[試験の内訳]
介入はおもに葉酸2.5-40mg/日投与(7試験[9,852例]でビタミンB併用)。介入 vs プラセボ:7試験,vs 通常ケア:1試験,vs 低用量ビタミン:3試験,高/中用量 vs 低用量:1試験。
[ホモシステイン値の変化]
介入群におけるホモシステイン値の低下は,15.6-47μmol/L→11.9-22.6μmol/L(5試験)。介入群と対照群の差は-4.97μmol/L(95%信頼区間-9.44--0.49)。
[一次エンドポイント]
心血管イベントを報告した10試験(10,863例)において,心血管イベントは3,045例発生。葉酸によるホモシステイン低下療法による心血管イベント抑制効果は認められなかった(相対リスク0.97;95%信頼区間0.92-1.03,P=0.326;I ²=0.0%)。
[二次エンドポイント]
葉酸によるホモシステイン低下療法は,心血管死(6試験・5,968例:0.97;0.82-1.16),全死亡(9試験・8,772例:1.02;0.95-1.10),心筋梗塞(8試験・8,586例:0.96;0.84-1.11),脳卒中(8試験・8,586例:0.95;0.75-1.21)のいずれも抑制しなかった。また,血管アクセス血栓症(3試験:0.96;0.83-1.11),非透析依存性CKD患者における腎置換療法(2試験・1,543例:1.05;0.95-1.16),腎移植後(1試験・4,110例:1.12;0.91-1.37)にも影響を及ぼさなかった。
[サブグループ解析]
腎疾患分類,葉酸強化食品の摂取,基礎疾患有病率,ベースライン時ホモシステイン値などによるサブグループ解析でも,結果は変わらなかった。
[有害事象]
有害事象を報告した7試験で,ホモシステイン低下療法は有害事象発生率に影響を及ぼさなかった(1.00;0.92-1.08)。有害事象の報告については試験間のばらつきが大きく(1.8%[有害事象による試験治療中止]-89.1%[めまいや悪心などの一過性の軽微な合併症]),事前に計画した胃腸,皮膚,神経系事象,悪性腫瘍については,それらを報告した試験が少なかったため個別の解析を実施できなかった。
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