[有効性の一次エンドポイント]
≧75歳において,各DOACの有効性はVKAと同等以上であった。これは全例での解析結果と同様であった。
AF試験:dabigatran 150mg群(オッズ比:0.66;95%信頼区間0.49-0.90,P=0.009),apixaban群(0.70;0.52-0.93,P=0.01)で有意なリスク低下が認められた。
VTE試験:DOAC 4剤はVKAよりVTE再発リスクが低かった。全体での再発率が低かったという制限はあるが,DOACのVKAに対する劣性は示されなかった。
[安全性の一次エンドポイント]
≧75歳では,大出血リスクはVKA群とくらべapixaban群(0.63;0.51-0.77,P<0.0001),edoxaban 60mg群(0.81;0.67-0.98,P=0.03),30mg群(0.46;0.38-0.57,P<0.0001)で有意に低かった。この結果は全例と同様であった。
dabigatran 150mg群(1.18;0.97-1.44),110mg群(1.03;0.83-1.27)は≧75歳では差がなかったが,全例ではVKA群より低かった。
[二次エンドポイント]
消化管出血:VKA群にくらべdabigatran群で有意に多かった(150mg群:1.78;1.35-2.35[P<0.0001],110mg群:1.40;1.04-1.90[P=0.03])。その他のDOACのデータは得られなかった。
全例では,dabigatran 150mg群,rivaroxaban群,edoxaban 60mg群がVKA群より有意に高かった。
頭蓋内出血:dabigatran 150mg群(0.43;0.26-0.72,P=0.001),110mg群(0.36;0.22-0.61,P=0.0001),apixaban群(0.38;0.24-0.59,P<0.0001)でリスクが有意に低かった。
全例では全DOACのリスクがVKAより有意に低かった。
臨床的に重大な出血:リスクが有意に低かったのはapixaban群のみ(0.64;0.54-0.76,P<0.0001;ランダム効果)。
致死的出血:VKA群より有意に低かったのはrivaroxaban群のみ(0.53;0.30-0.93,P=0.03)。ただし発生数は非常に少なかった。
[異質性評価と感度解析]
すべてのDOACを統合してVKAと比較すると,大出血,消化管出血,致死的出血において試験間の有意な異質性(I ²>75%),脳卒中・全身性塞栓症,頭蓋内出血では中等度の異質性が示された(I ²=50-75%)。直接トロンビン阻害薬のdabigatranを除外した経口直接第Xa因子阻害薬3剤の感度解析でも,高い異質性がみられた。
rivaroxaban群のVKA群とくらべた大出血リスクは,疾患により異なった(AF患者:オッズ比1.17,VTE患者:0.30)。
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