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静脈血栓塞栓症初発時の臨床所見および抗凝固療法実施期間の抗凝固療法終了後の再発リスクへの影響
pooled analysis

静脈血栓塞栓症の再発リスクは抗凝固療法を3ヵ月で終了した場合とそれ以上継続した場合とは同等で,特発性の近位側深部静脈血栓症,肺塞栓症は抗凝固療法の終了時期を問わず再発リスクが高い。
Boutitie F, et al. Influence of preceding length of anticoagulant treatment and initial presentation of venous thromboembolism on risk of recurrence after stopping treatment: analysis of individual participants' data from seven trials. BMJ. 2011; 342: d3036. PubMed

コメント

日本では,深部静脈塞栓症,肺血栓塞栓症の既往を有する症例に対して一度始めたwarfarinを経済的理由に中止することは想定し難いが,悪性腫瘍の合併,検査,出血合併症のため中止を余儀なくされる場合もある。本研究では,過去のランダム化比較試験に登録された症例を試験終了後も継続的に観察して,抗凝固療法施行終了後の血栓イベントリスクを評価した。中止後6ヵ月以内では血栓イベントが高いとされた。本試験は,仮説の検証を目的とした試験というよりも,仮説の設定を目的とした試験であり,結論を導くのは困難である。warfarin中止直後は血栓イベントリスクが高いことは事実と想定される(後藤)。


目的 急性期治療後の静脈血栓塞栓症(VTE)患者におけるビタミンK拮抗薬使用の抗凝固療法の実施期間の有効性,安全性を検討するランダム化比較試験(RCT)から,治療期間を3-6ヵ月から1-1.5か月に短縮した場合に治療終了後の再発リスクが上昇すること,標的INR 2.5の治療が再発予防に有効であること,再発リスクが治療終了後に上昇することが示唆されているが,抗凝固療法の至適実施期間は明らかになっていない。また,抗凝固療法終了後の再発リスクが低く治療期間の短縮が有益なサブグループを特定するには至っていない。VTEの初発部位,また一時的なリスク因子により誘発されたものか否かのサブグループを含め,抗凝固療法終了後の再発リスクを最小化し得る最短治療期間を同定する。
主要評価項目は抗凝固療法終了後24ヵ月までの最初のVTE再発。
対象 2,925例。
7つのRCT(ODAC*,DOTAVK,DURAC 1,LAFIT**,WODIT DVT,WODIT PE***,SOFAST)。確定診断された初発の深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)を有し,診断時に癌が認められなかった成人患者を対象とするRCT(ODACの登録患者中,癌患者は本解析から除外)の対象患者で,異なる2つの実施期間のビタミンK拮抗薬による抗凝固療法(標的INRは2.0-3.0または2.0-2.85)のいずれかにランダム化された患者を抗凝固療法終了後に前向きに追跡し,客観的検査によるVTE再発の診断を行ったもの。
* ランダム化された群以外の142例(近位側DVT診断後4週のインピーダンスプレスチモグラフィー上の異常により3ヵ月の抗凝固療法を実施したDVT)も追加。
** 結果から除外されていた患者(抗凝固療法期間27ヵ月)も追加。
*** 結果発表時点で12ヵ月の追跡を完了していなかった患者も追加。
■患者背景:平均年齢60.5歳,男性52%,遠位側限局DVT 20%,近位側DVT 52%,PE 29%。一時的な誘発リスク因子(手術,下肢のギプス固定,入院等)保有40%,非保有(特発性)60%。治療期間:1.0または1.5ヵ月25%;3か月36%;6ヵ月27%;12または27ヵ月12%。
方法 RCT 7件の各患者のデータをプール解析。
Cox比例ハザードモデルにより,リスク因子(抗凝固療法期間[1.0または1.5ヵ月,3ヵ月,6ヵ月,12または27ヵ月],VTE初発部位[PE,近位側DVT,遠位側限局DVT],一時的な誘発リスク因子による発症か否か)とVTE再発の関係を検証(二次解析として追跡期間を治療終了後0-6ヵ月,7-24ヵ月に分類)。
結果 4,023例・年(平均1.4年/患者)の追跡で,VTE再発は312件(7.8%/100例・年;95%信頼区間6.9-8.7),治療終了後0-6ヵ月:12.2%/100例・年;10.5-14.2,7-24ヵ月:5.5%/100例・年;4.7-6.5。

[抗凝固療法期間とVTE再発リスク]
治療終了後24ヵ月の再発リスクは,治療期間1.0または1.5ヵ月群で3ヵ月以上群に比べ高く(ハザード比[HR]1.52;1.14-2.02,P=0.004),3ヵ月群と6ヵ月以上の群では同等であった(1.19;0.86-1.65,P=0.29)。
治療期間1.0または1.5ヵ月群での再発リスク上昇は治療終了後0-6ヵ月に限られ(2.12;1.43-3.15,P<0.001),7-24ヵ月では治療期間3ヵ月以上群と同等であった(1.05;0.69-1.59,P=0.83)。

[VTE初発部位とVTE再発リスク]
治療終了後24ヵ月の再発リスクは遠位側限局DVT例で低かった(近位側DVT例に対するHR 0.49;0.34-0.71,P<0.001;PE例と比較0.41;0.27-0.63,P<0.001)。
PE例での再発リスクは,治療終了後0-6ヵ月では近位側DVT例より高かったが(1.65;1.12-2.43),7-24ヵ月では同等であり(0.74;0.43-1.25),全追跡期間(24ヵ月)も同等であった(1.19;0.87-1.63,P=0.27)。

[リスク因子による誘発の有無とVTE再発リスク]
一時的な誘発リスク因子により誘発されたVTE例では,特発性VTE例に比べ再発リスクが低かった(0.55;0.41-0.74,P=0.0001)。
遠位側限局DVTは,誘発例で再発の絶対リスクが低く(2.0/100例・年;1.0-3.8),治療期間1.0,1.5ヵ月群と3ヵ月以上群のリスクは同等であったが(0.36;0.09-1.54,P=0.17),特発例では絶対リスクが高く(8.1/100例・年;5.7-11.6),治療期間1.0,1.5ヵ月群は3ヵ月以上群に比べリスクが高かった(2.30;1.05-5.03,P=0.04)。


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