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心不全患者に対するSGLT2阻害薬の有効性
meta-analysis

SGLT2阻害薬は多様な背景をもつ心不全患者において,心血管死および心不全による入院のリスクを低減した。これにより,LVEFや治療の環境にかかわらず,心不全の基礎的治療薬としての役割が支持された。
Vaduganathan M, et al. SGLT-2 inhibitors in patients with heart failure: a comprehensive meta-analysis of five randomised controlled trials. Lancet. 2022; 400: 757-67. PubMed

コメント

DELIVER,EMPEROR-Preserved試験のメタ解析から,SGLT2阻害薬は,心血管死および心不全悪化による入院の複合エンドポイントを確実に抑制することを示した。“確実”という意味は,これらの2試験間の不均一性がなかったことによる。また5つのSGLT2阻害薬試験のメタ解析で,LVEFの差異や治療環境によらず,SGLT2阻害薬がクラス効果として,心血管死および心不全の悪化による入院を減らすことが示されたことは,意義が大きい。とくに,治療開始から早い時期に心不全症状・QOLを改善することが示され,少なくともLVEFが60%以下なら,臨床的ベネフィットが得られること,またMRA/ARNI治療への上乗せ効果があることが示された。しかも,安全性において特に懸念する有害事象もないことから,LVEFや医療環境にかかわらず,慢性心不全の基礎治療となりうることが示唆された点でも,その意義は大きいと考えられる。今回のメタ解析はすでに予定されていた解析とはいえ,DELIVER試験と同日に発表されたことより,HFpEFに対するSGLT2阻害薬のガイドライン上の位置づけが,クラスIIaからクラスIへと引き上げされる可能性が大きいと考えられる。(


目的 SGLT2阻害薬は,左室駆出率(LVEF)が低下した心不全患者の治療薬としてガイドラインで強く推奨されているが,LVEFが高い患者に対する臨床ベネフィットは確立されていない。そこで,LVEFが軽度低下または保たれている患者を対象に行われた2つの大規模試験(DELIVER,EMPEROR-Preserved)について事前に設定された解析を行い,さらに,LVEFが低下した患者の試験(DAPA-HF,EMPEROR-Reduced),LVEF値にかかわりなく心不全悪化のため入院した患者の試験(SOLOIST-WHF)も対象に含めて解析を行った。
対象 21,947例・5試験。
各試験の症例数,試験薬,主要対象基準を記す。
DAPA-HF:4,744例,dapagliflozin,LVEF≦40%
DELIVER:6,263例,dapagliflozin,LVEF>40%
EMPEROR-Reduced:3,730例,empagliflozin,LVEF≦40%
EMPEROR-Preserved:5,988例,empagliflozin,LVEF>40%
SOLOIST-WHF:1,222例,sotagliflozin,2型糖尿病
方法 PubMedおよびMedlineにて,2015年1月1日〜2022年7月1日に出版された,心不全患者1,000例以上において心血管および腎臓に関する転帰を検討したランダム化,プラセボ対照試験を検索した。本解析の対象とした5試験(DELIVER,EMPEROR-Preserved,DAPA-HF,EMPEROR-Reduced,SOLOIST-WHF)以外に条件に合致するものはなかった。
結果 [一次エンドポイント:心血管死または心不全による初回の入院までの時間]

(DELIVER+EMPEROR-Preserved,12,251例)
SGLT2阻害薬はプラセボにくらべ,一次エンドポイントを抑制した(HR 0.80,95%CI 0.73-0.87,P<0.0001)。
心血管死:HR 0.88,95%CI 0.77-1.00,P=0.052。
初回心不全入院:HR 0.74,95%CI 0.67-0.83,P<0.0001。
一次エンドポイントに対する治療の有効性は,LVEFを含む14のサブグループにおいてほぼ一貫していた(LVEFの交互作用P=0.83)。
LVEF≦40%:HR 0.75,95%CI 0.68-0.83,P<0.0001。
41~49%:HR 0.78,95%CI 0.67-0.90,P=0.0008。
50~59%:HR 0.79,95%CI 0.68-0.93,P=0.003。
60%以上:HR 0.81,95%CI 0.69-0.96,P=0.015。

(5試験,21,947例)
SGLT2阻害薬はプラセボにくらべ,一次エンドポイントを抑制した(HR 0.77,95%CI 0.72-0.82,P<0.0001,不均一性P=0.87)。NNTは25であった。
心血管死:HR 0.87,95%CI 0.79-0.95,P=0.002,NNT 88。
初回心不全入院:HR 0.72,95%CI 0.67-0.78,P<0.0001,NNT 28。
全死亡:HR 0.92,95%CI 0.86-0.99,P=0.025,NNT 92。

治療の有効性は,LVEFが軽度低下または保たれている心不全患者の試験,ならびに全5試験のいずれにおいても一貫していた。

(収載年月2022.10)
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