結果 |
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・追跡期間の中央値は12ヵ月。
・使用抗血小板薬
GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(abciximab, eptifibatide, tirofiban): 7トライアル・5,471例, clopidogtrel: 2トライアル・4,498例, heparin併用の有無を問わず全例がasprinを投与。
さまざまな抗血小板薬(aspirin, dipyridamole, clopidogrel, sulfinpyrazone, ticlopidine, picotamide)が投与されていたのは,透析中あるいは透析導入が近い患者: 17トライアル・4,471例で追跡期間は短め(中央値6ヵ月)。
[ACS,PCIが必要な例における血管イベントへの影響]
・致死的・非致死的MIあるいは脳卒中:エビデンスの質は低い。
抗血小板治療+標準治療のMIに対する有効性は認められず(7トライアル・5,261例: 相対リスク0.89;95%信頼区間0.76-1.05), 有意な異質性はみられなかった。
GP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与のトライアルのみでも同等の有効性であった(6トライアル・4,850例: 0.87; 0.74-1.03)。
致死的・非致死的脳卒中に関しては1トライアルが6/411例を報告したのみのため,影響は明らかではなかった。
・全死亡,心血管死: エビデンスの質は低い-非常に低い。
全死亡に対する有効性は認められず(8トライアル・9,347例: 0.89; 0.75-1.05),GP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与トライアルのみでも同等の有効性であった(6トライアル・4,849例: 0.86; 0.69-1.07)。心血管死に対する影響は不明。
・有害事象: 脳出血を含む大・小出血
ACS,PCIが必要な症例(9トライアル・9,863例): エビデンスの質は低い。出血定義にばらつきあり。
標準治療に抗血小板薬を追加した大出血リスクは増大(1.40; 1.07-1.86), 小出血リスクも上昇(1.47; 1.25-1.72)。clopidogrelの2試験を除外しても影響は同等(大出血は7トライアル・5,365例: 1.36; 0.78-2.38, 小出血は1.38; 1.18-1.61)で同様の異質性がみられた。追跡期間が1年以上の試験に限ると大出血リスクが増大(5トライアル・5,868例: 1.47; 1.00-2.10)。脳出血に対する影響は明確ではなかった。
[安定CVD例での臨床への影響]
・致死的・非致死的MIあるいは脳卒中: エビデンスの質は中等度。
抗血小板薬治療によりMIが低下(10トライアル・9,133例: 0.66; 0.51-0.87)したが,脳卒中への影響は明らかではない。有意な異質性はみられなかった。
・全死亡,心血管死: エビデンスの質は低い。
全死亡(21トライアル・10,632例: 0.87; 0.61-1.24), 心血管死(16トライアル・8,706例: 0.91; 0.60~1.36)への影響は明確ではなく,有意な異質性はみられなかった。
・有害事象:脳出血を含む大・小出血: エビデンスの質は低い。出血定義にばらつきあり。
小出血リスクは有意に上昇した(1.70; 1.44-2.02)が,大出血リスクへの影響は明らかではなかった。異質性はなかった。1年以上追跡したトライアルでは大出血リスクが増大(10トライアル・8,696例: 1.55; 1.07-2.26)。
[限界]
合併症を有するさまざまな症例からのCKDの後ろ向き解析によるものが少なくない。
出血性イベントの定義および追跡期間の異質性が高い。
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