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第37回日本脳卒中学会総会(STROKE 2012) 2012年4月26〜28日,福岡
抗血栓療法中の頭蓋内出血−その対処と抗凝固療法再開時期
2. 症例提示
2012.6.18
矢坂正弘氏
矢坂正弘氏(国立病院機構九州医療センター)

抗血栓療法中の患者が頭蓋内出血で救急搬送されてきた場合,どのように対処すべきか。第37回日本脳卒中学会総会(2012年4月26〜28日)では「ザ・ディベート」と題した討論が4月26日に行われた。ここではその中から,内科治療についての内容を紹介する。

1. 基調講演
3. 討論1(早期再開支持の立場から)
4. 討論2(早期再開不支持の立場から)
5. 総合討論

矢坂正弘氏(国立病院機構九州医療センター)より抗凝固療法中の頭蓋内出血症例が提示された。

[症例]
左視床出血
患者:52歳,女性。
現病歴:2008年,透析中に呂律不良が出現し,頭痛を訴え一度嘔吐。意識障害が加わるとともに右上下肢を動かさなくなり,約1時間後に救急病院へ救急搬送された。
既往歴:腎不全,透析中,アミロイドーシス,高血圧,慢性関節リウマチ,心不全。 深部静脈血栓症予防のため抗血栓療法中であった。心房細動はない。

[理学的所見]
頭部:異常なし,頸部:血管雑音なし,胸部:心拡大,収縮期駆出性雑音,腹部:異常なし,四肢血管:触知良好,下腿:浮腫。
血圧:190/108mmHg,脈拍:78回/分,整。
神経学的所見:National Institutes of Health stroke scale(NIHSS)22,Japan coma scale(JCS)20。
脳神経:中枢性顔面麻痺(右),言語:発語なし,簡単な指示にしたがう。
運動:右上肢manual muscle test(MMT)1,右下肢MMT 2。
感覚:右半身感覚障害。

[検査所見]
凝固:PT-INR 2.58,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)37.1秒。
心電図:洞調律。
頸部血管エコー:両側頸動脈に高輝度プラーク,有意狭窄なし,血流速度は良好。
心エコー:左室肥大。

[入院経過]
降圧療法(目標収縮期血圧160mmHg),ビタミンK静注,新鮮凍結血漿(FFP)600mL投与開始(100mL/時)するも神経症候が増悪。血腫が搬送時の25mL(PT-INR 2.58)から3時間後には62mL(PT-INR 2.10)に拡大し,翌日死亡した。


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