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アテローム生成性リポ蛋白超低値と心血管イベントリスク
pooled analysis

スタチン治療によるLDL-C,non-HDL-C,apoBの低下は個人間変動が大きく,高用量スタチン投与例の40%がLDL-C<70mg/dLを達成できない。LDL-C<50mg/dL達成例のCVD低下は75-<100mg/dL例よりも有意に大きい。
Boekholdt SM et al: Very low levels of atherogenic lipoproteins and the risk for cardiovascular events: a meta-analysis of statin trials. J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 485-94. PubMed

コメント

すでに,スタチン治療で確実な心血管イベント(CVE)の予防効果が証明されてきたが,いったいLDL-Cをどこまで低下させるべきかという議論に直接答える試験がなされてこなかった。ほとんどが,最大用量治療と標準的治療との比較であり,高リスク患者では最大用量治療が有意にCVE抑制効果を示してきた。平均値で見ると当然最大用量でのスタチン治療によるLDL-Cの低下の程度が強く,そのことが有意にCVE抑制に効果的であるということから2013年のACC/AHAガイドラインでも最大用量のスタチンを使うことの妥当性を認めたのである。しかし,個々人の反応性が異なることは,多くの試験から分かっていることであり,本論文でもガイドラインの示しているLDL-C<70mg/dLという目標値に達しているのは60%未満としている。このような個々人のばらつきの中で,ガイドラインの目標値到達者でCVE発症が有意に少なかったということは,やはり,患者のLDL-Cもしくはnon HDL-Cを目標値として治療することが望ましいのではないかとした報告である。ACC/AHAガイドラインに対する反論のようでもあるが,高リスクの場合は十分な治療が必要であるという概念には違いがないものと思われる。IMPROVE-IT試験で69mg/dLより53mg/dLに到達した群でCVE抑制が有意に高いことが発表され,さらに今後,PCSK9抗体による治療も視野に入れるとthe lower, the betterという治療戦略が新たなステージに入ってきたように思われる。(寺本

目的 スタチン治療で達成されるアテローム生成性リポ蛋白レベルは非常に個人差が大きく,その差が心血管疾患(CVD)リスクに及ぼす影響は十分に確立されていない。
そこで,下記3点を検証するため,メタ解析を実施した。
1) LDL-C,non-HDL-C,アポリポ蛋白B(apoB)低下の個人間変動。
2) 高用量スタチンで上記脂質がガイドライン推奨値まで低下しない患者の割合。
3) スタチンにより達成した上記脂質の超低値とCVDリスクの関連。
一次エンドポイントは,初発の主要CVD(心筋梗塞[MI],その他の致死的冠動脈疾患[CAD],不安定狭心症による入院,脳卒中)。
対象 8試験*・38,153例。少なくとも1群がスタチン治療群のランダム化比較試験で,ベースライン時とスタチン治療中の脂質値(総コレステロール,LDL-C,HDL-C,トリグリセライド,アポリポ蛋白)が測定されているもの。
除外基準:追跡期間<2年,対象<1,000例。
* 4S, AFCAPS/TexCAPS, LIPID, CARDS, TNT, IDEAL, SPARCL, JUPITER。
方法 PubMedを検索(2011年12月31日まで)。
個別患者データを収集して解析。高用量スタチンはatorvastatin 80mgまたはrosuvastatin 20mg,通常用量はその他の全スタチンと定義。
結果 [一次エンドポイント]
15万5,573人・年の追跡で,発生は5,387例(14.1%)・6,286件(致死的MI:158件[0.4%],非致死的MI:1,678件[4.4%],その他の致死的CAD:615件[1.6%],脳卒中:1,029件[2.7%],不安定狭心症による入院:2,806件[7.4%])。

[LDL-C,non-HDL-C,apoB低下の個人間変動]
waterfall(ウォーターフォール)プロットでLDL-C,non-HDL-C,apoBのベースラインから1年後までの低下率の分布をみると,スタチン固定用量で達成した各脂質値には大きな個人間変動がみられた。

[高用量スタチンでの脂質値非達成例]
高用量スタチン投与例は18,677例(TNT,IDEAL,SPARCL,JUPITER),平均達成LDL-C値は69.6mg/dL。非達成例の割合は下記の通り。
・LDL-C<100mg/dL:2,364例(12.7%),<70mg/dL:7,546例(40.4%),<50mg/dL:14,600例(78.3%)。
・non-HDL-C<130mg/dL:2,176例(11.7%),<100mg/dL:6,285例(33.7%)。
・apoB<100mg/dL:2,740例(14.7%),<80mg/dL:6,662例(35.7%)。

[低脂質値と一次エンドポイントの関連]
各脂質の達成値から推定される一次エンドポイントリスクは下記の通り。
・LDL-C≧175mg/dL と比較して,<50mg/dL:調整ハザード比0.44(95%信頼区間0.35-0.55),50-<75mg/dL:0.51(0.42-0.62),75-<100mg/dL:0.56(0.46-0.67),100-<125mg/dL:0.58(0.48-0.69),125-<150mg/dL:0.64(0.53-0.79),150-<175mg/dL:0.71(0.56-0.89)。
<50mg/dL例は75-<100mg/dL例と比較しても有意に低かった(0.81[0.70-0.95])。
・non-HDL-C≧200mg/dLと比較して,<75mg/dL:0.57(0.47-0.69),75-<100mg/dL:0.60(0.51-0.71),100-<125mg/dL:0.64(0.54-0.75),125-<150mg/dL:0.69(0.59-0.81),150-<175mg/dL:0.75(0.63-0.89),175-<200mg/dL:0.89(0.73-1.08)。
・apoB≧175mg/dLと比較して,<50mg/dL:0.59(0.40-0.88),50-<75mg/dL:0.55(0.43-0.71),75-<100mg/dL:0.59(0.46-0.76),100-<125mg/dL:0.64(0.50-0.82),125-<150mg/dL:0.71(0.55-0.92),150-<175mg/dL:0.91(0.69-1.20)。
試験間の異質性は低く(LDL-C:I ²=0%,non-HDL-C:0%,apoB:26%),funnel plotから出版バイアスはみられなかった。

(収載年月2015.02)
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