ベースライン時の心血管リスクが同等の男女において,スタチンの主要血管イベント抑制効果は同等(Cholesterol Treatment Trialists':CTT)。
Fulcher J, et al.; Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of LDL-lowering therapy among men and women: meta-analysis of individual data from 174,000 participants in 27 randomised trials. Lancet. 2015; 385: 1397-405. PubMed
27試験・174,149例(うち女性46,675例[26.8%])*。スタチン群 vs 対照群,強化治療群 vs 標準治療群のRCTで,介入の主効果がLDL-Cの低下であり,この介入に対する交絡因子がなく(LDL-C以外の危険因子の改善が意図されていない),目標登録症例数≧1,000例,治療期間≧2年の試験。 * スタチン群 vs 対照群(22試験・134,537例):4S(女性19%),LIPID(17%),HPS(25%),PROSPER(52%),ALLHAT-LLT(49%),ASCOT-LLT(19%),4D(46%),MEGA(68%),JUPITER(38%),GISSI-HF(23%),CORONA(24%)など;強化治療群 vs 標準治療群(5試験・39,612例):PROVE-IT(22%),A to Z(24%),TNT(19%),IDEAL(19%),SEARCH(17%)。
■背景:年齢(女性65.1歳,男性61.8歳),現喫煙(16.3%,20.4%),BMI中央値(27.2kg/m²,27.0kg/m²),高血圧(60.0%,47.5%),血圧(140.4/80.1,137.8/81.3mmHg),総コレステロール(216.6,205.0mg/dL),LDL-C(131.5,127.6mg/dL),HDL-C(50.3,42.5mg/dL),トリグリセライド(115.1,97.4mg/dL),MI既往(23.6%,41.5%),他の症候性CAD既往(29.5%,41.2%),糖尿病(23.6%,17.8%);全P<0.0001,追跡期間中央値4.9年。
[LDL-Cの低下]
スタチン・強化治療によるベースラインから1年後までの脂質値(総コレステロール,LDL-C,トリグリセライド)の低下は,男女で同等であった(スタチン群 vs 対照群の試験でのLDL-C低下:約43mg/dL,強化治療群 vs 標準治療群:約19mg/dL)。
[血管イベント]
主要血管イベントリスクは男女ともに有意に低下し,有意な性差は認められなかった(女性:性差以外の因子で調整後のLDL-C 1.0mmol/L低下ごとの率比0.84;99%信頼区間0.78-0.91,P<0.0001,男性:0.78;0.75-0.81,P<0.0001;性差P=0.331)。
試験のタイプ別の解析結果も,スタチン群 vs 対照群では女性の低下のほうがわずかに小さかったものの,同様であった(スタチン群 vs 対照群:性差P=0.051;強化治療群 vs 標準治療群:P=0.570)。
5年主要血管イベントリスクによる層別解析では,10~<20%群でのみ有意な性差を認めたが(女性:0.88;0.77-1.00,男性:0.76;0.70-0.83;性差P=0.03),その他では<10%群も含めて性差は認められなかった。
主要冠イベント(女性0.83;0.74-0.93,男性:0.74;0.70-0.78;P=0.10),血行再建術(0.76;0.66-0.87,0.75;0.71-0.80;P=0.15),脳卒中(0.90;0.78-1.04,0.83;0.76-0.90;P=0.31)の結果も同様であった。