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降圧利尿薬hydrochlorothiazide(HCTZ)の有用性を24時間自由行動下血圧で探索
meta-analysis

24時間自由行動下血圧により評価した利尿薬HCTZ 12.5~50mg/日の降圧効果は,他のクラスの降圧薬よりも劣ることが明らかになった。HCTZは高血圧の第一選択薬としては不適切である。
Messerli FH et al: Antihypertensive efficacy of hydrochlorothiazide as evaluated by ambulatory blood pressure monitoring a meta-analysis of randomized trials. J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 590-600. PubMed

コメント

サイアザイド系利尿薬は米国高血圧学会ガイドラインでは,第一選択薬に位置づけられている薬剤である。本メタ解析は代表的なサイアザイド系降圧利尿薬の一つであるhydrochlorothiazideの降圧効果を他の降圧薬と24時間血圧で比較した臨床試験をデータベースからメタ解析した報告である。
その結果hydrochlorothiazideの降圧効果は診察室血圧では差がみられなくとも,24時間血圧,とくに夜間血圧において他の降圧薬に劣るという結論である。
サイアザイド系降圧利尿薬の脳心血管合併症予防効果は,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,α遮断薬に劣らないという結論はすでにALLHAT試験という34,000人規模の大規模臨床試験で証明されており,また高齢者高血圧における有用性もSHEP試験などで証明されている。しかしこの2つの重要なトライアルで用いられたサイアザイド系降圧利尿薬は,chlorthalidoneである。またHYVET試験で第一選択薬として用いられ,80歳以上の高齢者でも脳卒中予防効果を示した降圧利尿薬はindapamideである。hydrochlorhiazideとchlorthalidoneの用量反応性を比較したメタ解析によるとchlorthalidonのほうが降圧効果が大きいとの報告がある。また降圧利尿薬とACE阻害薬の心血管合併症予防効果はACE阻害薬よりも劣るとのANBP2で用いられたサイアザイド系利尿薬もhydrochlorthiazideである。これらのトライアルの結果を踏まえると,同じサイアザイド系降圧利尿薬の中でも降圧効果に差がある可能性がある。
しかしなんといっても本研究の問題は,心血管合併症予防効果を検討したものでないことである。降圧薬の有用性はあくまでも心血管合併症予防効果をみるべきである。そうでなければ本解析の結果はALLHAT試験との整合性がとれないことになる。(桑島

目的 本態性高血圧の治療におけるHCTZの有効性と安全性についてのエビデンスは,とくに12.5~25mg/日の用量ではほとんどない。そこで,24時間自由行動下血圧(ABP)を用いてHCTZの降圧効果を他の降圧薬と比較するメタ解析を行った。
エンドポイントは,ABP(収縮期血圧[SBP]/拡張期血圧[DBP])のベースライン時からの変化。
対象 1,463例(平均年齢58歳,男性54%)。19のランダム化比較試験(RCT)。
査読誌に1966年~2010年3月までに発表された高血圧患者を対象としたRCTで,ABPを用いてHCTZの降圧効果を他のクラスの降圧薬と比較したもの,HCTZを単剤で使用したもの,試験期間が4週間以上のもの。
方法 PubMed,Embase,Cochrane Central Register of Clinical Trials(Cochrane Library, Issue2,2009)を検索。検索用語は,“HCTZ”,“hydrochlorothiazide”,“ABP”,“ambulatory blood pressure”,“hypertension”。
結果 HCTZ 12.5~25mgを使用したRCTは14試験(1,234例;うち12.5mg投与は4試験,12.5~25mg は1試験,25mg は9試験),HCTZ 50mgを使用したRCTは5試験(229例)。

[HCTZ 12.5~25mgを使用した14試験]
ベースライン時ABPは148±7.5/92±5.6mmHg。平均17週間治療後のABPの変化は,SBPが6.5mmHg降圧(95%信頼区間5.3~7.7mmHg),DBPが4.5mmHg降圧(3.1~6.0mmHg)。
HCTZによるABPの低下は,他のクラスの降圧薬に比べて小さかった。
ACE阻害薬:-12.9/-7.7mmHg(P<0.003)。
ARB:-13.3/-7.8mmHg(P<0.001)。
β遮断薬:-11.2/-8.5mmHg(P<0.00001)。
Ca拮抗薬:-11.0/-8.1mmHg(P<0.05)。

[HCTZの用量別解析]
ABPの変化は,HCTZ 12.5mgで-5.7/-3.3mmHg,25mgで-7.6/-5.4mmHg,50mgで-12.0/-5.4mmHg。12.5mgと25mgの比較では有意差は認められなかったが(SBP:P=0.30,DBP:P=0.15),50mgは25mgに比べてSBPの変化が有意に大きく(P=0.04,DBPは有意差なし),他のクラスの降圧薬と同等レベルであった。


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