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CKD患者におけるフィブラート系薬剤の効果
meta-analysis

フィブラート系薬剤は慢性腎臓病患者の脂質値を改善し,心血管イベントを予防する。
Jun M, et al. Effects of fibrates in kidney disease: a systematic review and meta-analysis. J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 2061-71. PubMed

コメント

フィブラートを用いた大規模臨床試験については,十分なコンセンサスがないのが現状である。最近のメタ解析によりフィブラートにより,13%の冠動脈疾患の抑制効果があることが示されたが,多くは初期のゲムフィブロジル(本邦未発売)を用いた試験における有効性が強調されているものと思われる。しかし,トリグリセライド(TG)が高く,HDL-Cが低いような患者のサブ解析をするとほぼ有効性があることから,フィブラート投与時には症例を選択する必要があることを示唆している。本研究では特にCKDを対象としたメタ解析を見ている。フィブラートは腎排泄型が多いことを考えると,処方を控えがちな対象であるが,CKD患者にはHDL-Cが低く,TGが高い患者も多いことから,軽症のCKDであれば,その対象となる可能性があるものと示唆される。CKD患者ではアルブミン尿の減少が認められるという点は,FIELDなどの単独の試験と同様の結果であるが,とくに心血管疾患の予防効果も示されたという点は特筆すべき事実と思われる。ただし,CKDといっても極めて軽症のCKDに限るということをはっきり認識すべきである。(寺本

目的 フィブラート系薬剤は心血管高リスク者においてある程度の心血管リスク抑制効果をもたらすが,慢性腎臓病(CKD)患者での有用性は明らかでない。
CKD患者を対象にフィブラート系薬剤の有効性と安全性をプラセボと比較したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。
エンドポイントは脂質値,アルブミン尿,血清クレアチニン,末期腎疾患,主要心血管イベント,有害事象。
対象 16,869例。8試験(10論文)*。CKD患者を対象にフィブラート系薬剤の腎イベント,心血管イベントに対する有効性をプラセボと比較したRCTで,一次エンドポイント,あるいは二次エンドポイントのうち1つ以上の結果の報告があるもの。
* VA-HIT post hocサブグループ解析,DAIS,ACCORD,FIELDサブ解析など。
■患者背景:平均年齢51-67歳,男性63-100%。
方法 Ovid MEDLINE(1950~2012年1月),EMBASE(1966~2012年1月),Cochrane Libraryを検索。参考文献とレビュー論文もハンドサーチ。米国政府の臨床試験データベースも検索し,未発表の終了試験を特定。
結果 [脂質値(3試験)]
軽症-中等症のCKD患者(推算糸球体濾過量[eGFR]≦60mL/分/1.73m²)において,フィブラート系薬剤により総コレステロール(-12.37mg/dL,P=0.05;I ²=48%),トリグリセライド(-49.60mg/dL,P=0.03;I ²=72%),HDL-C(+2.32mg/dL,P<0.001;I ²=0%)は有意に改善。LDL-Cは変化しなかった(-0.39mg/dL,P=0.83;I ²=0%)。

[アルブミン尿]
フィブラート系薬剤により,2型糖尿病患者でアルブミン尿の進展(3試験;相対リスク0.86;95%信頼区間0.76-0.98,P=0.02;I ²=63%),アルブミン尿の退縮(2試験;1.19;1.08-1.31,P=0.0005;I ²=0%)ともに有意に改善した。

[腎関連転帰]
フィブラート系薬剤により血清クレアチニンは上昇し(3試験;0.37mg/dL,P<0.001),eGFRは低下したが(3試験:-2.67mL/分/1.73m²,P=0.01),末期腎疾患リスクへの影響は認められなかった(2試験:0.85;0.49-1.49,P=0.575)(すべてI ²=0%)。

[主要心血管イベント(2試験:12,326例)]
5年の追跡で主要心血管疾患1,970件,心血管死377例,脳卒中467例,全死亡1,097例。
eGFR 30~59.9mL/分/1.73m²の患者では,フィブラート系薬剤により主要心血管イベント(0.70;0.54-0.89,P=0.004)と心血管死(0.60;0.38-0.96,P=0.032)のリスクが低下したが(ともにI ²=0%),全死亡と脳卒中のリスクは低下しなかった。

[有害事象]
データは限られるが,安全性の問題は認められなかった。

(収載年月2013.06)
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