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急性脳梗塞発症から3〜4.5時間後のtPAによる血栓溶解療法の有効性と安全性
meta-analysis

急性脳梗塞発症から3〜4.5時間後のtPA療法は死亡リスクを増大することなく良好な転帰をもたらす。
Lansberg MG, et al. Efficacy and safety of tissue plasminogen activator 3 to 4.5 hours after acute ischemic stroke: a metaanalysis. Stroke. 2009; 40: 2438-41. PubMed

コメント

脳梗塞によるQOLの障害は長期にわたる。t-PAにより症状が改善することが確実な集団を明確にできれば,急性期脳梗塞症例には福音である。(後藤

目的 1996年にFDAは急性脳梗塞発症から3時間以内の組織プラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator: tPA)の静注を認可したが,2008年にプラセボ対照ランダム化試験(RCT)であるEuropean Cooperative Acute Stroke Study (ECASS)-3が発症から3〜4.5時間後の静注の有効性を初めて示した。しかし,tPA療法により死亡率は上昇しなかったが,症候性脳内出血リスクが増大した。ECASS-3で示された有効性は有意の境界であり,同じ時間枠での有効性を追認するRCTが十分にはないことから,tPAの有効性は確立していない。そこで,信頼に足る評価を行うために発症から3〜4.5時間後のtPA療法を検討したトライアルの患者のメタ解析(pooled analysis)を実施した。
対象 1622例。下記4トライアルの対象患者。
ECASS-1(234例):平均年齢64.7歳,NIHSSスコア15.2(中央値15),糖尿病15.8%,発症から治療までの時間(中央値)3時間50分。
ECASS-2(265例):65.5歳,13.5(13),17.7%,3時間55分。
ECASS-3(821例):65.2歳,11.2(10),15.7%,3時間58分。
Alteplase Thrombosis for Acute Noninterventional Therapy in Ischemic Stroke(ATLANTIS;302例):65.4歳,13.0(12),21.2%,4時間1分。
方法 >100例に急性脳梗塞発症から3〜4.5時間後にtPAを静注した患者の転帰*を検討したRCTを,PubMedでの検索,著者の脳卒中関連文献知識に基づいて選別した。
* 全体の評価項目での機能良好(90日後の3脳卒中スケールで定義:modified Rankin Scale(mRS) 0〜1,NIHSS 0〜1,Barthel Index≧95);90日後のmRS 0〜1の機能良好;死亡率
結果 ・tPA療法はプラセボに比べ良好な全体の転帰と関連した(オッズ比[OR]1.31;95%信頼区間1.10-1.56,P=0.002)。
3スケールのうちmRS 0〜1のORは1.31(1.07-1.59,P=0.01)。
・死亡率にはプラセボ群との間に有意差はなかった:1.04;0.75-1.43,P=0.83)。
・tPAの静注量:ECASS-1は1.1mg/kgでその他の3トライアル(0.9mg/kg)より多かったため,ECASS-1を除く3トライアルで解析したがtPAの有効性は同様に認められた(全体の転帰良好:1.27;P=0.01,mRS 0〜1:1.28;P=0.03)。

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