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直接作用型経口抗凝固薬による高齢の心房細動患者における脳卒中予防および静脈血栓塞栓症二次予防の有効性と有害性
meta-analysis

高齢者の血栓症リスク管理において,直接作用型経口抗凝固薬4剤の有効性は少なくともビタミンK拮抗薬と同等であるが,出血パターンは薬剤により異なる。特に,dabigatranは消化管出血リスクが高い。
Sharma M, et al. Efficacy and harms of direct oral anticoagulants in the elderly for stroke prevention in atrial fibrillation and secondary prevention of venous thromboembolism: systematic review and meta-analysis. Circulation. 2015; 132: 194-204. PubMed

コメント

EBMの世界では,ランダム化比較試験のエビデンスレベルが高いとされ,ランダム化比較試験のメタ解析のエビデンスレベルはさらに高いとされる。複数のランダム化比較試験が異なる患者層に対して施行されるのであれば,メタ解析の結果の外的妥当性が1つのランダム化比較試験よりも高いことは事実である。本メタ解析のように,新薬と過去の標準治療の比較を目的とした試験では,複数の試験が施行されても,それらの多くが薬剤開発第II相,第III相試験であるとメタ解析の外的妥当性が1つのランダム化比較試験よりも高いとも言えなくなる。薬剤開発試験は,試験に成功した薬剤のみが生き残る競争試験である。抗トロンビン薬,抗Xa薬ともに多くの薬剤の開発試験が失敗して途中で潰れている。高齢者のメタ解析には意味があるが,失敗した開発試験も含めてDOACとワルファリンの比較を行えば結果の異質性はさらに大きくなると想定される。メタ解析には価値があるが,このメタ解析を実臨床に応用すれば患者のアウトカムがよくなるか否かは不明である。(後藤

目的 心房細動(AF)や急性静脈血栓塞栓症(VTE)患者の血栓症リスク管理には依然としてビタミンK拮抗薬(VKA)が使用されているが,直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の使用も増加している。DOACの有効性,有害性は患者全般では検証されているが,出血リスクが高く,併存疾患が多く,日本では考えられないような多剤併用も多く,また薬物動態が変化する高齢者(特に≧75歳)での使用を裏付けるエビデンスはない。また高齢者のみでDOACをVKAと比較したランダム化比較試験(RCT)もない。
高齢者でのDOACの有効性,有害性を検証するため,DOAC 4剤をVKAと比較したRCTから≧75歳の高齢者のデータを抽出し,メタ解析を実施した。
有効性の一次エンドポイントは,AF患者における脳卒中・全身性塞栓症,VTE患者におけるVTE再発。
安全性の一次エンドポイントは,AF・VTE試験ともに大出血。
対象 19試験*・10万2,479例(うち≧75歳のデータが得られたのは11試験・31,418例)。急性VTE(深部静脈血栓症,肺塞栓症)の治療およびAF患者における脳卒中予防としてDOAC(dabigatran 150mg×2回/日[以下,150mg]・110mg×2回/日[以下,110mg],apixaban,rivaroxaban,edoxaban 60mg・30mg)の有効性,安全性をVKAと比較した追跡期間≧3ヵ月の第II・III相RCT(第II相試験はその後の第III相試験に使用した用量のデータを抽出)。
除外基準:終了した試験の延長試験。
* 第III相11試験,第II相8試験(dabigatran検討試験5試験,apixaban 4試験,rivaroxaban 5試験,edoxaban 5試験)。
■試験背景:平均年齢(AF試験;64.5-71.7歳,VTE試験;54.4-59.0歳),AF試験のCHADS2スコア:1.8-3.5,VTE試験でのVTE既往:15.1%-29.0%。
方法 Medline,Embase,CENTRAL(1993年11月22日-2014年6月1日),臨床試験登録,学会抄録を検索。検索した試験の参照文献,レビュー文献から未発表文献や灰色文献などを特定。検索された試験で≧75歳のデータが発表されていない場合は,著者,製薬会社,規制当局(FDA,EMA)に問い合わせた。VKAと比較したDOACの薬剤別の有効性・安全性を,最初に≧75歳のみで解析後,比較のため全例で解析した。
結果 [有効性の一次エンドポイント]
≧75歳において,各DOACの有効性はVKAと同等以上であった。これは全例での解析結果と同様であった。
AF試験:dabigatran 150mg群(オッズ比:0.66;95%信頼区間0.49-0.90,P=0.009),apixaban群(0.70;0.52-0.93,P=0.01)で有意なリスク低下が認められた。
VTE試験:DOAC 4剤はVKAよりVTE再発リスクが低かった。全体での再発率が低かったという制限はあるが,DOACのVKAに対する劣性は示されなかった。

[安全性の一次エンドポイント]
≧75歳では,大出血リスクはVKA群とくらべapixaban群(0.63;0.51-0.77,P<0.0001),edoxaban 60mg群(0.81;0.67-0.98,P=0.03),30mg群(0.46;0.38-0.57,P<0.0001)で有意に低かった。この結果は全例と同様であった。
dabigatran 150mg群(1.18;0.97-1.44),110mg群(1.03;0.83-1.27)は≧75歳では差がなかったが,全例ではVKA群より低かった。

[二次エンドポイント]
消化管出血:VKA群にくらべdabigatran群で有意に多かった(150mg群:1.78;1.35-2.35[P<0.0001],110mg群:1.40;1.04-1.90[P=0.03])。その他のDOACのデータは得られなかった。
全例では,dabigatran 150mg群,rivaroxaban群,edoxaban 60mg群がVKA群より有意に高かった。
頭蓋内出血:dabigatran 150mg群(0.43;0.26-0.72,P=0.001),110mg群(0.36;0.22-0.61,P=0.0001),apixaban群(0.38;0.24-0.59,P<0.0001)でリスクが有意に低かった。
全例では全DOACのリスクがVKAより有意に低かった。
臨床的に重大な出血:リスクが有意に低かったのはapixaban群のみ(0.64;0.54-0.76,P<0.0001;ランダム効果)。
致死的出血:VKA群より有意に低かったのはrivaroxaban群のみ(0.53;0.30-0.93,P=0.03)。ただし発生数は非常に少なかった。

[異質性評価と感度解析]
すべてのDOACを統合してVKAと比較すると,大出血,消化管出血,致死的出血において試験間の有意な異質性(I ²>75%),脳卒中・全身性塞栓症,頭蓋内出血では中等度の異質性が示された(I ²=50-75%)。直接トロンビン阻害薬のdabigatranを除外した経口直接第Xa因子阻害薬3剤の感度解析でも,高い異質性がみられた。
rivaroxaban群のVKA群とくらべた大出血リスクは,疾患により異なった(AF患者:オッズ比1.17,VTE患者:0.30)。

(収載年月2016.03)
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