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女性におけるDESの安全性と有効性
pooled analysis

女性においては,薬剤溶出性ステント(DES)のほうがベアメタルステントよりも有効で安全であり,新世代DESのほうが従来のDESよりも安全性に優れる。
Stefanini GG, et al. Safety and efficacy of drug-eluting stents in women: a patient-level pooled analysis of randomised trials. Lancet. 2013; 382: 1879-88. PubMed

コメント

ベアメタルステント(BMS),旧世代薬剤溶出性ステント(Early DES),新世代薬剤溶出性ステント(New DES)を用いた26の無作為化比較試験(RCT)から,女性についての患者レベルデータを抽出し,女性におけるDESの安全性・有効性をBMSと比較し,さらにEarly DESとNew DESを比較した研究である。結論としては,女性におけるDESの使用はBMSの使用に比べ安全性・有効性ともに優れ,New DESはEarly DESに比べてより優れた安全性プロフィールを有し,女性における経皮的冠動脈インターベンションの標準的治療であるとしている。
本研究には我々が日本において施行したエベロリムス溶出性ステント(New DES)とシロリムス溶出性ステント(Early DES)を比較するRESET試験に登録された日本人女性のデータも含まれている。女性におけるDESの安全性・有効性について疑問や懸念が指摘されているわけではないので,今回の報告の持つインパクトはそれほど大きいとは言えないが,結論は概ね妥当であろう。
問題は10年以上の期間に渡って施行された研究を集めたため,時期により抗血小板療法の期間やその他の至適薬物治療の使用率に差があると想定されることである。患者背景や病変手技背景については多変量解析で補正されているが,これら併用薬物療法の相違は重要な問題点である。Early DESに比較してNew DESのほうが心筋梗塞やステント血栓症の発症率が低かったとされている。しかしながらEarly DESとNew DESの比較については上記の併用薬物療法の相違の問題もあり,これに特化したRCTのみのメタ解析を行うべきであると考える。(木村


目的 薬剤溶出性ステント(DES)の安全性と有効性は複数のランダム化比較試験(RCT)で評価され,十分に確立されている。しかし,各試験の女性参加者は約25%と少なく,女性のデータは乏しい。DESは米国で毎年50万例以上に植え込まれており,そのうちのおよそ1/3が女性である。FDAが医療機器の臨床試験で性差を評価するよう勧告していることから,Women in Innovation Initiativeは2012年に開催したGender Data Forumにおいて,女性におけるDESの転帰について議論した。この会議で,個別患者データを用いたpooled解析により女性におけるDESの安全性と有効性を評価することが決定された。本報はその結果。
安全性の一次エンドポイントは死亡,心筋梗塞(MI)の複合エンドポイント。
有効性の一次エンドポイントは,標的病変再血行再建術(TLR)。
対象 26試験*・43,904例(うち女性は11,557例[26.3%])。2000~’13年に実施されたDESのRCTで,試験責任医師がデータの提供に同意したもの。平均追跡期間は2.9年。
* SIRIUS,SIRTAX,TAXUS IV・V, ENDEAVOR II・IV,PROTECT,RESOLUTE AC,TWENTE,SPIRIT III,SPIRIT IV,COMPARE I,BASKET-PROVE,EXCELLENT,RESET,PRODIGY,LEADERS,COMPARE II,ISAR-TEST 4など。
■患者背景:平均年齢67.1歳,高血圧75.6%,高コレステロール血症67.6%,BMI(BMS群28.8kg/m²,旧世代DES群28.1kg/m²,新世代DES群27.9kg/m²;P=0.003),糖尿病(27.8%,32.0%,31.1%;P=0.02),喫煙(23.6%,26.7%,27.2%;P=0.047),CAD家族歴(44.7%,40.0%,38.5%)*,MI(24.3%,18.7%,18.2%)*,PCI歴(16.2%,20.9%,21.0%;P=0.02),多枝病変(22.8%,25.3%,31.9%)*,急性冠症候群(47.4%,40.8%,45.1%)*,病変数(1.2,1.2,1.3)*,植込みステント数(1.3,1.4,1.5)*,ステント径(3.0mm,3.0mm,2.9mm;P=0.0002),ステント長(25.6mm,27.7mm,30.7mm)*,分岐部病変≧1(12.8%,19.9%,19.5%)** P<0.0001
方法 対象のRCTはGender Data Forumにおいて選択。各試験の試験統括医師とステントの製造会社から患者レベルデータを入手。下記3群で女性のデータを統合し,転帰を比較。
BMS群(1,108例[9.6%])。
旧世代DES群(4,171例[36.1%]):sirolimus溶出ステント(Cypher),paclitaxel溶出ステント。
新世代DES群(6,278例[54.3%]):everolimus溶出ステント,zotarolimus溶出ステント,biolimus溶出ステント,sirolimus溶出ステント(Yukon)。
結果 [安全性の一次エンドポイント]
Kaplan-Meier推定による3年後の死亡+MIの累積発生率は,BMS群(132例[12.8%])が旧世代DES群(421例[10.9%]),新世代DES群(496例[9.2%])よりも有意に高く(P=0.001),旧世代が新世代よりも有意に高かった(P=0.01)。
死亡には差がなかったが(6.3%,6.0%,5.3%),MIには有意な群間差が認められた(7.7%,6.0%,4.8%;全群P=0.0003;旧世代vs 新世代P=0.03)。

[二次エンドポイント]
definiteまたはprobableステント血栓症の累積発生率は,それぞれ13例(1.3%),79例(2.1%),66例(1.1%)(P=0.01;P=0.002)。これは超遠隔期(≧1年)ステント血栓症の差によるものであった(0.4%,0.9%,0.3%;P=0.002;P=0.001)。
主要有害心イベント(死亡,MI,TLRの複合)は27.7%,16.5%,14.1%(P<0.0001;P=0.002)。

[有効性の一次エンドポイント]
DESは3年後のTLRの累積発生率を有意に抑制し(197例[18.6%],294例[7.8%],330例[6.3%];P<0.0001),新世代 vs 旧世代DESにも有意差を認めた(P=0.005)。

[多変量解析]
DES群をBMS群と比較した多変量解析の結果も同様であった。
死亡+MI: 旧世代DES群のハザード比0.94; 95%信頼区間0.69-1.27(P=0.67),新世代DES群のハザード比0.70; 0.51-0.97(P=0.002; 旧世代 vs 新世代P=0.002)。
ステント血栓症:0.95; 0.41-2.17(P=0.91), 0.55; 0.24-1.26(P=0.16; P=0.02)。
標的病変再血行再建術:0.46; 0.33-0.65(P<0.0001), 0.44; 0.31-0.64(P<0.0001; P=0.68)。

(収載年月2014.03)
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