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薬剤溶出性ステント植込み後の2剤併用抗血小板療法期間
meta-analysis

DES留置後の至適DAPT期間を比較したメタ解析で,S-DAPT群(DAPT期間8.5ヵ月)はL-DAPT群(23.2ヵ月)にくらべ出血リスクが低いものの,ステント血栓症リスクが高く,全死亡リスクは低い傾向が示された。S-DAPT群のステント血栓症リスクは第一世代DESで顕著で,第二世代DESでは減弱した。
解析に用いた試験間の違いが大きく,結果の解釈に注意を要する。
Giustino G, et al. Duration of dual antiplatelet therapy after drug-eluting stent implantation: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Am Coll Cardiol. 2015; 65: 1298-310. PubMed

コメント

薬剤溶出性ステント(DES)留置後の至適2剤併用抗血小板療法(DAPT)期間についてのメタ解析である。短期DAPT群では長期DAPT群と比較し,ステント血栓症と心筋梗塞のリスクが有意に高い一方で,臨床的に重大な出血の発症は有意に低下した。また,層別解析では長期DAPT群と比較した短期DAPT群におけるステント血栓症の発症リスクの差は,第一世代DESでは顕著であったが第二世代DESでは有意に減弱した。
メタ解析は各々の試験で報告されたrisk estimateを抽出し登録患者数で重み付けを行い統合する解析法だが,最も大きな問題はベースラインの不均等性や,用いた解析に内在する問題点を補正できないことであり,解析に使用する試験の内容を十分吟味する必要がある。いわゆる「DAPT試験」の著者らが著したDAPT期間に関するメタ解析(Lancet. 2015; 385 :792-8. PubMed)では様々な疾患を対象とした試験を解析していたが,本解析ではDES留置後の患者を対象とした試験のみを抽出しており,純粋なDES留置後のDAPT期間の比較が可能である。ただ,試験間で比較したDAPT期間や使用したステント,観察期間などに違いがある点は注意が必要である。
加えて,各試験をよく見ると各々の観察期間に両群でDAPTを施行している期間を含む試験があることに気づく。さらに両群で同じくDAPTを施行している期間であるにも関わらず,同期間のイベント数に大きな違いがある試験も散見される。ランダム化比較試験であるにも関わらず同じ治療で差が出ていることも疑問だが,結果をメタ解析という形でそのまま統合していることにも違和感がある。特にステント血栓症という発症率が低く数個のイベントが結果に大きく影響するアウトカムでは,短期DAPT群がaspirin-monotherapyで治療されている期間のイベント比較を行うべきと考える。また,本解析に記載のDAPT 試験のステント血栓症のイベント数が論文に記載のイベント数と異なり,結果は修正される可能性がある。
上記のように本解析には疑問の残る点が散見されるが,長期DAPTでは短期DAPTと比較して出血リスクが増大し,第二世代DESでは第一世代DESと比較して長期DAPTによるステント血栓症の予防効果が減弱するという点については共感できる結果である。(京都大学医学部附属病院循環器内科 豊田 俊彬,木村


目的 薬剤溶出性ステント(DES)植込み後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)の至適期間は未だ確立されておらず,有効性と安全性は新旧DESで異なる。
最新の大規模ランダム化比較試験(RCT)のデータを加えたメタ解析により,特に第二世代DESを使用した場合のステント血栓症に焦点をあてて,DES後のDAPT期間による有効性と安全性を検証する。
有効性の評価項目は,definite/probableステント血栓症(ARC基準)。
安全性の評価項目は,臨床的に重大な出血。
対象 10試験*・32,135例。DES植込み後のDAPT期間を検討したランダム化比較試験(RCT)。
* 3・6ヵ月 vs 長期:ISAR-SAFE,ITALIC,SECURITY,OPTIMIZE,PRODIGY,EXCELLENT,RESET,12ヵ月 vs 長期:DAPT,DES-LATE,ARCTIC-Interruption。
■背景:平均重み付け追跡期間19.6ヵ月,平均重み付けDAPT曝露期間(S-DAPT群8.5ヵ月,L-DAPT群23.2ヵ月)。
方法 MEDLINE,Scopus,Cochrane Library,インターネット情報で,抄録,原稿,学会報告を検索(発表日の制限は設けず)。
S-DAPT群(per-protocolでの短期DAPT群)とL-DAPT群(per-protocolでの長期DAPT群)を比較。さらに,DAPT期間を比較した試験の種類(DAPT短縮検証試験[3・6ヵ月 vs より長期]とDAPT延長検証試験[12ヵ月 vs より長期])と,ステント世代別(第二世代DES[everolimus・zotarolimus溶出]と第一世代DES[sirolimus・paclitaxel溶出])での層別解析も行った。
結果 [ステント血栓症]
ステント血栓症のリスクはS-DAPT群がL-DAPT群より有意に高かった(0.9% vs 0.5%:オッズ比1.71;95%信頼区間1.26-2.32,P=0.001)。
このリスクの差は,DAPT短縮検証試験(1.20;0.77-1.88)でDAPT延長検証試験(2.22;1.55-3.17)より弱まった(交互作用P=0.044)。
試験間の異質性も,小規模試験の影響も認められなかった。

[ステント世代別の層別解析]
ステントレベルのデータが得られたのは,第二世代DESは6試験,第一世代DESは3試験で,DAPTの平均重み付け曝露期間はS-DAPT群でそれぞれ7.8ヵ月,10.9ヵ月,L-DAPT群で20.3ヵ月,28ヵ月。
S-DAPT群のL-DAPT群と比較したステント血栓症リスクは,第二世代DES(1.54;0.96-2.47)で,第一世代DES(3.94;2.20-7.05)にくらべ減弱した(交互作用P=0.008)。

[出血]
臨床的に重大な出血の定義は試験間で異なった(GUSTO基準:1試験,BARC基準3または5の出血:1試験,TIMI大・小出血:4試験,TIMI大出血のみ:2試験)。
臨床的に重大な出血の発生率はS-DAPT群のほうが低く(1.2% vs 1.9 %:0.63;0.52-0.75,P<0.001;試験間の異質性P=0.953),DAPT短縮検証試験とDAPT延長検証試験の解析結果も変わらなかった。

[その他]
S-DAPT群のL-DAPT群に対する標準化イベント率の差は,臨床的に重大な出血は-0.45/100人・年,ステント血栓症では0.21/100人・年。
MI発症率はS-DAPT群が有意に高く(2.6% vs 1.9%:1.39;1.20-1.62,
P<0.001),脳卒中(1.0% vs 0.9%),心血管死(1.3% vs 1.4%)は両群で同等,全死亡率はS-DAPT群が低い傾向であった(2.0% vs 2.2%:0.87;0.74-1.01,P=0.073)。

(収載年月2015.05)
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