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心血管イベント抑制—chlorthalidone vs hydrochlorothiazide
meta-analysis

chlorthalidoneは hydrochlorothiazideよりも心血管イベント抑制効果に優れる。
Roush GC, et al. Chlorthalidone compared with hydrochlorothiazide in reducing cardiovascular events: systematic review and network meta-analyses. Hypertension. 2012; 59: 1110-7. PubMed

コメント

サイアザイド系類似薬であるクロルタリドンの降圧効果がサイアザイド系降圧利尿薬であるヒドロクロロチアジドよりも強いことはすでにいくつか報告があるが,本メタ解析はそれを決定的に裏付ける成績を示している。クロルタリドンの心血管抑制効果は薬剤用量補正でも,降圧度補正でもヒドロクロロチアジドよりも有意に強いことが示されている。クロルタリドンを27人に5年間使用することで1件の心血管イベントを回避させることができる(NNT=27)。著者らはクロルタリドンの心血管予防効果は,降圧を超えたpleomorphic effectによるものかもしれないと結論付けている。
わが国では残念ながらクロルタリドンは発売中止になっており,ARBの配合剤に使用されている利尿薬はすべてヒドロクロロチアジドである。しかしわが国では類似薬としてクロルタリドンと同等の降圧効果と心血管イベント抑制効果が期待できるインダパミドが使用可能である。(桑島

目的 サイアザイド系利尿薬はガイドラインで高血圧の一次治療薬として推奨されているが,実際の処方数はhydrochlorothiazide(HCTZ)がchlorthalidone(CTDN)の>20倍と多い。ここ数年は両者の薬理学的な比較が行われ,CTDNのほうが好ましいとの報告もあるが,心血管イベントをエンドポイントとして両者を直接比較したランダム化比較試験(RCT)はない。そこで,両者の心血管イベント予防効果を比較するため,いずれかを第一選択として使用したRCTのシステマティックレビューを行い,2種類のネットワークメタ解析を実施した。
対象 78,350例・9試験*。1群にHCTZまたはCTDNを第一選択薬として使用し,全死亡または心血管イベント(心筋梗塞,冠動脈疾患の新規診断,脳卒中,うっ血性心不全)に対する降圧治療の効果を検討したRCT。第一選択の利尿薬が別の降圧薬と併用された場合,別の降圧薬が対照群で第一選択薬として使用された場合も含めた。
* HCTZ:ANBP2,ACCOMPLISHなど3試験;CTDN:HDFP,SHEP,ALLHAT(3試験),SHELLの6試験。
除外基準:エンドポイントが左室肥大,頸動脈壁病変など。
■患者背景(8試験):平均年齢67-72歳,約半数が女性。
方法 PubMedおよびOvidのほか,過去のレビュー論文も検索。検索語は降圧治療,高血圧,心血管転帰,試験デザインに関連する用語。
薬剤で調整したネットワークメタ解析と診察室収縮期血圧(SBP)で調整したネットワークメタ解析を実施。
結果 [薬剤で調整した解析(50,946例・4試験)]
HCTZ群と比較すると,CTDN群はうっ血性心不全のリスク(相対リスク0.77;95%信頼区間0.61-0.98,P=0.032),心血管イベントリスク(0.79;0.72-0.88,P<0.0001)が有意に低かった。全死亡と脳卒中のリスクには両群間差はみられなかった。
ANBP2の結果に基づくと,HCTZ群と比較して,CTDN治療により5年間に心血管イベント1例を予防するための治療必要数(NNT)は27。

[診察室SBPで調整した解析(78,350例・9試験)]
CTDNはHCTZよりも心血管イベントリスクが低かった(0.82;0.70-0.97,P=0.024)。感度分析の結果も変わらなかった。
両群の診察室SBPの低下が同等の場合,CTDN群の心血管イベントリスクは非利尿薬群と同等であったが,HCTZ群は非利尿薬群よりも高リスクであった(1.19;1.03-1.37,P=0.021)。

(収載年月2012.07)
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