[アドヒアランス]
データが得られた34研究(123万382人)における心血管治療薬のアドヒアランス良好例は60%(95%信頼区間52-68%)。薬剤別では,スタチン(12研究)54%,降圧薬(11研究)59%,aspirin(2研究)70%,抗糖尿病薬(2研究)69%。
[アドヒアランスと有害転帰]
・CVD(33研究・161万5,126人)
CVD発症は13万5,627例。心血管治療薬のアドヒアランス良好例は,不良例にくらべCVD発症リスクが有意に低かった(相対リスク[RR]0.80;95%信頼区間0.77-0.84;I ²=96.2%)。
薬剤別の結果は下記の通り:スタチン(0.85;0.81-0.89),降圧薬(0.81;0.76-0.86),aspirin(0.60;0.31-1.16)。
・全死亡(23研究・53万3,381人)
全死亡は94,126例。心血管治療薬のアドヒアランス良好例は不良例にくらべ全死亡リスクが有意に低かった(0.62;0.57-0.67;I ²=96.1%)。
薬剤別の結果は下記の通り:スタチン(0.55;0.46-0.67),降圧薬(0.71;0.64-0.78),aspirin(0.45;0.16-1.29)。
[絶対リスク差]
上記のRRと欧州連合(EU)の住民におけるCVD自然発症率をもとに算出したアドヒアランス不良例の絶対リスク差(10万人・年あたりの症例数)は,心血管治療薬が13例,スタチンが9例,降圧薬が13例。処方例におけるアドヒアランス不良例の割合を40%と想定すると,全CVDイベントの9.1%がアドヒアランス不良によるものと推定された。
[出版バイアス]
スタチンのアドヒアランスとCVD発症の研究(Begg検定P<0.05)を除き,出版バイアスは認められなかった。
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