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選択的COX-2阻害薬celecoxibの安全性(CTSA: Celecoxib Cross Trial Safety Analysis)
pooled analysis

celecoxibによる心血管リスクは用量,ベースライン時のリスクにより異なる。
Solomon SD et al for the cross trial safety assessment group: Cardiovascular risk of celecoxib in 6 randomized placebo-controlled trials: the cross trial safety analysis. Circulation. 2008; 117: 2104-13.PubMed

コメント

最近の6つのトライアルのメタ解析で,celecoxibの心血管リスクが用量依存性に増加することが示された。COX-2阻害によるプロスタサイクリンとトロンボキサンのバランスが,後者に優位になりためと考えられ,心血管ハイリスク患者には用量を可及的に少量にすることが求められる。用法では1日2回投与より1日1回投与の方がリスクが低い傾向にあるのは,プロスタサイクリンの回復が12〜24時間内に生じるためかもしれない。通常用量はトライアルの用量より少量であるので,わが国においてどの程度の心血管リスクがあるか注意深く見守る必要があろう()。

背景

目的
観察研究やランダム化試験(RCT)からシクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬(coxibs)が心血管リスクを増加させることが報告されている。ほとんどの臨床試験は関節炎患者において比較的短期間coxibsと実薬を比較したものであったが,rofecoxib,valdecoxib,celecoxibによる心血管リスク増加のエビデンスは他の治療領域においてcoxibsを検討した,より長期のプラセボ対照試験から出てきたものである。観察研究やRCTから示唆されているcoxibsによる心血管リスクが用量に関係し投与法が重要な因子であること,治療前の危険因子が関連する可能性などを明らかにするには,これまでの試験はイベントの発症数が少ない。
celecoxib長期投与による心血管リスクを理解するために,米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は4つの長期プラセボ対照RCTの統括医にデータの提出を依頼,APCおよびPreSAP試験と統合して解析した。
本報は心血管の安全性に焦点をあてた米国国立がん研究所によるメタ解析(Celecoxib Cross Trial Safety Analysis)。
対象 7,950例(16,070人・年)。関節炎以外の対象において3年以上の追跡によりcelecoxibをプラセボと比較した次の6つのRCT。
  • APC(Adenoma Prevention with Celecoxib):2035例(6234人・年)
    結腸直腸アデノーマ再発予防の検討。celecoxib 200mg×2回/日,400mg×2回/日,プラセボ・予定追跡期間は37ヵ月(3年追跡例は90%)。
  • PreSAP(Prevention of Sporadic Adenomatous Polyps):1561例(4141人・年)
    結腸直腸{けっちょう ちょくちょう}アデノーマ再発予防の検討。celecoxib 400mg×1回/日,プラセボ・37ヵ月(3年追跡例は43%)。
  • MA27:1635例(695人・年)
    閉経後の乳癌患者におけるアロマターゼ阻害薬(celecoxib併用,非併用)の検討。2×2 factorial(exemestane 2.5mg/日,anastrozole 1mg/日とcelecoxib 400mg×2回/日,プラセボ)・celecoxibはランダム化後3年投与し,アロマターゼ阻害薬治療終了まで追跡。
  • ADAPT(Alzheimer’s Disease Antiinflammatory Prevention Trial):1809例(3530人・年)
    アルツハイマー病および加齢関連認知機能低下の予防効果の検討。naproxen sodium 220mg×2回/日,celecoxib 200mg×2回/日,プラセボ・7年以内。
  • CDME(Celecoxib Diabetic Macular Edema):86例(101人・年)
    2×2 factorial(レーザーダイオード光凝固,病巣光凝固と光凝固前後3ヵ月間のcelecoxib,プラセボ・3年。
  • Celecoxib/Selenium trial:824例(1369人・年)
    結腸ポリープ再発予防効果の検討。2×2 factorial(celecoxib 400mg×1回/日,プラセボとselenium 200μg/日,プラセボ)・3〜5年。
患者背景 平均年齢64歳(59〜75歳),男性50%(0〜68%),白人93%(67〜97%),高血圧/降圧治療例38%(34〜62%),高脂血症/脂質低下治療例28%(17〜55%),低用量aspirin 31%(17〜62%),心血管イベント既往12%(1.2〜14%),心血管リスク:高リスク45%(37〜100%);中等度リスク27%(0〜31%);低リスク28%(0〜50%)。
方法 患者レベルでの統合解析からハザード比を算出。
celecoxibの投与法:400mg×1回/日,200mg×2回/日,400mg×2回/日。
結果 全投与量の一次エンドポイント(心血管死,心筋梗塞,脳卒中,心不全,血栓塞栓イベント)のハザード比は1.6(95%信頼区間1.1〜2.3)。
用量とともにリスクは上昇した(P=0.0005)。400mg×1回/日投与のリスクが最も低く,次いで200mg×2回投与,最も高かったのが400mg×2回/日投与。
  • 400mg×1回/日投与例(1347例:3159人・年)
    PreSAP(追跡期間中央値36ヵ月):イベント率/1000人・年:celecoxib群9.4 vs プラセボ群7.2;ハザード比1.3(0.6〜2.5)。
    Celecoxib/Selenium trial(追跡期間中央値21ヵ月):10.3 vs 11.8;0.9(0.3〜2.4)
    pooled解析(追跡期間中央値35ヵ月):9.6 vs 8.6;1.1(0.6〜2.0)
  • 200mg×2回/日投与例(1450例:3563人・年)
    ADAPT(追跡期間中央値24ヵ月):12.8 vs 8.6;1.5(0.8〜2.9)
    APC(追跡期間中央値37ヵ月):9.7 vs 3.9;2.5(1.1〜5.7)
    CDME(追跡期間中央値15ヵ月):0 vs 54.3;0(−)
    pooled解析(追跡期間中央値36ヵ月):10.8 vs 6.9;(CDMEを除外)1.8(1.1〜3.1)
  • 400mg×2回/日投与例(1489例:2404人・年)
    APC(追跡期間中央値37ヵ月):13.4 vs 3.9;3.6(1.6〜8.0)
    MA27(追跡期間中央値5ヵ月):17.2 vs 8.7;1.8(0.4〜7.3)
    pooled解析(追跡期間中央値11ヵ月):13.9 vs 4.6;3.1(1.5〜6.1)

ベースライン時の心血管リスクとの関連
ベースライン時の危険因子で調整後も,celecoxibはいずれの用量も有害心血管リスクと関連した:ハザード比1.7(1.2〜2.4)。ベースライン時の高リスク例がcelecoxibによるリスクが最も高かった(P for interaction=0.034)。

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