[大血管転帰]
・全死亡:厳格降圧治療は標準降圧治療に比べ10%低下(オッズ比[OR]0.90;95%信頼区間0.83-0.98)。
これは,おもに130mmHg<SBP≦135mmHgを達成したトライアル結果によるもので,交互作用のP=0.09。異質性は認められなかった。
・脳卒中リスクも17%低下(0.83;0.73-0.95),交互作用のP=0.005。
有効性はSBP≦130mmHgを達成したトライアルで大きく(交互作用のP=0.005),標準治療に比べるとORが47%低下した。異質性はない-低い(I 2=27.0%)。
・心血管死:OR 0.93;0.82-1.06(交互作用のP=0.22),心筋梗塞:0.92;0.80-1.06(交互作用のP=0.99),心不全:0.90;0.75-1.06(交互作用のP=0.20)は,厳格降圧と標準降圧の差はなかった。異質性は低い-中等度(心血管死:I 2=6.8%,心筋梗塞:0.0%,心不全:47.8%)。厳格降圧治療の有効性の推定値は,おもに130<SBP≦135mmHg達成試験によった。
[重篤な有害イベント]
重篤な有害イベントを報告したトライアルは少なかったが,厳格降圧治療により20%上昇(1.20;1.08-1.32)。より厳格な降圧(≦130mmHg)はリスクが40%増大(1.40;1.19-1.64,交互作用のP=0.01)。有意な異質性がみられた(I 2=78.8%)。
[細小血管転帰]
・新規発症微量アルブミン尿:厳格降圧治療は標準治療に比べリスクが17%低下(OR 0.83;0.77-0.89)。
・顕性腎症:27%低下。
厳格降圧治療によるリスク低下が大きかったのはより厳格な降圧(≦130mmHg)で標準降圧より36%低下した(交互作用のP=0.06)。しかし,異質性が中等度であった(I 2=61.3%)。
末期腎疾患,透析,クレアチニン値倍化については差はみられなかった。
・網膜症:厳格降圧治療,標準降圧治療による差は認められず,異質性は低かった(0.93;0.83-1.05,I 2=21.5%)。
・神経障害:降圧治療による違いはなく,異質性は中等度(1.26;0.98-1.62,I 2=26.9%。
[感度解析,メタ回帰分析]
bayesianの変量効果モデルによる感度解析でも同様の結果であった。より厳格な降圧(≦130mmHg)は脳卒中を有意に抑制したが,その他のイベントは抑制しなかった。
メタ回帰分析によると,<120mmHgでさらに脳卒中が抑制されることが示されたが,<130mmHgで重篤な有害イベントリスクが40%増大し,その他の転帰には有効性は認められなかった。
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