循環器トライアルデータベース
HOME
トライアル検索
フリーワード検索
*検索について
トライアル名検索
1 4 5
A B C D E F
G H I J K L
M N O P Q R
S T U V W X
Y Z
疾患分類検索
薬効分類検索
薬剤名検索
治療法検索
キーワード検索
掲載トライアル一覧
学会情報
meta-analysis, pooled analysis
日本のトライアル
Trial Review
用語説明
Topic
開設10周年記念座談会
開設5周年記念座談会
AHA2012/ISH2012特別企画
このサイトについて
ライフサイエンス出版のEBM関連書籍
meta-analysis, pooled analysis
← meta-analysis, pooled analysis のトップページへもどる
C反応性蛋白(CRP)値と心血管リスク
pooled analysis

CRP値は,冠動脈疾患(CAD),脳梗塞,血管死,癌および肺疾患による死亡のリスクとそれぞれ幅広く同程度に連続的に関連するが,疾患の程度とCRPとの関係は不明である。CRP値と虚血性疾患との関連は,従来のリスク因子および炎症マーカーに大きく依存する。
Kaptoge S, et al.; Emerging Risk Factors Collaboration. C-reactive protein concentration and risk of coronary heart disease, stroke, and mortality: an individual participant meta-analysis. Lancet. 2010; 375: 132-40. PubMed

コメント

JUPITER試験という大規模臨床試験は,CRPについて極めてインパクトを与えた試験である。同試験ではCRPが高値を示し, LDL-Cがさほど高くない患者を対象としており,スタチン療法で強力にLDL-Cを低下させたところ,イベント抑制はもちろん総死亡抑制にも有効であることを示した。同試験によりCRPのリスク因子としての注目を再度集めた。
本論文は160,309人を対象とする大規模な一次予防試験のメタ解析であり,さまざまな心血管イベントのみならず,悪性腫瘍についてもCRPが予測因子となることが示された。このことは極めて重要であり,とくに一次予防の際の治療の判断基準として重要であることを示すものである。CRPの値により治療強度を変更するという実際的な適応に応用でき,今後の各種ガイドラインに大きく影響するものと思われる。一方,CRPが直接心血管イベントに関与しているかという議論に関しては,むしろ否定的である。つまり,他の危険因子で調整することにより,CRPによる予測因子としての強度が減弱するということからである。今後,CRPを直接介入できる薬剤開発により,この点は証明されていくものと期待される(寺本)。

目的 CRPはLDLと結合すること,アテローム性動脈硬化性プラークに存在することからCADと因果関係があると考えられるが,その可能性を判断するためには,どの程度疾患とCRP値との関連が従来の危険因子と独立しているかについて知る必要がある。従来の試験では,CRP値が各種の脳卒中の病型と関連するか,また,血管疾患あるいは非血管疾患と単独に関連するかについて評価し得る検出力が不十分であった。CRP値と血管疾患・非血管疾患との用量反応関係は十分に確認されていない。さらに,CRP値と疾病リスクとの関連度が年齢,性別,その他のサブグループにより異なるかについて明らかにするためには,十分な検出力をもつ解析が必要である。このため,様々な条件においてCRP値と血管性・非血管性の転帰との関連の独立性,特異度,関連強度,用量反応曲線を評価した。
対象 前向き54試験(追跡期間>1年)。16万309例(心血管疾患[心筋梗塞,狭心症,脳卒中]の既往のないもの。リスク患者131万人・年,致死的・非致死的の血管疾患,非血管疾患2万7,769例)。
試験背景:前向きコホート42試験,ケースコントロール12試験。52試験がhs-CRPを使用。
■患者背景:平均年齢60歳,女性48%,ヨーロッパ人49%,ベースライン時のCRP中央値1.72mg/L。
イベント初発までの期間は5.8年(中央値)。CADは1万451例(非致死的心筋梗塞7,381例,CAD死3,070例),脳梗塞 2,846例,出血性脳卒中469例,未分類の脳卒中1,180例,その他血管死1,659例,非血管死1万236例,原因不明の死亡860例。
方法 心血管リスク因子に関する前向き116試験(120万例)の試験担当医が個別の患者の記録に基づき,CRP値,年齢,性別,従来の血管リスク因子に関する情報入手の可能な54試験を選別。年齢により調整した線型混合モデルを使用し,CRPと各リスク因子の関連を性別に評価した。
一次エンドポイントはCAD(心筋梗塞初発または致死的CAD)とし,血管死,非血管死,脳卒中の病型について補助解析を行った。各試験のリスク比(RR:前向きコホート試験はCox比例ハザード回帰モデルによるハザード比,ケースコントロール試験は条件/無条件ロジスティック回帰モデルによるオッズ比)をベースライン時のCRP値の四分位内で算出の上,多変量効果モデルにより対数尺度上で組み合わせ,対数線形が認められる場合は回帰係数の算出によりloge CRP値の1標準偏差(SD)の上昇(1.11 loge mg/L,3倍に相当)とRRの関連を評価。RRは年齢,性別,従来のリスク因子(収縮期血圧[SBP],喫煙,糖尿病,BMI,トリグリセライド[TG],総コレステロール,non-HDL-C,HDL-C,アルコール摂取),炎症マーカーで漸次調整。CRP値および交絡因子の個人内変動を補正し,疾病リスクとの関連の評価に使用。
結果

loge CRP値は複数のリスク因子および炎症マーカーと直線的に関連し(正相関:non-HDL-C,loge TG,フィブリノーゲン,インターロイキン-6,SBP,BMI,loge白血球数,逆相関:HDL-C,アルブミン),虚血性血管疾患および非血管性死(呼吸器癌,乳癌,血液癌,消化器癌,泌尿器癌,呼吸器疾患等)のリスクとほぼ直線的に関連した。

[loge CRP値が1SD上昇した場合のRR]
・年齢,性別,試験による調整後
CAD 1.63(95%信頼区間1.51~1.76),脳梗塞 1.44(1.32~1.57),血管死1.71(1.53~1.91),非血管死1.55(1.41~1.69)。
・さらに従来のリスク因子(SBP,喫煙,糖尿病既往,BMI,loge TG,TC,non-HDL-C,HDL-C,アルコール摂取)による調整後
CAD 1.37(1.27~1.48),脳梗塞 1.27(1.15~1.40),血管死1.55(1.37~1.76),非血管死1.54(1.40~1.68)。
RRは喫煙または初回のフォローアップを除外した後も大きな変化はなかった。
・さらにフィブリノーゲンによる調整後
CAD 1.23(1.07~1.42),脳梗塞 1.32(1.18~1.49),血管死1.34(1.18~1.52),非血管死1.34(1.20~1.50)。


▲pagetop
    --------------------
© 2001-. Life Science Publishing Co., Ltd
 
携帯版 EBM LIBRARY