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日本人における蛋白尿,腎機能低下と心血管疾患死の関係(EPOCH-JAPAN)
pooled analysis

蛋白尿とeGFR低下は日本人における心血管疾患死の独立した危険因子である。
Nagata M, et al.; EPOCH-JAPAN research group. Prediction of cardiovascular disease mortality by proteinuria and reduced kidney function: pooled analysis of 39,000 individuals from 7 cohort studies in Japan. Am J Epidemiol. 2013; 178: 1-11. PubMed

コメント

蛋白尿やeGFRの低下で示されるCKDは成人の10-15%にみられ,公衆衛生上注目されている。アジアではよりCKDの頻度が高いとされ,日本ではここ30年間での増加が著しい。CKDは心血管病のリスク因子と考えられ,蛋白尿やeGFRの低下は独立して心血管病発症と関連しており,一般診療において蛋白尿とeGFRを計測し,CKDの重症度評価をすることが勧められている。台湾のprospective cohort studyでは,eGFRの高低にかかわらず蛋白尿が全死亡のリスクであることを示している。しかし,アジアで蛋白尿とeGFRの低下が単独に,あるいは合併した際の心血管病リスクを評価した報告は少ない。今回の研究は日本人における1000人以上の規模の7つの試験を合わせて4万人弱を平均10年以上で観察した。結果としては蛋白尿もeGFRの低下も各々単独で心血管病死のリスクであり,両者の相互作用はなく,両者の合併によりリスクはさらに増大している。これまでの14ヵ国120万人のメタ解析では,アルブミン/クレアチニン比が1.1mg/mmolより大きいことと,eGFRが60mL/分/1.73m²未満は心血管病死に独立して関連することが明らかとなっている。2002年の最初のCKDステージ分類ではアルブミン尿は評価されずeGFRのみで決定されていたが,最近のステージ分類ではアルブミン尿とeGFRを組み合わせて評価している。今回の結果は,このCKD分類が日本人においても心血管病死のリスク評価として正しいことを示している。ただし,リスク評価として蛋白尿は(1+)以上でまとめているので,(2+)や(3+)が(1+)と異なるかどうか,eGFRでは15-29と30-44 mL/分/1.73m²が異なるかどうかは明らかではない。
蛋白尿は全身の血管内皮機能を反映しており,eGFRの低下は全身の動脈硬化の重症度と関連するとされているが,これらの因子が実際にどのように心血管病発症にかかわっているのかは今後の課題である。(星田


目的 アジア人において,蛋白尿と推算糸球体濾過量(eGFR)の低下が心血管疾患(CVD)と独立して関連するかを検討した研究は少ない。
日本人を対象としたコホート研究の統合データを用いて,蛋白尿とeGFRの低下がそれぞれ独立して,あるいは相乗的にCVD死に影響を及ぼすかを検討する。
対象 7研究*,39,405人。EPOCH-JAPAN(Evidence for Cardiovascular Prevention from Observational Cohorts in Japan)に参加している13コホート研究(健康診査のデータが収集されており,追跡期間約10年,対象>1,000人)のうち,死因および蛋白尿/血清クレアチニンのデータがあるもの。対象は40-89歳,eGFR≧15mL/分/1.73m²。
* 一般住民コホート(6研究):大崎研究,大迫研究,RERF(放射線影響研究所),久山町研究,NIPPON DATA 80・90;職域コホート(1研究):YKK従業員。
■背景:平均追跡期間10.1年,登録期間1980-’94年,平均年齢59歳,男性43.5%,平均eGFR 84.6mL/分/1.73m²,蛋白尿2.9%。
方法 各研究のデータから死因を特定。CVD死をさらに冠動脈疾患(CAD)死,脳卒中死,その他のCVD死に分類。蛋白尿は尿試験紙で≧+1と定義。eGFRはCKD-EPI式により算出し,≧90,60-89,45-59,<45mL/分/1.73m²に分類。
結果 [蛋白尿]
追跡期間中のCVD死は1,927例(うちCAD死397例,脳卒中死846例)。
交絡因子で調整後,蛋白尿はCVD死と有意に関連した(CVD死亡率:蛋白尿例10.8/1,000人・年 vs 非蛋白尿例4.4/1,000人・年:ハザード比1.75;95%信頼区間1.44-2.11,P<0.001)。この関係はさらにeGFRで調整しても変わらなかった(1.66;1.37-2.01,P<0.001)。CAD死,脳卒中死についても同様の関係が認められた。

[eGFR]
CVD死のリスクはeGFRの低下に伴い有意に増加した(eGFR<45mL/分/1.73m²例16.9/1,000人・年 vs ≧90mL/分/1.73m²例1.8/1,000人・年:2.22;1.60-3.07,傾向P<0.001)。さらに蛋白尿で調整後もこの関係は変わらなかった(2.06;1.48-2.85,傾向P<0.001)。脳卒中死についても同様の関係が認められ,CAD死のリスクもeGFRの低下に伴い増加傾向を示した。

[蛋白尿+eGFR]
蛋白尿+eGFR<45mL/分/1.73m²の人は,蛋白尿のないeGFR≧90mL/分/1.73m²の人にくらべてCVD死のリスクが有意に高かった(4.05;2.55-6.43)。CVD死に対する蛋白尿とeGFR低下の影響は,互いに独立していた(交互作用P=0.77)。

(収載年月2013.08)
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