[SBP低下とCVD]
メタ回帰分析の結果,RRはCADと腎不全を除き降圧度に比例して有意に低下した。
SBP 10mmHg低下ごとのリスクの低下は,脳卒中(54試験;RR 0.73[95%信頼区間0.68-0.77])と心不全(43試験;0.72[0.67-0.78])が,他より大きかった(CVD[55試験];0.80[0.77-0.83],CAD[56試験];0.83[0.78-0.88],全死亡[57試験];0.87[0.84-0.91],腎不全[16試験];0.95[0.84-1.07])。
[ベースライン血圧,併存疾患の影響]
ベースライン血圧値を問わず,すべてのイベントでSBP 10mmHg低下によるリスク低下は同等であった(P for trend >0.05)。
併存疾患別では,ベースライン時のCVD既往,CADの有無は結果に影響を及ぼさなかった(交互作用P>0.05,P>0.03))。
脳血管疾患非既往例は既往例より降圧による脳卒中リスクの低下が大きかった(交互作用P=0.0028)。
糖尿病非合併例(RR 0.75)は合併例(RR 0.88)よりCVDリスクの低下が大きかった(交互作用P=0.0006)。
心不全合併例では,降圧により腎不全リスク(2試験・84例)が上昇する可能性が示された。
CKD非合併例(RR 0.68)は合併例(0.84)より降圧によるCVDリスクの低下が大きかった(交互作用P=0.012)。さらに心不全においても交互作用が認められ(P=0.0008),CKD非合併例では有意なリスク低下を認めたが(RR 0.48),合併例では認めなかった(0.95)。
[降圧薬のクラス別解析]
β遮断薬を除き,降圧によるイベントリスクの低下は同等であった。β遮断薬は他のクラスにくらべ,主要CVD(1.17[1.11-1.24]),脳卒中(1.24[1.14-1.35]), 腎不全(1.19[1.05-1.34])のリスク低下が小さく,全死亡では有意差はなかったものの有効性が低かった(1.06[1.01-1.12])。
Ca拮抗薬は他のクラスにくらべ脳卒中予防に優れていたが(0.90[0.85-0.95]),心不全予防効果が小さかった(1.17[1.11-1.24])。一方,利尿薬は他の薬剤にくらべ心不全予防に優れ(0.81[0.75-0.88]),心不全の試験を解析に含めても同様の結果であった。
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