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実臨床での降圧薬のアドヒアランスと薬剤クラス
pooled analysis

実臨床における降圧薬のアドヒアランスは薬剤クラスによる違いがある。
相対的に利尿薬とβ遮断薬が低く,ARBとACE阻害薬が高かったが,総じて不十分。
Kronish IM et al: Meta-analysis: impact of drug class on adherence to antihypertensives. Circulation. 2011; 123: 1611-21. PubMed

コメント

本論文はアドヒアランスを調査した論文をメタ解析したものである。
薬剤別にみるとアドヒアランスはARB(64.9%),ACE(57.6%)が高く,β遮断薬(28.4%),利尿薬(51.0%)が低く,Ca拮抗薬は52.0%であるという結果を示している。この成績はわが国の実臨床では異なると考えられる。その理由として,日本人ではACE阻害薬は咳の副作用のため,アドヒアランスがもっと低く,β遮断薬に関しては低用量が用いられるわが国ではもっと高いことが予想される。また欧米人はCa拮抗薬による下腿の浮腫の頻度が日本人よりもかなり多いことが欧米の臨床試験からも示されている。
しかし本試験の最大のメッセージは,どの薬剤も総じてアドヒアランスが低く,もっとも良好であるARBでさえも平均65%と70%に達していないことである。
アドヒアランスは長期的な治療を必要とする高血圧症においては非常に重要であるが,それを規定する要因としては,副作用,降圧効果,コストなどである。最近は家庭血圧の普及によって降圧効果を患者さん自身が評価する時代になってきており,降圧効果が弱い薬剤は自己判断で服薬を中止してしまうケースも少なくない。
実臨床では,降圧目標値が低くなっていることから,複数の降圧薬を服用している症例が多くなっており,むしろ相性のあう降圧薬同士を組み合わせることで降圧効果が増強し,コンプライアンスを上昇させる工夫が必要である(桑島)。

目的 高血圧治療ガイドラインは望ましい降圧薬を推奨しているが,これは臨床試験の結果に基づくところが大きい。選択バイアスやrun-in期間,綿密な患者追跡による行動強化などにより,臨床試験でのアドヒアランスは実際の臨床とは異なる可能性がある。降圧薬のクラスとアドヒアランスの関係を調査した文献は,母集団,比較した薬剤クラス,アドヒアランスの定義などが多様なため,薬剤クラスによるアドヒアランスの違いについて臨床的に意味のある結論を導き出すことは困難であった。
降圧薬のクラス(ARB,ACE阻害薬,Ca拮抗薬,β遮断薬,利尿薬)が降圧治療のアドヒアランスに及ぼす影響を定量的に評価するため,メタ解析を実施した。
対象 17研究,935,920例。北米および欧州において,1989~2004年に18歳以上の一般住民を対象として降圧治療のアドヒアランスを評価したコホート研究。評価にリフィル調剤(処方)データを用い,2種類以上の異なるクラス間でアドヒアランスを比較し,アドヒアランスの相対リスク(RR)と分散を算出するのに十分なデータを報告しているもの。
除外基準:交絡因子をまったく考慮していないもの,1時点のみの服薬に関するもの。
方法 MEDLINE,Database of Abstracts of Reviews of Effects,National Health Service Economic and Evaluation Database,Health Technology Assessment Database,EMBASE,PsycINFOの電子データベース開設時から2009年2月1日までの文献を検索。検索用語は“adherence”または“compliance”,薬剤のクラス(β-blocker[BB],angiotensin converting enzyme inhibitor[ACEI]など),降圧薬の一般名および製品名。選択した文献の参考文献もハンドサーチ。
降圧配合剤のアドヒアランスに関する情報は抽出せず。
17研究のうち2組4研究は重複データを含んでいたため,このうちの2研究を除く15研究のデータを統合。RRの評価にオッズ比を用いているものと,ハザード比(HR)を用いているものにわけ,HRを主要評価項目とした。
結果 15研究の統合平均年齢は61.7歳,女性は53.1%。アドヒアランス観察の平均人・月は12.3か月。
・平均アドヒアランスは,β遮断薬28.4%(95%信頼区間28.1~28.8%),利尿薬51.0%(51.4~51.8%),Ca拮抗薬52.0%(51.6~52.5%),ACE阻害薬57.6%(57.2~57.9%),ARB 64.9%(64.3~65.6%)。
ARBは他のクラスと比較して有意にアドヒアランスが高かった(vs ACE阻害薬:HR 1.33,95%信頼区間1.13~1.57;vs Ca拮抗薬:1.57,1.38~1.79;vs 利尿薬:1.95,1.73~2.20;vs β遮断薬:2.09,1.14~3.85)。逆に,利尿薬は他のクラスに比べてアドヒアランスが有意に低かった。オッズ比で比較した結果も同様で,ARBがもっとも高く,利尿薬とβ遮断薬がもっとも低かった。
しかし,出版バイアスを考慮すると,ARB vs ACE阻害薬,利尿薬 vs β遮断薬の有意差は消失した。

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