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頸動脈-大腿動脈の脈波伝播速度は心血管イベント予測を改善
pooled analysis

標準的な心血管疾患のリスク因子を用いた予測モデルに頸動脈-大腿動脈の脈波伝播速度(aPWV)を加えることにより,リスク予測能は改善する。
Ben-Shlomo Y, et al. Aortic pulse wave velocity improves cardiovascular event prediction: an individual participant meta-analysis of prospective observational data from 17,635 subjects. J Am Coll Cardiol. 2014; 63: 636-46. PubMed

コメント

PWVのリスク予測能をメタ解析した結果で貴重である。特に古典的リスク因子で調整しても有意であったことから,PWVはより臨床で活用されるべきマーカーであることが示されたと言える。PWVは測定時の血圧値の影響を受けると考えられていたことから,血圧値で補正しても予測因子として有意であったことは,重要なエビデンスであると考えられる。中リスク例でのリスク分類の改善がみられたことにも意義深いものがある。(中村


目的 動脈スティフネスの指標である頸動脈-大腿動脈(大動脈)間の脈波伝播速度(aPWV)は,将来の心血管疾患(CVD)リスクに関連することが,複数の前向きコホート研究で示されている。しかし,aPWVを標準的なリスク因子に加えることでリスク予測能がどの程度改善するのか,心イベントと脳イベントの予測能は同等か,サブグループによる差があるのかは明らかでない。
aPWVとCVDの関係を検討するため,コホート研究の個人データを用いてメタ解析を行った。
一次エンドポイントは,全死亡,心血管死,冠動脈疾患(CAD),脳卒中,CVD(CAD+脳卒中)。
対象 17,635例・16研究(17コホート:患者8,一般住民9)。追跡期間≧1年の前向きコホート研究で,aPWVの直接測定で動脈スティフネスを評価し,一次エンドポイントを含む転帰に関する個人データがあるもの。
方法 Medline,データベースを検索。
従来のリスク因子を含むモデルにaPWVを追加した場合のリスク予測能の改善を,C統計量,D-measure,integrated discrimination improvement(IDI),net reclassification improvement(NRI)により評価。
結果 [一次エンドポイント]
CVDは1,785例(10%),CADは1,195例,脳卒中は641例。
aPWVは各イベントと有意に関連した(CAD:年齢,性別で調整後のaPWV対数変換値の1SD上昇ごとのハザード比[HR]:1.35;95%信頼区間1.22-1.50,脳卒中:1.54;1.34-1.78,CVD:1.45;1.30-1.61;すべてP<0.001)。
古典的リスク因子で調整すると,関係は弱まったものの有意であった(CAD:1.23;1.11-1.35,脳卒中:1.28;1.16-1.42,CVD:1.30;1.18-1.43,すべてP<0.001)。

[サブグループ解析]
aPWVとCVDリスクとの関連に,性別,対象集団(一般住民 vs 患者),喫煙,腎機能,糖尿病,降圧薬使用の影響は認められなかったが,加齢に伴いリスクは低下した(CVDのHR:≦50歳;1.89,51-60歳;1.77,61-70歳;1.36,>70歳;1.23,交互作用P<0.001)。

[リスク予測能の改善]
aPWVの追加により,リスク分類の改善が,特に中リスク例(第2-3四分位群)で認められた(10年リスク分類のNRI:全死亡6.14,CVD死24.27,CAD 9.69,CVD13.05,脳卒中10.89)。

(収載年月2014.05)
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