心房細動はその発症時期にかかわらず,心筋梗塞患者の死亡リスクを約40%増加させる。 Jabre P et al: Mortality associated with atrial fibrillation in patients with myocardial infarction: a systematic review and meta-analysis. Circulation. 2011; 123: 1587-93. PubMed
コメント
これまでの研究では急性MIのAFについて,生命予後を悪化するという成績と悪化しないというものがあって,意見の一致をみていなかった。本論文は,このことに関する初めてのメタ解析であり,その結果,AFは発症時期によらず急性MI例の生命予後を悪化することを示した。AFに対する介入がMI後の生命予後を改善するか否かが,今後明らかにされる必要がある(井上)。
[死亡リスク] オッズ比(OR)が報告されていた23研究において,AF(+)の死亡のORは1.46(95%信頼区間1.35-1.58)であった。研究間の異質性は高かったが(I 2=76%),ほぼすべての研究でAFと死亡との関係が示された。出版バイアスは認められなかった(P=0.06)。
[サブグループ] AFと生命予後悪化との関係は,AFの発症時期にかかわらず認められた。死亡ORは,新規AF例1.37(1.26-1.49;I 2=28%;9研究),AF既往例1.28(1.16-1.40;I 2=24%;4研究)であった。 両サブグループともに出版バイアスは認められなかった(P=0.18,P=1.00)。 感度分析において,交絡因子(年齢,糖尿病,高血圧,MI既往,心不全,血行再建術)で調整後も,新規AF発症と死亡の関連性は同様に認められた(OR 1.39;1.19-1.63;3研究)。
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