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急性心不全+腎機能障害 | 低用量nesiritide vs 低用量dopamine vs プラセボ |
72時間後の腎障害/うっ血: nesiritide群/dopamine群≒プラセボ群 |
背景・目的 | : | 腎機能障害を有する急性心不全(AHF)患者は,うっ血軽減の不十分と腎機能悪化のリスクが高く,これらはいずれも有害転帰につながる。ドパミン受容体を活性化して腎血管拡張を促進するdopamineと血圧を下げるが腎機能には悪影響を及ぼさないnesiritideは,いずれも低用量でうっ血の軽減を促進し,腎機能を保存する可能性が小規模試験において示されている。 腎機能障害を有するAHF患者において,利尿薬治療への低用量dopamine,低用量nesiritideの追加の有効性を検討する。 |
コメント | : | 低用量のdopamineおよび低用量のnesiritideが腎機能障害のある急性心不全に対して腎保護効果があるか,短期的予後を改善するかを検討した試験である。本試験の特徴は,①腎機能障害(平均eGFR 44mL/min/1.73m²)のある急性心不全患者を対象にしていること,②収縮性心不全(HFrEF)のみならず,EF>50%の拡張性心不全(HFpEF)を約25%登録していること,③dopamine, nesiritideはともに比較的長時間(72時間)投与していることである。結果は,両薬剤とも腎保護効果は認められず,2ヵ月後のアウトカムおよび6ヵ月後の死亡率に有意な改善は認められず期待は裏切られた。本研究で興味ある成績は,HFrEFとHFpEFで,薬剤の反応が異なる可能性が示された(HFpEFでは,dopamineが尿量を減少させる可能性)ことである。今後の検討課題を提示したともいえよう(堀 正二)。 |
デザイン | : | ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析。 |
一次エンドポイント | : | うっ血の軽減(72時間蓄尿量)と腎機能(72時間後の血清シスタチンC濃度の変化)。 |
対 象 | : |
360例。AHFの診断(症状[呼吸困難,起坐呼吸,浮腫],兆候[ラ音,浮腫,腹水,胸部X線写真で肺浮腫の診断]を1つ以上有する),入院から24時間以内,eGFR 15-60mL/分/1.73m²。 ■患者背景:年齢70歳*,男性73%,前年のAHFによる入院67%,虚血性58%,糖尿病56%,EF>50% 26%,収縮期血圧114mmHg*,eGFR 44.5mL/分/1.73m²*,NT-proBNP 4,972pg/mL*,外来でのfurosemide処方量80mg*,ACE阻害薬/ARB 50%,β遮断薬83%。 *中央値 |
期 間 | : | 追跡期間は180日。 |
治 療 | : | 標準利尿薬治療に下記を追加。 低用量nesiritide群(119例):ボーラス投与なしで,0.005μg/kg/分72時間静注。 低用量dopamine群(122例):2μg/kg/分72時間静注。 プラセボ群(119例)。 |
結 果 | : |
[一次エンドポイント] ・うっ血の軽減(72時間蓄尿量) 低用量nesiritide群8.6L vs プラセボ群8.3L(P=0.25)。 低用量dopamine群8.5L vs プラセボ群8.3L(P=0.58)。 EF≦50%例では,nesiritide群,dopamine群の有効性が大きかった(それぞれ,交互作用P=0.06, P=0.01)。 ・腎機能(72時間後の血清シスタチンC濃度の変化) 低用量nesiritide群0.07mg/L vs プラセボ群0.11mg/L(P=0.35)。EF≦50%例ではnesiritide群の有効性が大きかった(交互作用P=0.09)。 低用量dopamine群0.12mg/L vs プラセボ群0.11mg/L(P=0.72)。
[その他] |
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