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ACS発症2型糖尿病 | aleglitazar群 vs プラセボ群 | 心血管転帰:aleglitazar群≒プラセボ群 |
背景・目的 | : |
急性冠症候群(ACS)発症後間もない2型糖尿病患者において,標準治療への新規経口PPAR-α/γアゴニスト,アレグリタザール(aleglitazar)追加の有効性と忍容性および長期安全性を評価する優越性試験。
[有効性の一次エンドポイント]心血管死+非致死的心筋梗塞(MI)+非致死的脳卒中の複合エンドポイント。 [安全性の一次エンドポイント]心不全による入院,腎機能障害。 |
コメント | : | PPAR α/γのいわゆるデュアルアゴニストはこれまでにも数剤が臨床使用のための治験段階でその副作用から開発中止となってきた。aleglitazarに関しても本研究では有害イベントの増加が認められ有効性不十分と判断されたようである。 ただし一次エンドポイントである心血管イベントが抑制できないことはACS発症間もない,すなわち動脈硬化がかなり進展した2型糖尿病患者を対象としていることから妥当あるいは当然の結果であり,むしろFDAが糖尿病新薬に課しているこのような患者に対する危険性を持たないという証明(厳密にいうと非劣性を証明する試験ではなかったが)にもつながる結果と考えられる。安全性の一次エンドポイントに関しても腎機能障害が起こるのはαアゴニストであるフィブラートにも認められるクレアチニンの軽度上昇が影響しているわけで当然eGFRの低下につながる。しかしこれは長期にみて腎不全に進行するリスクが高まることを意味しているわけではない。副次エンドポイントの末梢浮腫はγアゴニストに認められるものと同様であるが,プラセボに比し有意に多かった消化管出血はα,γアゴニストにないaleglitazar固有のものであり注意が必要であろう。総合すると本論文の結論は,「心血管系リスクを減少させるという意味でこの薬剤の使用は推奨されない」とされているが,糖脂質代謝改善作用においてα,γの単独アゴニストそれぞれに比し優位性が,あるいは併用と比した場合の優位性あるいは非劣性が証明されるようであれば,本薬は糖尿病薬として可能性を残す結果なのではないかと推察する ( ![]() |
デザイン | : | ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(26ヵ国720施設),intention-to-treat解析。 |
対 象 | : |
7,226例。ACSで入院した2型糖尿病患者で,退院後,最長12週間のスクリーニング期間中に臨床症状が安定し,血行再建術が終了し,腎機能が安定状態となったもの。 除外基準:NYHA心機能分類II-IV度,12ヵ月以内の心不全による入院,重度の末梢浮腫,慢性腎臓病(CKD),フィブラート(αアゴニスト)またはチアゾリジン系薬(γアゴニスト)投与例など。 ■患者背景:平均年齢61歳,女性27%,糖尿病罹病期間8.6年,BMI 29kg/m²,HbA1c 7.8%,LDL-C 79mg/dL,ST上昇型MI(STEMI) 39%,非STEMI 36%,不安定狭心症25%。 |
期 間 | : | 追跡期間は104週(中央値)。 |
治 療 | : | aleglitazar群(3,616例):150μg/日朝投与。 プラセボ群(3,610例)。 |
結 果 | : |
aleglitazar群における有害イベントの増加と有効性不十分により早期終了。 HbA1c,HDL-C,トリグリセライドはaleglitazar群で改善したが,LDL-Cは同群で増加。 体重はaleglitazar群+4.6kg vs プラセボ群+0.9kg(P<0.001)。
[一次エンドポイント]
[その他] |
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