everolimus溶出生体吸収性スキャフォールド vs everolimus溶出ステント
meta-analysis
everolimus溶出生体吸収性スキャフォールドはeverolimus溶出金属製ステントにくらべ10ヵ月後の遠隔期損失径が大きかったものの,1年後の再血行再建術は同等であった。ただし,スキャフォールドで治療した患者はとくに亜急性期のデバイス血栓症リスクが高かった。
Cassese S, et al: Everolimus-eluting bioresorbable vascular scaffolds versus everolimus-eluting metallic stents: a meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet. 2016; 387: 537-44. PubMed
目的 |
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everolimus溶出生体吸収性血管スキャフォールド(BVS)はeverolimus溶出金属製ステント(EES)にくらべ有害事象,とくにデバイス血栓症の発生率が高い可能性が示唆されている。両者を比較したランダム化比較試験(RCT)では中期の臨床転帰における差は示されていないが,それらのほとんどは小規模試験であり検出力が不足している。
経皮的血行再建術を施行する虚血性心疾患患者において,everolimus溶出BVSの有効性と安全性をEESと比較したRCTのメタ解析を行った。
有効性の一次エンドポイントは,標的病変再血行再建術(TLR)。
安全性の一次エンドポイントは,definite・probableステント(スキャフォールド)血栓症。 |
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対象 |
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6試験*・3,738例(BVS群2,337例,EES群1,401例)。BVSとEES**を比較したRCTで,intention-to-treat解析を実施,追跡期間≧6ヵ月のもの。
* ABSORB China,ABSORB II,ABSORB III,ABSORB Japan,EVERBIO II,TROFI II。
** 使用デバイスはBVS群がAbsorbのみ,EES群がコバルトクロム合金製のXience V・Xience Prime・Xience Expedition(1,321例)またはプラチナクロム合金製のPromus Element(80例)。
■患者背景:年齢中央値62.3歳,狭窄率70.8%,参照血管径2.70mm,治療病変長13.4mm,複雑病変(type B2/C)約70%,前拡張(BVS群98%,EES群95%),後拡張(64%,52%)。 |
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方法 |
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Medline,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL),学会抄録,ウェブサイト(www.cardiosource.com,www.clinicaltrialresults.org,www.escardio.org, www.tctmd.com,www.theheart.org)を検索(2006年11月30日-’15年10月12日に発表・掲載されたもの)。選択された試験の参考文献も検索。 |
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結果 |
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[一次エンドポイント]
追跡期間中央値は12ヵ月,臨床転帰の評価可能症例は3,713例(99%)。
・有効性の一次エンドポイント
TLRのリスクは両群同等であった(BVS群70/2,324例 vs EES群46/1,389例:オッズ比0.97;95%信頼区間0.66-1.43,P=0.87,I ²=0%)。
虚血によるTLRにも有意差はなかった(3% vs 3%:1.13;0.74-1.71,P=0.58,I ²=0%)。
・安全性の一次エンドポイント
1年後のdefinite・probableステント(スキャフォールド)血栓症リスクは,BVS群のほうが有意に高かった(29/2,309例 vs 7/1,382例:1.99;1.00-3.98,P=0.05,I ²=0%)。
植込み後30日間でみると,BVS群のリスクは急性期(≦24時間:0.36;0.07-1.71)にくらべ亜急性期(>24時間-≦30日)のほうが高かった(3.11;1.24-7.82,P=0.02;交互作用P<0.0001)。
これらの結果に糖尿病,急性冠症候群,血管径,複雑病変,後拡張は影響しなかった。
[二次エンドポイント]
標的病変不全(心臓死,標的血管心筋梗塞[MI],虚血によるTLRの複合エンドポイント:1.20;0.90-1.60,P=0.21,I ²=0%),MI(1.36;0.98-1.89,P=0.06,I ²=0%),死亡(0.95;0.45-2.00,P=0.89,I ²=65%)に有意な両群間差は認められなかった。
[冠動脈造影評価]
プロトコルに従って冠動脈造影評価(中央値10.5ヵ月後)を行った4試験で,定量的データが得られたのは1,265/1,316病変(96%)。
BVS群はEES群よりデバイス内遠隔期損失径(重み付け平均差0.08;0.05-0.12,P<0.0001,I ²=52%),セグメント内遠隔期損失径(0.05;0.01-0.09,P=0.01;I ²=0%)が大きかった。
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