食物繊維摂取量の増加は初発脳卒中リスクの低下と有意に関連した。ただし食物繊維の種類は特定されなかった。 Threapleton DE, et al. Dietary fiber intake and risk of first stroke: a systematic review and meta-analysis. Stroke. 2013; 44: 1360-8. PubMed
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食物繊維の摂取は心血管イベントの抑制に有効と考えられているが,食物繊維摂取量と初発脳卒中リスクに関するメタ解析はこれまでになされていなかった。本解析の結果,1日7gの食物繊維の摂取は,脳卒中リスクを7%減少させることが示された。米国における食物繊維の平均摂取量は男性で17g/日,女性で13g/日である。本邦では各々,15g/日,14g/日と報告されている。推奨摂取量(米国)は,男子で30-38g/日,女性では21-25g/日であるから,さらなる摂取が推奨される。食物繊維は,腸管における栄養物の吸収を遅らせ,肥満の抑制,食後高血糖の抑制に有用であるのみならず,腸内細菌叢による発酵にも役立ち,短鎖脂肪酸がコレステロール合成抑制に作用することも報告されている。胆汁酸の吸収も遅くなり血中コレステロール低下にも貢献する。しかし,摂取食品による食物繊維の種類(水溶性,不溶性)とイベント抑制率の関係についてはよく解析されていない。胚芽米や胚芽麦が食物繊維を多く含有しており,その摂取が推奨されているが,食物繊維のみで説明できるかどうかもわかっていない。いずれにしても,今回の結果は現有のガイドラインの内容を支持するものであるが,個別化医療を進めるためには,今後,食物繊維の種類と心血管イベント抑制の関係を明らかにする必要があろう。(堀)
[水溶性食物繊維(3研究)] 水溶性食物繊維摂取量の増加による有意な脳卒中リスクの低下は認められなかった(4 g/日増加ごと:0.94;0.88-1.01;I ²=21%)。
[不溶性食物繊維(3研究)] 1研究でデータが不十分であったためメタ解析を実施できなかった。
[シリアル,果物,野菜由来の食物繊維] シリアル由来の食物繊維と脳卒中の関係(3研究)は試験間の異質性が高く(I ²=90%),解析できなかった。果物,野菜由来の食物繊維と脳卒中の関係(2研究)を示す強力なエビデンスも得られなかった。
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