実臨床における降圧薬のアドヒアランスは薬剤クラスによる違いがある。
相対的に利尿薬とβ遮断薬が低く,ARBとACE阻害薬が高かったが,総じて不十分。
Kronish IM et al: Meta-analysis: impact of drug class on adherence to antihypertensives. Circulation. 2011; 123: 1611-21. PubMed
MEDLINE,Database of Abstracts of Reviews of Effects,National Health Service Economic and Evaluation Database,Health Technology Assessment Database,EMBASE,PsycINFOの電子データベース開設時から2009年2月1日までの文献を検索。検索用語は“adherence”または“compliance”,薬剤のクラス(β-blocker[BB],angiotensin converting enzyme inhibitor[ACEI]など),降圧薬の一般名および製品名。選択した文献の参考文献もハンドサーチ。
降圧配合剤のアドヒアランスに関する情報は抽出せず。
17研究のうち2組4研究は重複データを含んでいたため,このうちの2研究を除く15研究のデータを統合。RRの評価にオッズ比を用いているものと,ハザード比(HR)を用いているものにわけ,HRを主要評価項目とした。
結果
15研究の統合平均年齢は61.7歳,女性は53.1%。アドヒアランス観察の平均人・月は12.3か月。
・平均アドヒアランスは,β遮断薬28.4%(95%信頼区間28.1~28.8%),利尿薬51.0%(51.4~51.8%),Ca拮抗薬52.0%(51.6~52.5%),ACE阻害薬57.6%(57.2~57.9%),ARB 64.9%(64.3~65.6%)。
ARBは他のクラスと比較して有意にアドヒアランスが高かった(vs ACE阻害薬:HR 1.33,95%信頼区間1.13~1.57;vs Ca拮抗薬:1.57,1.38~1.79;vs 利尿薬:1.95,1.73~2.20;vs β遮断薬:2.09,1.14~3.85)。逆に,利尿薬は他のクラスに比べてアドヒアランスが有意に低かった。オッズ比で比較した結果も同様で,ARBがもっとも高く,利尿薬とβ遮断薬がもっとも低かった。
しかし,出版バイアスを考慮すると,ARB vs ACE阻害薬,利尿薬 vs β遮断薬の有意差は消失した。