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生分解性性ポリマーDES vs BMS vs 耐久性ポリマーDES
meta-analysis

1年以内のステント血栓症は,PESとZES-Eを除くDESがBMSよりも少ないが,より安全性に優れているのはCoCr-EES。
Kang SH, et al. Biodegradable-polymer drug-eluting stents vs. bare metal stents vs. durable-polymer drug-eluting stents: a systematic review and Bayesian approach network meta-analysis. Eur Heart J. 2014; 35: 1147-58. PubMed

コメント

現在欧州およびアジアで上市されている冠動脈ステントの,最新で最大の包括的メタ解析である。結果は安全性(ステント血栓症[ST])に関しても有効性(TLR)に関しても,ステントの進化をなぞる形となった。第一世代DESでは晩期血栓症の根源としてポリマーが悪者扱いされていたが,良好なステントデザインや生体親和性(吸収性でなくても)ポリマー・薬剤が組み合わされた第二世代 DESでは,再狭窄予防のみならず血栓に対してもむしろ保護的に作用することが示唆された。また1ヵ月以内のSTの差が結果全体に大きく影響しているのが印象的である。これは薬剤やポリマーの違いよりも,プラットホームとしてのステントデザイン・メタルの進化,ステント非薄化やPCI手技自体の成熟が影響しているのかもしれない。一方VLST(超遠隔期ステント血栓症)に代表される慢性期の動向については,現時点では症例数が不十分である。
ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析である本研究は統計学的には最上位のエビデンスだが,結果のすべてを鵜呑みにすることはできないであろう。その多くが患者側の反応性に委ねられる薬剤の臨床試験と異なり,PCIには手技要因という治療側のバイアスが存在する。従ってステント同士のパフォーマンス比較にはメタ解析よりも head to headのRCTの方が適しているように思う。(中野


目的 ベアメタルステント(BMS)に代わり薬剤溶出性ステント(DES)の使用が増えているが,遠隔期ステント血栓症の原因が耐久性ポリマーにある可能性が指摘されたことから,新世代ステントの開発はポリマー(生体適合性,生分解性[生体吸収性],ポリマー不使用)に焦点が当てられている。新世代ステントを含めたメタ解析は発表されているものの,検出力不足のうえ,アジアや欧州で広く使用されているが米国では未承認の生体吸収性ポリマーDES(BP-DES)は含まれていない。
BP-DESを含むさまざまなDESとBMSのステント血栓症リスク,耐久性ポリマーDES(DP-DES)の遠隔期ステント血栓症リスク,新世代DP-DESとBP-DESの安全性,有効性を検証するため,ネットワークメタ解析を実施した。
安全性の一次エンドポイントは,1年以内のARC定義によるdefinite・probableステント血栓症。
有効性のエンドポイントは,1年以内および長期(>1年)の標的病変(TLR)・標的血管再血行再建術(TVR)。
対象 90,584例・113試験。PCI施行患者において複数のステント*を比較したランダム化比較試験。
除外基準:同一群の異なるデザインの2種類のステントを比較している試験など。
* BMS(9,844例),paclitaxel溶出(PES:15,399例),sirolimus溶出(SES:24,803例),endeavor zotarolimus溶出(ZES-E;9,042例),コバルトクロムeverolimus溶出(CoCr-EES:17,827例),プラチナクロムeverolimus溶出(PtCr-EES:3,271例),resolute zotarolimus溶出(ZES-R:3,809例),biolimus A9溶出(BP-BES:6,589例)ステント。
■試験背景:推定追跡期間中央値19.1ヵ月(3ヵ月-5年)。3群比較:6試験,糖尿病患者のみでの検討:10試験,ST上昇型心筋梗塞患者:21試験,慢性完全閉塞病変:5試験,非保護左主幹部病変,ステント内再狭窄:それぞれ3試験,バイパスグラフト:2試験。
方法 PubMed, Embase, CENTRAL, ウェブサイト(CRTonline, Clinical Trial Resultsなど)を検索(2013年3月まで)。解析にはベイズの階層ランダム効果モデルを使用した。
結果 [安全性の一次エンドポイント:75,484例・77試験]
1年以内のdefinite・probableステント血栓症はすべてのDESでBMSよりも少なかったが,有意に少なかったのはBP-BES(オッズ比0.56;95%確信区間0.34-0.90), SES(0.54;0.39-0.75), CoCr-EES(0.32;0.21-0.48), PtCr-EES(0.27;0.09-0.82)。
ステント血栓症の抑制をステント別に比較すると,(PtCr-EES÷CoCr-EES)>(ZES-R÷SES÷BP-BES)>(ZES-E≧PES≧BMS)。
1年以内のdefiniteステント血栓症(73,255例・77試験)の抑制に関しては,CoCr-EES(>PtCr-EES≧SES≧BP-BES≧PES≧ZES-R≧ZES-E≧BMS,SES>BMS),かつSES>BMS。
BP-BESのBMSに対する優越性は,直接,間接比較ともに確認された。同様にCoCr-EESのBP-BESに対する優越性も認められた(definiteまたはprobable, definiteステント血栓症のI ²=0%)。
一方,一次エンドポイントではなかったが同様に評価した最長追跡期間を含めた長期のステント血栓症(79,239例・84試験)は,ZES-E, BP-BES>PES, CoCr-EES>ZES-Eを除き1年以内の結果と同様であったが,SESは超遠隔期のリスクが上昇したため,BMSとくらべた有意な優越性は消失した。
追跡期間を問わずステント血栓症リスクが最も低かったのは,CoCr-EES。一方,BP-BESは遠隔期,超遠隔期のみCoCr-EESと同等であった。

[有効性のエンドポイント(68,234例・87試験)]
1年以内のTLRがBMSにくらべ少なかったのは,BP-BES(0.19;0.12-0.29)≧CoCr-EES(0.20;0.14-0.28)≧SES(0.20;0.16-0.26)≧PtCr-EES(0.23;0.09-0.56)≧ZES-R(0.25;0.13-0.50)。

[その他の結果]
全死亡,心臓死に関してはステント間に有意差はみられなかった。
1年以内の心筋梗塞は,PtCr-EES, ZES-R, CoCr-EES, ZES-E, SES, BP-BESがBMSより,PtCr-EES, ZES-R, CoCr-EES, ZES-E, SESがPESより少なかった。

(収載年月2014.11)
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