平均追跡期間は3.5年。
総対象人数・年は94万6,582人・年。
[脂質低下治療と脳卒中の関係]
・脂質低下治療により脳卒中リスクは有意に低下した(オッズ比[OR]0.88;95%CI 0.83~0.94,P<0.001)。
・スタチン治療により脳卒中のリスクは有意に低下したが(OR 0.85;0.78~0.92,P<0.001),その他の治療では有意な低下は認められなかった(OR:フィブラート系薬剤0.98,食事療法,手術ともに0.92,その他0.81)。
[致死的/非致死的脳卒中に対する効果]
・致死的脳卒中については(66試験),脂質低下治療による影響(OR 0.99)もスタチン系薬剤(OR 0.98)またはその他の脂質低下治療による影響も認められなかった。
・非致死的脳卒中(44試験)は脂質低下治療により有意に減少した(OR 0.87;0.81~0.94,P<0.001)。また,スタチン系薬剤では非致死的脳卒中の有意な減少が認められたが(OR 0.81;0.74~0.89,P<0.001),その他の治療では認められなかった。
[感度分析]
対照群の死亡リスク,デザイン(オープン/盲検),臨床セッティング(一次予防/二次予防/混合),脳卒中の既往,TCおよびTG低下は試験結果に影響したが,試験期間,結果文献発表年,平均年齢,心筋梗塞既往例および糖尿病患者の割合,心不全,ベースライン脂質値などによる影響はみられなかった。
[血中脂質濃度の低下率と脳卒中との関係]
TCの低下率と脳卒中の低下率には有意な関係が認められ(P=0.0017),TC値が1%低下するごとに脳卒中リスクは0.8%低下した。LDL-Cについても同様の有意な関係が認められ,単変量解析ではLDL-C値が10%低下するごとに脳卒中のリスクが4%低下した。HDL-Cとの有意な関連はみられず,TGの変化とは一貫した関連性はみられなかった。
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