL)より大きく,参加者の地域別にみると欧州(12mg/dL)のほうが中国(7mg/dL)より大きかった。

[一次エンドポイント]
両群間に有意差は認められなかった。
ナイアシン群14.5% vs プラセボ群15.0%:リスク比0.96;95%信頼区間0.90-1.03。
一次エンドポイントのうちナイアシン群で有意な低下がみられたのは,血行再建術(10%低下)のみ。
欧州:11.3% vs 12.4%,中国:15.8% vs 15.5%(P=0.06)。

[有害事象]
ナイアシン群で約3%に発生した。
同群で有意にリスクが上昇したのは糖尿病合併症3.7%,新規糖尿病発症1.8%,感染症1.4%,胃腸障害1%,筋骨格障害0.7%,出血0.7%。

presenter: Jane Armitage ( Oxford University, UK )
UP
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