[血管造影上の鎖骨下動脈狭窄]
血管造影上で無症候性鎖骨下動脈狭窄が確認された患者のケースシリーズ研究(5研究;135症例)では,狭窄が認められた側の腕の推定平均血圧は他方よりも36.9mmHg(95%信頼区間35.4-38.4)低かった。血圧測定法の違いによる平均血圧差の違いはなかった(反復同時測定:33.5mmHg vs 逐次単回測定:37.1mmHg:平均血圧差3.6mmHg;-3.9-11.1,P>0.20)。
血管造影上の鎖骨下動脈狭窄の有病率と血圧左右差(逐次測定)が記録された2研究(532例)では,血圧左右差≧10mmHgと鎖骨下動脈狭窄(血管造影上の50%超の閉塞)との有意な関連が認められた(リスク比8.8;95%信頼区間3.6-21.2,P<0.0001:感度65%[35-86],特異度85%[82-88])。
[冠動脈疾患既往]
冠動脈疾患の既往と血圧左右差の関連の報告がある6研究(7コホート;すべて非侵襲的評価)では,血圧左右差≧10mmHgまた≧15mmHgと冠動脈疾患との有意な関連は認められず,血圧測定法やコホートによる違いもなかった。
[脳血管障害既往]
脳血管障害/一過性脳虚血発作の既往の報告がある4研究(5コホート;すべて非侵襲的評価)では,脳血管障害と血圧左右差≧15mmHgの関連が認められたが(1.63;1.10-2.41,P=0.01:感度8%[2-26],特異度93%[86-97]),両腕同時測定を行った非侵襲的研究に限定した場合は関連性は認められなかった。
[末梢血管疾患]
下肢末梢血管疾患の報告がある8研究(9コホート;ABI測定5コホート,末梢血管疾患既往4コホート)では,血圧左右差≧15mmHgは末梢血管疾患と有意に関連(2.48;1.63-3.77,P<0.0001;感度15%[9-23],特異度96%[94-98])。末梢血管疾患の評価方法,血圧測定法,コホートによる違いは認められなかった。血圧左右差≧10mmHgは5研究で末梢血管疾患と有意に関連(2.44;1.53-3.87,P=0.0002:感度32%[23-41],特異度91%[86-94])。血圧測定方法,コホートによる違いは認められなかった。
[死亡]
2研究(4コホート)で,血圧左右差≧15mmHgは全死亡と有意に関連(ハザード比1.55;1.07-2.25,P=0.02),血圧左右差≧15mmHgは心血管死と有意に関連(1.68;1.11-2.53,P=0.01)。
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