循環器トライアルデータベース
HOME
トライアル検索
フリーワード検索
*検索について
トライアル名検索
1 4 5
A B C D E F
G H I J K L
M N O P Q R
S T U V W X
Y Z
疾患分類検索
薬効分類検索
薬剤名検索
治療法検索
キーワード検索
掲載トライアル一覧
学会情報
meta-analysis, pooled analysis
日本のトライアル
Trial Review
用語説明
Topic
開設10周年記念座談会
開設5周年記念座談会
AHA2012/ISH2012特別企画
このサイトについて
ライフサイエンス出版のEBM関連書籍
meta-analysis, pooled analysis
← meta-analysis, pooled analysis のトップページへもどる
インターベンションを施行する冠動脈疾患患者におけるBleeding Academic Research Consortium(BARC)出血定義の検証
pooled analysis

新しく提案されたBleeding Academic Research Consortium(BARC)出血の定義について,出血イベントとPCI後1年の死亡率との密接な関連が示され,既存の出血定義に匹敵する死亡予測能が認められた。
Ndrepepa G, et al. Validation of the bleeding academic research consortium definition of bleeding in patients with coronary artery disease undergoing percutaneous coronary intervention. Circulation. 2012; 125: 1424-31. PubMed

コメント

冠動脈インターベンション施行時には各種抗血栓薬が使用される。抗血栓薬の副作用として出血イベントを起こした症例の予後は悪い。今まで広く使用されてきたTIMI分類では著しく重篤な出血イベントのみがピックアップされる。インターベンション後1ヵ月,1年の時点での死亡イベント予知を目的として各種出血分類の感度,特異度を検討した。
BARCによる出血分類はTIMI大出血/小出血より多くのイベントを拾うが,死亡に至る症例の選別には有用であった。抗血栓薬は出血を増して,出血例では血栓イベントによる死亡も多い。出血/血栓の関係は極めて複雑である。(後藤


目的 Bleeding Academic Research Consortium(BARC)により新たに提案された出血定義は,抗血栓療法患者における出血の重症度を表す階層的アプローチにより標準化されたもので,臨床試験でエンドポイントの評価に取り入れられ始めている。しかしながら,データ解析に基づくものではなくコンセンサス・レポートで提案された定義であることから,臨床データでその妥当性を検証する必要がある。
PCI施行例において,(1) BARC定義による出血合併症と1年後の死亡率の関係,(2) 同定義の死亡予測能が既存の定義に優るかを評価する。
一次エンドポイントは1年死亡率。
対象 12,459例:Intracoronary Stenting and Antithrombotic Regimen(ISAR)6試験*における2000年6月~2010年2月の登録患者。
* ISAR-REACT,ISAR-SWEET,ISAR-SMART-2,ISAR-REACT-2:プラセボ対照・ランダム化比較試験(RCT);PCI施行例(clopidogrel 前投与)における血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximabの上乗せ効果を検討。
ISAR-REACT-3:二重盲検・RCT;安定/不安定狭心症に対するPCI施行例(clopidogrel 前投与)で抗トロンビン薬bivalirudinと未分画heparinを比較。
ISAR-REACT-3A:オープン・多施設試験;未分画heparin 100Uと140U(ISAR-REACT-3からのhistorical control)を比較。
全例でaspirin 325~500mgを投与。手技後aspirin 80~325mg/日を無期限,clopidogrel 75~150mg/日を退院まで(3日以内),以後75mg/日を1ヵ月以上(ベアメタルステント例),6ヵ月以上(薬剤溶出性ステント例)投与。その他の心臓治療薬の使用は担当医の判断による。
■患者背景:年齢67.2歳*,女性23.7%,BMI 27.1kg/m2*,糖尿病30.7%,高血圧77.0%,現喫煙16.4%,高コレステロール血症68.1%,心筋梗塞既往31.3%,CABG既往11.5%,急性冠症候群27.5%,血清クレアチニン0.97mg/dL*,トロポニンT上昇8.4%,クレアチンキナーゼMB上昇3.6%,血小板数217×109/L*,EF 60.0%*,多枝病変79.8%,複雑病変68.4%。 * 中央値
方法 入院中の出血イベントをTIMI・REPLACE-2・BARC出血定義に基づいて評価:TIMI(大出血および小出血;全試験で前向きに評価),REPLACE-2(大出血;最初の4試験で後ろ向き,ISAR-REACT-3の2試験で前向きに評価),BARC(class 1~4;全試験で後ろ向きに評価)。1ヵ月後をランドマークとするランドマーク分析により,早期および晩期の出血に関連する死亡の相対リスクを評価。1年の死亡率に独立して相関する因子の検証のために各定義による出血(BARC class 2以上および3以上,TIMI 大出血+小出血,REPLACE-2大出血)を含めたモデルを作成。各定義に基づく出血を含めた多変量モデルのdiscriminatory powerは,ROC曲線(AUC)およびIDI(integrated discrimination improvement)を用いて評価。
結果 [出血の発生]
各定義に基づく出血の発生は,BARC:1,233例(9.9%,うちBARC class 2以上は679例[5.4%]),TIMI大出血+小出血:374例(3.0%),REPLACE-2大出血:491例(3.9%)。

[出血イベントと死亡率]
死亡はPCI後30日に54例(0.4%),1年後に340例(2.7%)。
死亡リスクは出血例で1年後まで上昇し続けた(いずれの定義でも非出血例と比較してP<0.001)。

[死亡の予測因子]
出血イベントは他の変数と独立して1年間の死亡と関連し,多変量Cox比例ハザードモデルにおける調整後ハザード比は,BARC class 2以上:2.72(95%信頼区間2.03-3.63),BARC class 3以上:3.19(2.34-4.35),TIMI大出血+小出血:3.64(2.62-5.07),REPLACE-2大出血:3.14(2.30-4.29);すべてP<0.001。

[出血の定義による予測値の比較]
1年後の死亡予測の感度,特異度,精度は,BARC class 2以上:18.5%,94.9%,92.8%,BARC class 3以上:15.0%,96.3%,94.1%,TIMI大出血+小出血:12.6%,97.3%,94.9%,REPLACE-2大出血:14.7%,96.4%,94.1%。
1年後の死亡率についての多変量モデルの予測能は,各定義による出血を含めることにより出血を含めないモデルに比して有意に改善したが,調整後AUCおよびIDIに出血定義による有意差はなかった。

(収載年月2012.09)
▲pagetop
    --------------------
© 2001-. Life Science Publishing Co., Ltd
 
携帯版 EBM LIBRARY