東アジア人ではBMIと心血管疾患(CVD)死の関係はU字型,南アジア人ではBMIはCVD死の弱いリスク因子(Asia Cohort Consortium)。
Chen Y, et al. Association between body mass index and cardiovascular disease mortality in east Asians and south Asians: pooled analysis of prospective data from the Asia Cohort Consortium. BMJ. 2013; 347: f5446. PubMed
コメント
Body Mass Index(BMI)と生命予後については,社会的に高い関心が寄せられることが多い。肥満が生命予後に良くないことは理解されやすいが,痩せの影響がどのような影響を及ぼすかについては,十分明らかにされていない点も多い。東アジア人におけるBMIと心血管病,心血管病死の関係を検討したメタ解析の結果はUカーブを描くもので,痩せ過ぎの悪影響を示すものであった。南アジア人とは異なった結果であったが,東アジア人ではBMI 17.5未満でリスクが上昇したとしている。日本のコホートは8件が採用されている。瘠せを高カロリーで是正すると心血管病死が減少するかなど,検証されるべき点も残されている。(中村)
目的
脳卒中による死亡率は日本や中国都市部では減少傾向にあるものの,一般にアジアのほうが欧米よりも高い。一方,冠動脈疾患(CAD)死は欧米にくらべ東アジアで低く,南アジアで高い。肥満・過体重は世界的に増加しているが,BMIと心血管疾患(CVD)リスクの関係をアジア人において評価した研究は少なく,東アジア人と南アジア人を比較したデータもない。さらに,BMIと脳卒中の病型との関係も明らかでない。
Asia Cohort Consortium(東アジア:日本,中国,韓国,台湾,シンガポール;南アジア:インド,バングラデシュ)のコホート研究のデータを用いて,BMIとCVD死の関係を評価するpooled解析を実施した。
一次エンドポイントは,CVD(CAD,脳卒中)死(東アジア人のみ,病型[虚血性脳卒中,出血性脳卒中]別死亡を含む)。