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上腕収縮期血圧の左右差と心血管疾患,死亡
meta-analysis

上腕の収縮期血圧差≧10・15mmHgは血管評価が必要な患者の同定に有用で,≧15mmHgの差は血管疾患,死亡リスクの指標となりうる。
Clark CE et al: Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2012; 379: 905-14. PubMed

コメント

本来上腕血圧の左右差はほとんどなく,±5mmHgの範囲内におさまるが,5-10%において左右差が10mmHg以上の症例がみられる。そのような症例では鎖骨下動脈の狭窄や末梢動脈の硬化性病変が多い。
本メタ解析によると,上腕収縮期血圧の差が10mmHg以上の症例では鎖骨下動脈の狭窄が有意に多く,また15mmHg以上では閉塞性動脈硬化症など末梢動脈疾患の合併のみならず脳血管疾患や心血管死,総死亡が多く,10mmHg以上でも末梢血管疾患が合併している確率が多いことを明らかにした。
日常診療では高血圧の初診患者では必ず左右の上腕血圧を測定するが,とくに血圧が瞬時に変化しやすい高齢者などでは時間的なギャップが正確な左右差の評価を困難にする。私の外来では左→右→左→右,と必ず左右2回ずつ測定し後半2回の血圧値で左右差の有無を判定している。
ときには脈波速度計で四肢同時に血圧を測定して確認することも必要である。
血圧の左右差は,動脈硬化のマーカーであることをこの論文は示している。(桑島

目的 末梢血管疾患は心血管イベントや死亡のリスク因子であり,早期検出による早期の治療が重要である。しかし,多くは無症候性であり,評価法のゴールドスタンダードである足首上腕血圧比(ABI)の測定には時間と経験とトレーニングを要する。このABIと同様に予後不良を予測する指標として,左右上腕の収縮期血圧(SBP)差≧10mmHgまたは≧15mmHgが指摘されている。また,左右差≧15mmHgは鎖骨下動脈狭窄およびアテローム性プラークとの関連性も示唆されている。そこで,左右上腕の血圧差と鎖骨下動脈狭窄,末梢/心血管疾患,心血管死,全死亡リスクが関連するかを検証するため,メタ解析を行った。
対象 20研究。成人(≧18歳)を対象に左右の腕の血圧差を検討したコホート研究または横断研究で,中心血管(冠動脈,脳血管,大動脈弓)疾患,末梢血管(鎖骨下動脈,下肢)疾患,死亡(全死亡,心血管死)のデータが報告されたもの。症例報告は除外。
方法 Medline,Embase,Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature,Cochrane Library,Medline In Process databasesを検索(~2011年7月31日)。著者所有の参考文献集と選択した初期研究の参考文献も検索。言語制限なし。必要に応じて,選択した初期研究の著者から詳細情報と未発表データを入手。
SBPの左右差≧10mmHgまたは≧15mmHgと鎖骨下動脈狭窄,脳血管障害,心血管疾患の関連性を評価。サブグループ解析として血圧測定法(反復同時測定,逐次単回測定)とコホート(地域,病院)による評価も実施。
結果 [血管造影上の鎖骨下動脈狭窄]
血管造影上で無症候性鎖骨下動脈狭窄が確認された患者のケースシリーズ研究(5研究;135症例)では,狭窄が認められた側の腕の推定平均血圧は他方よりも36.9mmHg(95%信頼区間35.4-38.4)低かった。血圧測定法の違いによる平均血圧差の違いはなかった(反復同時測定:33.5mmHg vs 逐次単回測定:37.1mmHg:平均血圧差3.6mmHg;-3.9-11.1,P>0.20)。
血管造影上の鎖骨下動脈狭窄の有病率と血圧左右差(逐次測定)が記録された2研究(532例)では,血圧左右差≧10mmHgと鎖骨下動脈狭窄(血管造影上の50%超の閉塞)との有意な関連が認められた(リスク比8.8;95%信頼区間3.6-21.2,P<0.0001:感度65%[35-86],特異度85%[82-88])。

[冠動脈疾患既往]
冠動脈疾患の既往と血圧左右差の関連の報告がある6研究(7コホート;すべて非侵襲的評価)では,血圧左右差≧10mmHgまた≧15mmHgと冠動脈疾患との有意な関連は認められず,血圧測定法やコホートによる違いもなかった。

[脳血管障害既往]
脳血管障害/一過性脳虚血発作の既往の報告がある4研究(5コホート;すべて非侵襲的評価)では,脳血管障害と血圧左右差≧15mmHgの関連が認められたが(1.63;1.10-2.41,P=0.01:感度8%[2-26],特異度93%[86-97]),両腕同時測定を行った非侵襲的研究に限定した場合は関連性は認められなかった。

[末梢血管疾患]
下肢末梢血管疾患の報告がある8研究(9コホート;ABI測定5コホート,末梢血管疾患既往4コホート)では,血圧左右差≧15mmHgは末梢血管疾患と有意に関連(2.48;1.63-3.77,P<0.0001;感度15%[9-23],特異度96%[94-98])。末梢血管疾患の評価方法,血圧測定法,コホートによる違いは認められなかった。血圧左右差≧10mmHgは5研究で末梢血管疾患と有意に関連(2.44;1.53-3.87,P=0.0002:感度32%[23-41],特異度91%[86-94])。血圧測定方法,コホートによる違いは認められなかった。

[死亡]
2研究(4コホート)で,血圧左右差≧15mmHgは全死亡と有意に関連(ハザード比1.55;1.07-2.25,P=0.02),血圧左右差≧15mmHgは心血管死と有意に関連(1.68;1.11-2.53,P=0.01)。

(収載年月2012.04)
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