[減塩による血圧の変化]
減塩により血圧は有意に低下した。減塩群の対照群と比較した24時間尿中Na排泄量は-75mmol(4.4g/日減塩に相当)で,これに伴う血圧の変化は,収縮期血圧(SBP)が-4.18mmHg(P<0.001,試験間の異質性I ²=75%),拡張期血圧(DBP)が-2.06mmHg(P<0.001,I ²=68%)。
メタ回帰分析で,年齢,民族,高血圧の有無,24時間尿中Na排泄量の変化はSBPの低下と有意に関連(この4因子で試験間の異質性の68%を説明)。
また,減塩とSBP低下には用量反応関係が認められた(24時間尿中Na排泄量-100mmol[6g/日減塩]でSBP-5.8mmHg,P=0.001)。
[サブグループ]
・高血圧患者(22試験・990例:血圧中央値148/93mmHg)
減塩により血圧は有意に低下(24時間尿中Na排泄量-75mmol[4.4g/日減塩]で,SBP-5.39mmHg[P<0.001,I ²=61%],DBP-2.82mmHg[P<0.001,I ²=52%])。
メタ回帰分析では,民族と24時間尿中Na排泄量の変化は SBPの低下と有意に関連したが,年齢は関連せず(この3因子で異質性の46%を説明)。24時間尿中Na排泄量の低下とSBP低下には用量反応関係が認められた(-100mmol[6g/日減塩]でSBP-10.8mmHg,P<0.01)。DBP低下については,上記3因子で異質性の11%を説明,いずれもDBPの低下との有意な関連はなし。
・正常血圧者(12試験・2,240人:血圧中央値127/77mmHg)
減塩により血圧は有意に低下(24時間尿中Na排泄量-75mmol[4.4g/日減塩]で,SBP-2.42mmHg[P<0.001,I ²=66%],DBP-1.00mmHg[P=0.02,I ²=66%])。
メタ回帰分析で,24時間尿中Na排泄量の変化はSBPの低下と有意に関連したが,年齢と民族は関連しなかった(3因子で異質性の51%を説明)。24時間尿中Na排泄量の低下とSBP低下には用量反応関係が認められた(-100mmol[6g/日減塩]でSBP-4.3mmHg,P<0.05)。DBPの低下については,上記3因子で異質性の43%を説明,有意な関連がみられた因子は民族のみだった(P=0.04)。
・民族(白人/黒人/アジア人),性別による解析
SBPはいずれのサブグループでも有意に低下,DBPもほとんどのサブグループで有意に低下した。
[ホルモン,脂質の変化]
減塩により下記の項目がわずかながら有意に変化した:血漿レニン活性(+0.26ng/mL/h;P<0.001,I ²=70%),アルドステロン(+73.20pmol/L;P<0.001,I ²=62%),ノルアドレナリン(+187pmol/L;P=0.01,I ²=5%)。
アドレナリン(+37pmol/L;I ²=12%),総コレステロール(+1.9mg/dL;I ²=0%),LDL-C(+1.9mg/dL;I ²=0%),HDL-C(-0.8mg/dL;I ²=16%),トリグリセライド(+3.5mg/dL;I ²=0%)については有意な変化を認めなかった。
[出版バイアス]
SBPについては出版バイアスが認められたが(P=0.025),減塩効果が小さかった大規模長期試験2試験を除外した解析で,有意性は消失した。
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