糖尿病前症または2型糖尿病患者において,インスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン系薬剤(TZD:rosiglitazone,pioglitazone)により心不全のリスクは上昇したが,心血管死リスクの上昇は認められなかった。
Congestive heart failure and cardiovascular death in patients with prediabetes and type 2 diabetes given thiazolidinediones: a meta-analysis of randomised clinical trials. Lancet 2007; 370: 1129-36.PubMed
1998年1月〜2007年3月,Embase,MEDLINE,Database of Abstracts of Reviews of Effects,Cochrane LibraryをMeSH terms(“心不全,うっ血性”,“死亡率”,“心血管系”または“浮腫”),substance name(pioglitazone,rosiglitazone)などで検索。European Society of Cardiology,American Heart Association,American College of Cardiology,American Diabetes Associationのデータベースをハンドサーチ。さらに検索された文献の参考文献より関連論文をレビューした。
全解析は母数(固定効果)モデルで行い,試験間に異質性がみられた場合は変量効果モデルで再解析した。
結果
7試験でのCHFの発症は360例で,TZD群の方が対照薬群*に比べて多かった:214/9360例(2.3%)vs 146/10831例(1.4%);相対リスク(RR)1.72(95%信頼区間1.21〜2.42,P=0.002)。
TZD群のうちrosiglitazone群は69例(対照薬群*35例):RR 2.18(1.44〜3.32,P=0.0003),pioglitazone群145例(111例):RR 1.32;1.04〜1.68(P=0.02)。
年間発症率はTZD群12.4例 vs 対照薬群8.4例。7試験を合わせると,平均追跡期間29.7か月でTZD治療例107例(number-needed-to-harm)で心不全が1例発症したが,number-needed-to-harmは試験によって35〜419例と差があった。
試験間の異質性による影響は認められなかった:I2=22.8%(P=0.26)。