primary PCI後1か月以内にCMR画像または99mテクネチウムセスタミビSPECTで評価した梗塞サイズは,1年後の全死亡および心不全による入院リスクと強く関連した。
Stone GW, et al. Relationship between infarct size and outcomes following primary PCI: patient-level analysis from 10 randomized trials. J Am Coll Cardiol. 2016; 67: 1674-83. PubMed
コメント
Stone GWらは,primary PCIによる再灌流後1ヵ月以内の心筋梗塞サイズをプライマリーエンドポイントとした無作為化介入比較試験10試験の患者レベルの統合解析を行い,心筋梗塞サイズは1年後の全死亡および心不全による入院リスクと強く相関することを示した。
実地臨床では心筋梗塞サイズはCPK最大値で推定されることが多く,我々はCPK最大値から見た大梗塞の患者は全死亡および心不全による入院リスクが高いと認識して診療しており,当然の結果と言える。今回の報告の意義としては,「早期の再灌流を前提条件とする試験に登録された比較的予後良好なSTEMI患者(1年死亡2.2%,心不全入院2.6%)においても,心筋梗塞サイズが1年後の全死亡および心不全による入院リスクを規定する」ことを明確にした点であろう。この結果は,心筋梗塞サイズを臨床イベントの代用エンドポイントとするSTEMI患者への介入試験の妥当性を支持するものである。ただ問題は,いずれの試験においても心筋梗塞サイズを大幅に縮小することを証明した介入がないことである。(木村)