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末梢動脈疾患の罹患率と危険因子:2000年と2010年の比較
meta-analysis

10年間で,末梢動脈疾患(PAD)の有病率は全世界で23.5%増加。2010年の推定患者数は2億200万例,うち約7割が低-中所得国。おもな危険因子は喫煙,糖尿病,高血圧。
Fowkes FG, et al. Comparison of global estimates of prevalence and risk factors for peripheral artery disease in 2000 and 2010: a systematic review and analysis. Lancet. 2013; PubMed

コメント

ABIの普及により末梢血管疾患が増加している印象を持っている臨床医が多い。実際に2000年から2010年までの10年間に末梢血管疾患が,世界でどの程度増加したのかを推測することは困難である。日本のように国民皆保険にて医療の環境が均一,かつ健診も行き届いている国であれば正確な数値予測が期待できる。本研究は発表された研究結果の「systematic review」であるため,方法は科学的であると言えるが,実際の世界をどの程度正確に反映しているかには不明の部分も多い。世界人口への推論も科学的であるが,どの程度真実を反映しているかには不明の部分が多い。日本はレセプトなどをみても,医療の数値データベースが世界一正確な国でもある。日本からの診療情報の数値データとしての発信という方向に世論が向くことを期待している。(後藤


目的 下肢末梢動脈疾患(PAD)は,冠動脈疾患(CAD),脳卒中に続く第三位のアテローム動脈硬化性心血管疾患の原因である。しかし現在,世界的なPAD有病率に関する信頼できるデータはなく,近年の心血管疾患の推移の評価においては CADや脳卒中の高所得国での減少と低-中所得国での増加に焦点が当てられており,PADはほとんど注目されていない。
本研究では,高所得国と低-中所得国のPAD有病率を比較し,PADのおもな危険因子を確立し,世界各地域におけるPAD患者数を推定する。
対象 34研究*,112,027人(うちPADは9,347例)。1997年以降にPADの有病率を調査した一般住民対象の研究で,PADを足首・上腕血圧比(ABI)≦あるいは<0.90により定義しているもの。
* 22研究は高所得国(オーストラリア,デンマーク,ドイツ,香港,日本,シンガポール,韓国,スペイン,スウェーデン,米国),12研究は低-中所得国(ブラジル,中央アフリカ共和国,中国,インド,メキシコ,コンゴ共和国,南アフリカ,タイ)。
方法 Medline(1950年-),Embase(1980年-),AMED(1985年-),CINAHL(1982年-),LILACS(2008年-)を検索(-2011年6月)。そのほかに学会録も調査し,専門家に助言を求め,研究者に追加データを依頼。
高所得国,低-中所得国における年齢別,男女別PAD有病率を推定し,それらを2000年と2010年の国連人口に当てはめることにより,全世界の患者数を推定。
危険因子の解析は,危険因子のデータがあり,多変量解析を行った22研究で実施。少なくとも3研究で検討された15の危険因子のうち,アルコールを除く14因子を解析した。
結果 [有病率]
有病率は所得や性別を問わず,加齢に伴い増加した。
高所得国ではPAD有病率に男女間差はみられなかった(45-49歳:女性5.28% vs 男性5.41%)。一方,低-中所得国では85-89歳までは女性のほうが男性よりも有病率が高かったが,その差は加齢に伴い縮小した(45-49歳:6.31% vs 2.89%,85-89歳:15.22% vs 14.94%)。
女性の有病率は60-64歳までは低-中所得国のほうがわずかに高かったが,それ以降は高所得国のほうがわずかに高かった。男性では一貫して高所得国のほうが高かった。

[罹患患者数]
上記のPAD有病率を世界人口に当てはめると,患者数は2000年の1億6,400万例から2010年には2億200万例(このうち69.7%が低-中所得国)に増加した。
10年間のPAD患者の増加率は全世界で23.5%,低-中所得国は28.7%,高所得国は13.1%であった。

[危険因子]
所得水準を問わず,PADの危険因子は喫煙(高所得国:現喫煙のmeta-OR 2.72[95%信頼区間2.39-3.09],低-中所得国:1.42[1.25-1.62];低-中所得国とくらべた高所得国のP<0.0001),糖尿病(1.88[1.66-2.14] vs 1.47[1.29-1.68];P=0.009),高血圧(1.55[1.42-1.71] vs 1.36[1.24-1.50];P=0.06),高コレステロール血症(1.19[1.07-1.33] vs 1.14[1.03-1.25];P=0.54)であった。

(収載年月2013.10)
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