心不全非合併患者におけるACE阻害薬,ARBの影響
meta-analysis
高リスクの非心不全患者において,ACE阻害薬,ARBはいずれも心血管イベントリスクを有意に抑制する。
Savarese G, et al: A meta-analysis reporting effects of angiotensin-converting enzyme inhibitors and angiotensin receptor blockers in patients without heart failure. J Am Coll Cardiol. 2013; 61: 131-42. PubMed
目的 |
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ACE阻害薬が心不全(HF)を合併していない高リスク患者において心血管イベントリスクを抑制することは,ランダム化比較試験(RCT)とメタ解析で確認されている。しかしARBについては,HF患者ではその効果が示されているものの,非HF患者での有効性は確立されていない。
心血管疾患高リスクの非HF患者においてACE阻害薬またはARBの転帰に対する効果を検証するため,プラセボを対照としたRCTのメタ解析を実施した。
エンドポイントは,心血管死,心筋梗塞(MI),脳卒中の複合エンドポイント,全死亡,新規発症HF,新規発症糖尿病。 |
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対象 |
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26試験*・10万8,212例(ACE阻害薬投与例53,791例,ARB投与例54,421例)。HF非発症の高リスク患者において,ACE阻害薬またはARBとプラセボを比較したランダム化二重盲検試験で,エンドポイントに関する情報を報告しているもの。
* ARB(13試験):ROADMAP(olmesartan), NAVIGATOR(valsartan), TRANSCENSD, PROFESS(telmisartan), DIRECT-PROTECT-1, -2, DIRECT-PREVENT-1, SCOPE(candesartan), IDNT, IRMA-2(irbesartan), RENAAL(losartan)など。
ACE阻害薬(13試験):IMAGINE, QUIET(quinapril), DREAM, DIABHYCAR, HOPE(ramipril), CAMELOT(enalapril), PEACE(trandolapril), EUROPA, PROGRESS(perindopril)など。
■患者背景:平均年齢(ACE阻害薬投与例58.3歳,ARB投与例57.7歳),女性(26%,44%;P<0.05)。
試験背景:平均追跡期間(ACE阻害薬の試験3.66年,ARBの試験3.69年)。 |
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方法 |
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MEDLINE, Cochrane Database, ISI Web of Science, SCOPUSを検索(2012年6月までに発表された論文)。言語制限なし。検索された論文の参考文献と研究者からの情報も調査した。 |
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結果 |
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[プラセボ群のイベント発生率]
ACE阻害薬の試験とARBの試験とで,プラセボ群のイベント発生率に有意差はなかった(複合エンドポイント:27 vs 25イベント/1,000人・年[P=0.608],全死亡:21 vs 19イベント/1,000人・年[P=0.898],新規発症HF:7 vs 6イベント/1,000人・年[P=0.784],新規発症糖尿病:15 vs 24イベント/1,000人・年[P=0.176])。
[ACE阻害薬]
ACE阻害薬はプラセボ群にくらべ,下記のリスクを有意に抑制した。
複合エンドポイント:オッズ比0.830;95%信頼区間0.744~0.927(P=0.001;異質性P=0.002)。
MI:0.811;0.748-0.879(P<0.001;P=0.438)。
脳卒中:0.796;0.682-0.928(P<0.004;P=0.115)。
全死亡:0.908;0.845-0.975(P=0.008;P=0.368)。
新規発症HF:0.789;0.686-0.908(P=0.001;P=0.252)。
新規発症糖尿病:0.851;0.749-0.965(P<0.012;P=0.069)。
心血管死のリスクは10%低下したが,有意には至らなかった。
[ARB]
ARBは下記のリスクを有意に抑制した。
複合エンドポイント:0.920;0.869-0.975(P=0.005;P=0.686)。
脳卒中:0.900;0.830-0.977(P=0.011;P=0.469)。
新規発症糖尿病:0.855;0.798-0.915(P<0.001;P=0.819)。
心血管死,MI,全死亡,新規発症HFは抑制しなかった。
[出版バイアス]
Macaskill’s modified検定で,いずれのイベントについても出版バイアスは認められなかった。
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