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心房細動再発予防効果-III群抗不整脈薬dronedarone vs amiodarone
meta-analysis

dronedaroneはamiodaroneよりも洞調律維持で劣るが有害事象が少ない。
dronedaroneを1000例に投与することによりamiodaroneよりもAF再発が228例増加するが,死亡が9.6例,投与中止が必要な有害イベントが62例抑制できると推定される。
Comparative efficacy of dronedarone and amiodarone for the maintenance of sinus rhythm in patients with atrial fibrillation. J Am Coll Cardiol. 2009; 54: 1089-95. PubMed

コメント

amiodaroneの有害事象を減らす目的で開発されたdronedaroneは,AF再発抑制効果についてはamiodaroneに比べて弱いのではないかという印象がぬぐえなかった。間接的なメタ解析という方法論に問題がないわけではないが,上記の印象を支持する結果(dronedaroneはamiodaroneに比べて抗不整脈作用は劣るが安全性では勝る)が出された。
DIONYSOS試験はこの両者の効果を直接比較したもの(結果はweb上で公表)であるが,このメタ解析結果と同様の結果を示している。dronedaroneは本邦で未発売であるが,将来使用可能になる時点では,さらに多くの情報が手に入ると思われる。(井上

目的 心房細動(AF)再発抑制について,amiodaroneとdronedaroneの有効性と安全性を直接比較した試験がないため,メタ解析によりamiodaroneとdronedaroneの有効性と安全性を間接的に比較した。
エンドポイントはAF再発,全死亡,有害事象による投薬中断。
対象 8つのランダム化試験(amiodarone vs プラセボ4試験*,dronedarone vs プラセボ4試験**)。
* Kochiadakis et al(125例),GEFACA(50例),Channer et al(99例),SAFE-T(390例)
** DAFNE(142例),EURIDIS(612例),ADONIS(625例),ATHENA(4628例)
■患者背景:平均年齢65歳,男性70%,左房径44mm,EF>50%。
追跡期間は全試験6ヵ月以上(6~22ヵ月)。
dronedarone試験は永続性AFを除外したが,amiodarone試験の大半は持続性,永続性AFでGEFACA,SAFE-Tは発作性AFを除外した。
dronedarone試験:3試験のβ遮断薬併用率は52~71%。用量設定1試験を除き投与量は800mg/日,平均追跡期間は13ヵ月。
amiodarone試験:維持投与量は200mg/日,平均追跡期間は16ヵ月。
方法 MEDLINE(1966~2009年)およびNIHによる臨床試験登録サイトClinicalTrials.gov データベースで文献発表有無を問わず,AF例でamiodarone,dronedaroneをプラセボと比較し,>6ヵ月追跡しAF再発あるいは死亡を検討したRCTを検索した。
試験除外基準:対象が18歳未満;除細動実施例;アブレーション例;術後のAF。
結果

[dronedarone vs プラセボ:有効性]
AFの予防:dronedaroneのオッズ比(OR)は0.79(95%信頼区間0.33-1.87);リスク差-0.040(-0.19-0.11);1000例治療することにより40例抑制。
死亡率:ORは0.85(0.66-1.11);リスク差は-0.003(-0.011-0.006)。
投薬中断が必要になる有害イベント:ORは1.166(1.36-2.02);リスク差0.045(0.028-0.062)。
甲状腺毒性(dronedarone群4.0%,プラセボ群3.0%),肝毒性(3.5%,2.5%),症候性徐脈性不整脈(2.8%,1.1%),クレアチニン値の上昇(4.0%,1.1%)。

[amiodarone vs プラセボ:有効性]
AFの予防:amiodaroneのORは0.12(0.08-0.19);リスク差は-0.401(-0.46--0.34);1000例治療することにより401例抑制。
死亡率:ORは1.88(0.54-6.56);リスク差0.005(-0.016-0.026)。
投薬中断が必要になる有害イベント:ORは11.04(1.89-64.5);リスク差0.128(0.023-0.230)。

[dronedarone vs amiodarone:有効性]
AFの予防:amiodaroneがdronedaroneに比べ有意に抑制。ORは0.16(0.06-0.42),リスク差は-0.36(-0.52--0.19),1000例治療することにより360例抑制。
全試験を組込んだ標準ロジスティック回帰法モデルでもamiodaroneはdronedaroneよりもAF再発を予防した:OR 0.49(0.37-0.63,P<0.001)。
この結果はdronedaroneとamiodaroneを直接比較したDIONYSOS(Efficacy & Safety of Dronedarone Versus Amiodarone for the Maintenance of Sinus Rhythm in Patients with Atrial Fibrillation: NCT00489736)の結果(OR 0.44[0.30-0.64];リスク差-0.186[-0.266--0.1028])と一致した。
死亡率:OR 2.20(0.61-7.88);リスク差0.008(-0.015-0.030)。これはDIONYSOSの結果と一致(OR 2.44[0.48-12.6];リスク差0.011[-0.010-0.033])。
標準ロジスティック回帰法モデル:OR 1.61(0.97-2.68,P=0.066)。

[dronedarone vs amiodarone:安全性]
投薬中断が必要な有害イベント:dronedaroneの方が少なく,amiodaroneのORは6.65(1.13-39.3):リスク差0.083(-0.022-0.1866)。これはDIONYSOSの結果(OR 2.24[1.13-4.43]:リスク差0.057[0.010-0.105])と同様。
標準ロジスティック回帰法モデル:OR 1.81(1.33-2.46,P<0.001)。


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