多枝病変において,長期死亡率はCABGとPCIは同等である。これは,大半のサブグループでも同様であるため,どちらの治療をチョイスするかは死亡以外の転帰に対する患者の希望にそうべきである。
死亡の観点からはCABGは糖尿病,>65歳でより良い選択といえそうである。
Hlatky MA et al: Coronary artery bypass surgery compared with percutaneous coronary interventions for multivessel disease: a collaborative analysis of individual patient data from ten randomised trials. Lancet. 2009; 373: 1190-7. PubMed
[主要アウトカム評価項目:全死亡率]
・全死亡は,PCI群628/3923例(16%) vs CABG群575/3889例(15%)で両群間差はみられなかった:ハザード比(HR)0.91;95%信頼区間0.82~1.02(P=0.12)。
(サブグループでの死亡率)
・年齢:55歳未満の死亡率はPCI群の方が低かった(PCI群88/1122例[7.8%] vs CABG群107/1063例[10.0%]:HR 1.25)。しかし,55~64歳(220/1456例[15.1%] vs 201/1477例[13.6%]),≧65歳(319/1341例[23.8%] vs 267/1347例[19.8%])ではCABG群の方が低かった(P=0.002 for interaction)。
・糖尿病合併例(1233例:PCI群618例,CABG群615例)での死亡率はPCI群よりCABG群の方が低かった(HR 0.70;0.56~0.87)。しかし,非糖尿病例では両群間差はなかった(HR 0.98;0.86~1.12,P=0.014 for interaction)。
・病変血管数などその他のサブグループでは両治療群間に違いはみられなかった。
[副次アウトカム評価項目]
死亡,MIの複合(9試験の結果):両群間に有意差はなし(5年イベント率:PCI群16.7% vs CABG群15.4%:0.97;0.88~1.06,P=0.47)。
死亡,血行再建術再施行(9試験):CABG群の方が有意に低かった(24.5% vs 9.9%:0.41;0.37~0.45,P<0.0001)。
また死亡,MI,血行再建術再施行(8試験)も同群で有意に低かった(36.4% vs 20.1%:0.52;0.49~0.57,P<0.0001)。