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完全皮下植込み型除細動器の安全性と有効性:IDE StudyとEFFORTLESS Registryの統合解析の2年後の結果
pooled analysis

完全皮下植込み型除細動器は心室性頻拍/心室細動に対し高い有効性を示した。合併症と不適切なショックの発生率はデュアルゾーンプログラミングや術者の経験の増加に伴い低下した。
Burke MC, et al. Safety and efficacy of the totally subcutaneous implantable defibrillator: 2-year results from a pooled analysis of the IDE study and EFFORTLESS registry. J Am Coll Cardiol. 2015; 65: 1605-15. PubMed

コメント

心内あるいは心周囲に電極を配置する従来式ICDに比べ,皮下電極を用いる方法は手技が容易で,内膜炎や菌血症といった合併症が少ない利点があるが,その一方で停止効果に関しては信頼性に多少の心配が残る。2つの試験をまとめた本解析により,皮下電極を用いる方法の有効性と安全性が示された。不適切作動を減らすためには,心腔内電位(心房と心室)の記録が確実であるが,本除細動システムではプログラミングの工夫と術者の練度向上が不可欠である。心室頻拍は抗頻拍ペーシングで停止可能な例も多く,本除細動システムは抗頻拍ペーシングができないことが限界である。(井上

目的 心臓内または心臓周囲に電極を配置する必要がない完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)は,従来のICDに代わるデバイスとして2008年にヒトでの試験が開始された。その後,2009年に開始された2つの登録研究,Boston Scientific Post Market S-ICD Registry(EFFORTLESS)とS-ICD System IDE Clinical Investigation(IDE)で,追跡期間6ヵ月-1年での安全性と有効性が示されている。
個々の研究では有害事象の発現率が比較的低かったため,両研究のデータを統合して長期安全性・有効性を評価し,平均追跡期間22ヵ月の結果を解析した。
対象 882例*。S-ICD植込み例。
* EFFORTLESS 568例(前向き登録314例,後ろ向き登録254例),IDE 308例,両研究13例(合計889例)のうち,IDE研究で植込みは行われたが心室細動(VF)誘発テストの結果からデバイスが除去された7例を除外。
■患者背景:平均年齢50.3歳,男性72.5%,BMI 28.2kg/m2,S-ICDの適応(一次予防69.9%,二次予防30.1%),主たる心疾患(虚血性心筋症37.8%,非虚血性心筋症31.8%,チャネロパチー10.3%,遺伝性6.7%,特発性VF 4.6%),EF 39.4%,NYHA心機能分類II-IV度 37.5%,心房細動16.4%,うっ血性心不全42.3%,糖尿病17.9%,高血圧38.0%,心筋梗塞34.6%,弁膜症13.1%,CABG 11.6%,ICD植込み歴13.7%,経皮的血行再建術22.3%,VF検出最低カットオフレート200拍/分(中央値),初期プログラミング(デュアルゾーン**79.2%,シングルゾーン**19.5%)。** 頻脈検出をレートのみで行うのがシングルゾーン,レートと波形の両者を用いるのがデュアルゾーン。
試験背景:平均追跡期間651日(1,571.5人・年追跡)。
方法 IDE(登録期間2010年1月-‘11年4月),EFFORTLESS(登録継続中;’13年5月21日までのデータを使用)を統合。合併症は,デバイス関連,ラベル関連(不適切なラベル表示,ラベル表示に従わない使用に関連するもの),手技関連(侵襲的治療を要するもの)に分類。自然発症心室頻拍(VT)/VF(デバイスのチャージおよびECG記録のトリガーとなったイベント)を単発発作と頻回発作(ストーム)に分類し,適切・不適切なICDショックによる治療効果を評価した。
また,IDE研究は登録開始が遅く,短期間で終了したことから,両研究の登録時期を下記4群に分類して解析:Q1(両研究の登録例が100例となった時期[2009年8月-’10年10月]),Q2(IDEの登録終了時期[-’11年4月]),Q3(Q2とEFFORTLESSの登録終了時期の中間[-’12年4月]),Q4(’13年5月)。
結果 [合併症]
合併症(デバイス関連+ラベル関連+手技関連)は85例(9.6%;108件)で,うち30日以内の発生は4.5%(43件[40%]),3年間の発生は11.1%。
Kaplan-Meier推定による3年間のデバイス関連合併症の発生率は5.4%。
電極不良,S-ICD関連の心内膜炎,菌血症は発生しなかった。
右室ペーシングのためのデバイス交換は3件(0.3%)。

[ICD治療の有効性]
Kaplan-Meier推定による初回VT/VF治療は,1年後5.3%,2年後7.9%,3年後10.5%。
VT/VFストームを除き,111件(59例)の単発VT/VFイベントが治療され,このうち100件(90%)が初回ショック治療により停止,109件(98.2%)が5回までの治療で停止した。
Kaplan-Meier推定による3年間の不適切なショックの発生率は13.1%で,デュアルゾーンプログラミング例はシングルゾーンプログラミング例より有意に低かった(11.7% vs 20.5%,P=0.001)。
追跡期間中の全死亡は26例(2.9%),うち不整脈死は1例。Kaplan-Meier推定による2年死亡率は3.2%,3年死亡率は4.7%。

[登録時期の影響]
登録時期が新しい患者ほど6ヵ月後の不適切なショックの発生率が低く(Q1:6.9%→Q4:4.5%),その一方でデュアルゾーンプログラミングの使用が増加した(51%→95%,P<0.01)。
VT/VFの治療は全期間で同等であったが(3.5-3.0%),合併症は減少した(8.9%→5.5%,P=0.05)。

(収載年月2015.08)
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