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治療抵抗性高血圧に対する腎除神経の効果
meta-analysis

治療抵抗性高血圧患者において,腎除神経は6ヵ月後に著明な降圧効果をもたらした。これは,研究デザインやカテーテルの種類によらず認められた。
Davis MI, et al. Effectiveness of renal denervation therapy for resistant hypertension: a systematic review and meta-analysis. J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 231-41. PubMed

コメント

腎除神経(RDN)治療は現在,ドイツ,オーストラリアを中心に治療抵抗性高血圧に対する新しい試みとして活発に行われている。当然のことながら症例数は少ないため統計学的な解析の俎上にあがるにはいたらなかった。しかし本論文では過去5年間に世界で行われたRDN 561例の治療効果をメタ解析し,その有効性を確認した。本メタ解析に含まれる論文はランダム化比較試験のみでなく観察研究も含まれるため,解析対象の異質性はあるものの,収縮期血圧(SBP),拡張期血圧とも著明に低下させたという結論に影響するものではない。
治療効果が著しいことの他に明らかになったことは,SBP下降が10mmHg未満のnon-responderが13.3%とかなり低いことと,手技に関連した有害事象が1例の腎動脈解離と,4例の大腿動脈仮性動脈瘤だけという少なさである。
しかしメタ解析で注意しなければならないことは,不成功例が多かったり,有害事象が多かった場合には論文化されない場合もあることを念頭において解釈しなければならないことである。(桑島

目的 3種類以上の降圧薬を服用中にもかかわらず収縮期血圧(SBP)コントロール不良の治療抵抗性高血圧は,高血圧患者の10-20%と報告されており,薬物治療の選択肢が限られている。
ラジオ波プローブを使用して腎交感神経を焼灼する腎除神経(RDN)は,さまざまなカテーテルを用いた研究で検討されてきた。治療抵抗性高血圧に対するRDNは現在カナダと欧州で承認されており,米国では承認待ちの状態である。これまで全世界で4,000例以上に使用されているRDNカテーテルシステムもあるが,急速な普及にもかかわらずRDNの実施を支持するエビデンスの包括的なレビューはまだ行われていない。
治療抵抗性高血圧におけるRDNのエビデンスを体系的にレビューし,降圧効果を定量化するメタ解析を実施した。
一次エンドポイントはRDN後3-6ヵ月のSBP,拡張期血圧(DBP)の低下。
対象 12研究*・561例(RDN実施は2008-‘12年)。RDN群と標準薬物治療群とで降圧効果を比較したランダム化比較試験(RCT)または観察研究,単群においてRDN前後の血圧を比較した前後比較研究(対照群のない観察研究)で,下記の基準を満たすもの:現行のカテーテルとラジオ波プローブを用いたRDN,対象が治療抵抗性高血圧患者,症例数≧10例,血圧の追跡期間≧3ヵ月。
* RCT:2試験(Symplicity HTN-2など;133例),対照群のある観察研究:1研究(50例),対照群のない観察研究:9研究(Symplicity HTN-1など;396例)。
■背景:平均年齢60歳,男性60%,2型糖尿病35%,冠動脈疾患18%,平均服用降圧剤数5剤,追跡期間6ヵ月(中央値)。
方法 PubMed,EMBASE,Cochrane Collaboration databaseで過去5年間に発表された英語の文献を検索(2012年12月1日まで)。参考文献,PubMedのrelated articlesも調査。
結果 [一次エンドポイント]
・RCT+対照群のある観察研究
RDN群における薬物治療群と比較したSBP,DBPの変化は下記の通り。
6ヵ月後:-28.9mmHg(95%信頼区間-37.2--20.6mmHg),-11.0mmHg(-16.4--5.7);ともにP<0.0001。
3ヵ月後:-20.8mmHg(-26.4--15.2),-7.6mmHg(-11.0--4.2)。
12ヵ月後:-25.4mmHg(-27.8--23.0),-10.0mmHg(-11.0--9.0)。
試験間に中等度の異質性がみられた(3ヵ月後:I ²=0,6ヵ月後:I ²=50-60%)。
・対照群のない観察研究
RDN後のRDN前と比較したSBP,DBPの変化は下記の通り。
6ヵ月後:-25.0mmHg(-29.9--20.1),-10.0mmHg(-12.5--7.5);ともにP<0.00001。
3ヵ月後:-22.8mmHg(-26.3--18.5),-9.1mmHg(-12.1--6.1)。
12ヵ月後:-22.8mmHg(-29.6--16.0),-10.6mmHg(-15.0--6.0)。
試験間に顕著な異質性がみられた(3ヵ月後:I ²=66%,80%,6ヵ月後:I ²=70%,50%)。
ベースライン血圧が低い患者を含む1研究を除外した感度分析では,異質性は消失した(I ²=0)が,血圧の変化は同様であった。
RDN後の24時間自由行動下血圧の変化を6ヵ月間追跡した6研究では,診察室血圧測定のみの研究にくらべ,全般的な血圧反応が小さかった(-13.2mmHg[-19.4--7.0];P<0.0001,-7.3mmHg[-10.2--4.5];P<0.00001)。異質性はSBPのみで認められた(I ²=76%)。

[二次エンドポイント:カテーテル別の血圧変化,nonresponder rateなど]
RDN後の血圧値の変化に,使用したカテーテル5種類(Symplicity,Celsius,Navistar,Marinr,PARADISE)による差異は認められなかった。
nonresponder rate(SBP低下<10mmHg)は13.3%で,nonresponder rateがもっとも高い研究を除外すると11.7%に低下した。
追跡期間中の死亡の報告はなかった。
手技上の合併症は5件(<1%):腎動脈解離1件,動脈穿刺部位の仮性動脈瘤4件。

(収載年月2013.09)
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