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前糖尿病状態と脳卒中リスク
meta-analysis

前糖尿病を空腹時血糖100-125mg/dLで定義した場合,前糖尿病のよる脳卒中リスク増大はなく,110‐125mg/dLまたは耐糖能異常で定義するとリスクがある程度増加する。
Lee M, et al. Effect of pre-diabetes on future risk of stroke: meta-analysis. BMJ. 2012; 344: e3564. PubMed

コメント

前糖尿病は,心血管イベントのリスクとなることは報告されているが,脳卒中の発症リスクとの関係はあまり解析されていない。本メタ解析で基本的には心血管イベントのリスクと同様であること,空腹時血糖よりも耐糖能障害(IGT)が脳卒中の予測因子として重要であることが示されたが,これは食後高血糖の重要性と符合する。糖尿病でも前糖尿病でもインスリン抵抗性が共通の病態基盤であり脳卒中のみならず,心血管リスクとなると考えてよいだろう。(


目的 米国では肥満の増加に伴い前糖尿病が増加しており,前糖尿病者(約7,900万人)は糖尿病患者(2,600万人)の約3倍と推定されている。前糖尿病は心血管イベントを増加させるが,脳卒中への影響は明らかでない。前糖尿病は一般に空腹時血糖異常(IFG),耐糖能異常(IGT),またはIFG/IGTで定義される。米国糖尿病学会(ADA)では1997年にIFGの定義を空腹時血糖110‐125mg/dLとしたが,その後2003年に100‐125mg/dLに変更した。
前糖尿病と脳卒中の関係を評価し,その関係が前糖尿病の診断基準(IFG:110‐125mg/dL,100‐125mg/dL,IGTまたはIGT+IFG)の違いにより変化するかを検証する。
対象 15研究*,76万925人。前向きコホート研究または臨床試験で,ベースライン時に血糖値を測定し,エンドポイントが脳卒中(初発,再発),追跡期間1年以上,ベースライン時の前糖尿病に関連する脳卒中発症の多変量調整後相対リスク(RR)とその95%信頼区間が報告されているもの。
* 韓国のSungら(65万2,901人:前糖尿病の定義はIFG 100,110mg/dL),中国のLiuら(30,378人:IFG 100mg/dL),日本のDoiら(2,421人:IFG 100,110mg/dL,IGT),Isoら(10,582人:IFG 110mg/dL,IGT),Kokuboら(5,321人:IFG 100mg/dL),Oizumiら(2,938人:IGT),欧州のLezenら(4,676人:IFG 110mg/dL,IGT),米国のYeboahら(6,753人:IFG 100mg/dL)など。
方法 PubMed,Embase,Cochrane Library(すべて1947~2011年7月16日)を検索。言語制限なし。参考文献もハンドサーチ。
IFGは空腹時血糖100-125または110‐125mg/dL,IGTは経口糖負荷試験2時間血糖値が140‐199mg/dLと定義し,空腹時血糖<100または110mg/dL,非空腹時血糖<140mg/dLを正常血糖とした。
結果 [前糖尿病の定義の違いによる脳卒中リスク]
・空腹時血糖値100‐125mg/dLと定義(8研究)
前糖尿病による脳卒中リスクの増加は認められなかった(多変量調整後のRR 1.08;95%信頼区間0.94-1.23,P=0.26)。研究間の異質性は認められたが(P<0.0001),funnel plotに非対称性は認められなかった。
・空腹時血糖値110-125mg/dLと定義(5研究)
前糖尿病により脳卒中リスクは有意に増加した(1.21;1.02-1.44,P=0.03)。研究間の異質性は認められたが(P=0.003),funnel plotに非対称性は認められなかった。
・IGTまたはIGT+IFGにより定義(8研究)
前糖尿病により脳卒中リスクは有意に増加した(1.26;1.10‐1.43,P<0.001)。研究間の異質性も(P=0.15),funnel plotの非対称性も認められなかった。

[感度分析]
空腹時血糖≧126mg/dLの症例を登録した研究を除外した感度分析において,IGTまたはIGT+IFGにより定義した前糖尿病は脳卒中リスクを独立して増加させた(1.20;1.07‐1.35,P=0.002)。

(収載年月2012.11)
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