頸動脈スティフネスは脳卒中発症に関連
meta-analysis
頸動脈スティフネスは心血管危険因子や大動脈スティフネスとは独立して脳卒中発症と関連。Framingham脳卒中危険因子と大動脈スティフネスに加えることで,脳卒中リスク予測能が改善した。
van Sloten TT, et al. Carotid stiffness is associated with incident stroke: a systematic review and individual participant data metaaAnalysis. J Am Coll Cardiol. 2015; 66: 2116-25. PubMed
目的 |
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総頸動脈のスティフネスは,加齢や心血管疾患(CVD)危険因子によって引き起こされる。スティフネスにより脳卒中のリスクが高くなり,またアテローム性プラークの進展によってもリスクは上昇する可能性がある。しかし,頸動脈スティフネスと脳卒中発症の関連についての結果は一貫していない。
頸動脈スティフネスと脳卒中発症の関連を検証するため,コホート研究の集計データを用いてメタ解析を行った。また,頸動脈スティフネスが大動脈スティフネスの指標である頸動脈-大腿動脈脈波伝播速度(cfPWV)とは独立して脳卒中と関連するか,脳卒中を予測するか,脳卒中以外の心血管転帰と関連するかを検討するため,患者個人データを用いたIPD(individual participant data)メタ解析も実施した。
評価項目は,脳卒中,冠動脈疾患(CAD),全心血管イベント,心血管死,全死亡。 |
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対象 |
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10研究*・22,472例(IPDメタ解析:4研究**・4,540例)。頸動脈スティフネスと脳卒中・CAD・全心血管イベント・全死亡の関連を検討した前向きコホート研究。超音波およびbrachial/local carotid pulse pressureで総頸動脈を評価し,スティフネス伸展係数(distensibility coefficient;DC),ヤング率,コンプライアンス係数,β-スティフネス指数を算出したもの。
* ARIC,3City,Hoorn,Rotterdam,SMARTなど。脳卒中:4研究・17,662例,CAD:5研究・21,080例,全心血管イベント:10研究・22,214例,心血管死:7研究・8,534例,全死亡:5研究・5,991例。
**脳卒中:2研究・4,075例,心血管イベント:4研究・4,395例。 |
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方法 |
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Medline,Embase,Scopusを検索(2015年8月7日まで)。選択された研究の参考文献と未発表データも確認。
頸動脈スティフネスの増加(1SD)とイベントの関連については,ランダム効果モデル(逆分散法)を用いて各研究のハザード比(HR)をプールした。
IPDメタ解析では,Cox比例ハザードモデルにより頸動脈DCの低下と各イベントの関連を解析。標準的交絡因子で調整したモデルにcfPWVを加えることで,関係が変化するかを検証した。また,Framingham脳卒中危険因子とcfPWVによる脳卒中リスク予測モデルに頸動脈DCを加えることで予測能が改善するかを,integrated discrimination improvement(IDI)とnet reclassification index(NRI)を用いて評価した。 |
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結果 |
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[集計データのメタ解析]
発症イベント数は,脳卒中898,CAD 2,113,全心血管イベント3,010,心血管死806,全死亡2,062件。
頸動脈スティフネスの増加は脳卒中(1SD増加ごとのHR:1.18;95%信頼区間1.05-1.33,I ² =17%),全心血管イベント(1.16;1.07-1.26,I ² =55%),心血管死(1.30;1.15-1.46,I ² =38%),全死亡(1.22;1.12-1.34,I ² =15%)と有意に関連した。
CADとの関連は認められなかった(1.03;0.98~1.10,I ² =0%)。
[IPDメタ解析]
発症イベント数は,脳卒中351,全心血管イベント763件。
交絡因子で調整後,頸動脈DCの低下は脳卒中リスクの増加と関連(1SD低下ごと:1.24;1.05-1.47)。このモデルにcfPWVを加えても関連に変化はなかった(1.24;1.05-1.46)。他のイベントとの関係も同様であった。CADとの関連はみられなかった。
Framingham脳卒中危険因子とcfPWVを用いた脳卒中リスク予測モデルに頸動脈DCを加えると,予測能は有意に改善した(IDI:0.4パーセントポイント,NRI:18.6%)。また,C統計量も改善したが,有意ではなかった(0.747→0.750)。
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