非糖尿病例におけるHbA1cと心血管転帰
meta-analysis
非糖尿病者においてもHbA1cは心血管イベントおよび死亡と有意に関連。
Santos-Oliveira R et al: Haemoglobin A1c levels and subsequent cardiovascular disease in persons without diabetes: a meta-analysis of prospective cohorts. Diabetologia. 2011; 54: 1327-34. PubMed
目的 |
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1999年のメタアナリシスで,非糖尿病者およびスクリーニングにより糖尿病と診断された患者において,食後血糖値とその後の心血管イベントとの関係が立証された。その後,非糖尿病者におけるHbA1cと心血管イベントとの関連性も報告されたが,この関係の定量的評価はこれまでのところ実施されていない。そこで,非糖尿病者においてHbA1cとその後の心血管転帰の関係を評価するメタ解析を実施した。
エンドポイントは急性心筋梗塞,致死的/非致死的脳卒中,心血管死。 |
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対象 |
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7研究,44,158人。HbA1cの値により3分位以上にわけて心血管リスク(人・年)および心血管転帰数を公表している前向きコホート研究。
対象者の選択基準は,健康診査の一環としてスクリーニングを受け,糖尿病と診断されなかった一般住民で,ベースラインのHbA1c値が報告され,少なくとも1回追跡評価を受けたもの。糖尿病患者が含まれていても,非糖尿病者から適切なデータを抽出できる研究の場合は採用した。
除外基準:データベースやカルテのデータを用いた後向き研究。
■患者背景:スクリーニング時平均年齢18-93歳,男性44%。 |
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方法 |
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Medline,Embase,Scopusを検索(開始~2009年末まで)。言語制限は設けず。検索用語は‘hemoglobin/haemoglobin A1c or HbA1c’ AND ‘cardiovascular diseases’, ‘stroke’, ‘myocardial infarction’, ‘death’, ‘cardiac death’, ‘mortality’。さらに,‘cohort or cohort study’, ‘prospective study’, ‘follow-up’も追加。選択した試験の参考文献もハンドサーチ。
Cochranのsemi-weighted(inverse variance)ランダム効果モデルを用いてβ係数を算出。
試験の質はDowns-Blackスケールにより評価(獲得ポイントを合計ポイントの32で割って指標化。スコア<0.5:weak,0.50-0.69:fair,0.70-0.79:good,0.81-1.00:very good)。 |
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結果 |
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平均追跡期間は9.2年(404,899人・年)。
[エンドポイント]
心血管死を一次エンドポイントとして報告した試験は5試験。
心血管死の発生は1,366例(3.1%;3.37/1,000人・年)。5試験のβ係数は0.172-1.157,平均0.720(95%信頼区間0.307-1.133)で,1試験を除き統計学的に有意であった。
心血管イベントを報告した試験は7試験。
心血管イベントの発生は2,142例(4.9%;5.29/1,000 人・年)。7試験のβ係数は0.172-2.484,平均0.757 (0.382-1.132)で1試験を除き統計学的に有意であった。
[HbA1cと心血管イベントの関係]
ベースライン時のHbA1c値4.27%を対照とすると,心血管死の相対リスクはHbA1c値5%で1.13(1.05-1.21),6%で1.34(1.13-1.58),7%で1.58(1.22-2.06)に増大した。
[試験の質]
Downs-Blackスコアは平均0.73(good)であった。
[出版バイアス]
funnel plotおよび回帰分析により出版バイアスは認められなかった。
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