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高齢者における大動脈弁狭窄症
pooled analysis

欧米では75歳以上の一般住民における大動脈弁狭窄(AS)有病率は12.4%,うち重度AS は3.4%。一般人口に当てはめると,現行基準では29万例がTAVR候補者であり,年間2.7万例が新規にTAVR候補者となると推定された。
Osnabrugge RL, et al. Aortic stenosis in the elderly: disease prevalence and number of candidates for transcatheter aortic valve replacement: a meta-analysis and modeling study. J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 1002-12. PubMed

コメント

大動脈弁狭窄(AS)は最も頻度の高い弁膜症で有効な薬物療法はなく,手術適応の重症ASの5年生存率は15-50%と報告されている。高齢社会ではASの頻度はさらに増大するが,その有病率の報告ではばらつきが多い。高リスクの重症AS例では開胸手術によるAVR(SAVR)の代替治療としてTAVRが日本でも普及しつつある。
本研究では,75歳以上の一般住民でのAS有病率とモデル解析によるTAVR候補者数を欧米のこれまでの報告から推測している。結果としては,ASの定義が一定ではない文献のメタ解析ではあるが,75歳以上では8人に1人(12.4%)がASを有し,30人に1人(3.4%)が重症ASを有すると考えられた。文献中の図から類推すると,2005年以降に発表された4つの論文ではAS有病率がより高くなっており,現時点で欧米ではさらに高い有病率であることが想定される。2011年の75歳以上の人口は,ヨーロッパが3,930万人,北米が2,120万人とされ,AS有病者絶対数が非常に多いことが理解できる。一方,TAVR候補者はヨーロッパが19万人,北米が10万人と推定され,毎年各々1.8万人,0.9万人が新たにTAVR候補者になると考えられた。
高コストのTAVRであるが,最近中間手術リスクの重症AS例に対するTAVRの臨床研究(PARTNER II,SURTAVI)が始まっている。TAVRとSAVRが同等の臨床結果なら,よりTAVR例が増加し経済的に問題になる。ましてヨーロッパ・北米で73万人いるとされる低リスクの重症ASにTAVRが適応になると,より一層問題であろう。実際,すでにスペインのレジストリー(PEGASO Registry)では症候性ASの46%が保存的治療,26%がSAVR,28%がTAVRとなっている。
TAVR施行のラーニングカーブは最初の30例でプラトーに達し,施設当たり年間50例の施行が望ましいと考えられる。本研究の結果からはオランダでは10施設,アメリカでは165施設のTAVRセンターが必要となる。日本の75歳以上の人口は約1,500万人(2012年)であり,AS有病率を日本も同等と仮定し今回の結果から単純に計算するとTAVRセンターが日本でも115施設必要となるが,いかがなものであろうか? 今回のAS有病率やTAVR候補者数の類推はメタ解析を用いているとはいえ,方法論的に不確かな数字である。しかし,このような解析により将来のコスト算出や施設数の確保などを日本においても検討することは必要かもしれない。(星田


目的 重度の大動脈弁狭窄(AS)は高齢者に多く,合併症や死亡の主原因である。これらの患者は大動脈弁置換術(SAVR)を行うにはリスクが高いため,最近では経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR)が考慮されている。しかし,ASの有病率に関する報告は少なく,あっても数値のばらつきが大きいうえに,一般住民におけるASの有病率を評価した研究のシステマティックレビューも行われていない。
一般住民研究のメタ解析により,75歳以上の一般住民におけるASの有病率を調査し,欧州と北米の高齢者におけるTAVR候補者数を推定した。
対象 7研究*・9,723例。ピアレビュー誌に掲載された原著論文で,≧75歳の一般住民におけるAS症例数とサンプルサイズまたはAS有病率が報告されており,ASとASの重症度を心エコーで評価したもの。
* 1989-2009年に実施された横断研究。
方法 MEDLINE,EMBASEを検索(~2012年2月)。参考文献とシステマティックレビューも調査。PubMedのrelated articles機能も使用。
AS有病率とTAVR候補者数を,統合解析により推定。また,年間の新規TAVR候補者数を予測するモデルを作成。欧州19か国,北米2か国の75歳以上のデータを入手し,2011年の各国の75歳人口を用いて欧州と北米における推定値も算出した。
高齢のSAVR施行例おける死亡リスク分類は,Society of Thoracic Surgery-Predicted Risk Of Mortality(STS-PROM)スコア≧10%を高リスク,5-<10%を中リスク,<5%を低リスクと定義した。
結果 [AS有病率とTAVR,SAVRの施行率]
75歳以上の一般住民におけるAS有病率(6研究)は12.4%(95%信頼区間6.6-18.2%;I ²=97.1%,P<0.001),重症ASの有病率(5研究)は3.4%(1.1-5.7%;I ²=85.7%,P<0.001)。
重症ASのうち症候性は75.6%(65.8-85.4%),このうち40.5%(35.8-45.1%)がSAVRを施行しなかった(すなわちTAVR候補者)。このうち実際にTAVRを施行した患者の割合は,28.7%(欧州40.3%[33.8-46.7%],北米24.4%[18.9-29.8%])であった。
一方,症候性でSAVRを施行した患者のうち高リスク例に分類されたのは5.2%(すなわちTAVR候補者)。

[モデルによるTAVR候補者の予測]
モデルに2011年の高齢者人口を当てはめると,TAVRの候補者は全体で29万2,000例,欧州では18万9,836例(80,281-34万7,372例),北米では10万2,558例(43,612-18万7,002例)と推定された。
また欧州では,年間17,712例(7,590-32,691例),北米では9,189例(3,898-16,682例)が新たにTAVR候補と診断されると推定された。

(収載年月2014.02)
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