[ACE阻害薬,ARB全体の結果]
AFの発症(一次予防,二次予防)のオッズ比(OR)が33%低下(OR:0.67;95%信頼区間22-43%,P<0.00001)。
薬効別にみた場合も抑制効果は同等であった:ACE阻害薬36%低下(OR:0.64;19-50%,P=0.0003),ARB 36%低下(0.64;22-48%,P<0.0001)。
しかし,個々の試験間では有意な違いが認められた(異質性P<0.00001)。
[一次予防]
・高血圧
RAS抑制薬による有意なAFリスクの低下は認められなかった(OR:0.89;0.75-1.05,P=0.17)。しかし,試験間に有意な異質性がみられた(P=0.003):CAPPP,STOP-Hypertension 2,HOPE,TRANSCENDではACE阻害薬,ARBの有効性は確認されなかった。一方で,LIFE(左室肥大合併),VALUEではARBによるAFの一次予防効果が認められた。
・心筋梗塞後
ACE阻害薬によるAF一次予防効果はみられなかった(OR:0.72;0.41-1.27,P=0.26)が,2試験間には有意な異質性が認められた(P=0.03)。大規模試験GISSI-3では84%が心不全非合併例で追跡期間が短く有意な有効性はみられなかったが,心不全合併例を長期追跡した小規模なTRACEでは新規AFが49%低下した。
・心不全
全体でRAS抑制薬による有意な有効性が認められた(OR:0.52;0.31-0.87,P=0.01)。3試験すべてで有意なAF一次予防効果が認められたが,試験間には有意な異質性がみられた(P=0.0003)。収縮機能障害の重症度が最も大きかったSOLVDのAF抑制が最大(OR 0.18)で,CHARM(0.81),Val-HeFT(0.63)の抑制率はより低かった。
[二次予防]
二次予防試験ではamiodaroneなどの抗不整脈薬との併用投与例が多く,AF抑制率が高かった。
・除細動後
全体ではAFの有意な再発予防効果が認められた(OR:0.55;0.34-0.89,P=0.01)。大半の試験でも有効性が認められたが,GISSI-AFではARBの二次予防効果はみられなかった。
・薬物治療
全体ではAFの有意な再発予防効果が認められた(OR:0.37;0.27-0.49,P<0.001)。全試験で有意にAFリスクが低下した。